これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

アラーの使者、必殺技「ロケット光線」

 

どうやら1986年に発売されたVHS『東映100大ヒーロースーパーファイト』の中でも、変身後の絶美な鳴海探偵(アラーの使者)の雄姿が拝めるらしい。必要としている時に限って入手するチャンスが訪れないのは何故なのか。さて、本題。アラーの使者必殺技、ロケット光線の相違と多種性に関して。ロケット光線と聞いて「煙」と「閃光」、どちらをイメージしますか。先日拝見した13話を見受ける限りテレビドラマ上での表現は煙だが、「冒険王」で連載された九里一平先生のコミカライズ、「ひとみ」で連載された水野英子先生のコミカライズ等の漫画上では閃光として描写されているのだ。無論、テレビドラマでアラーの使者のロケット光線を認知したのは13話のみなので全26話の中で煙ではない表現法を用いた可能性もある。しかし煙以外のロケット光線がテレビドラマで登場されたかどうかは映像を目の当たりにしていない以上、説得性に欠ける虚妄に過ぎない。放映当時の1960年9月号「ひとみ」誌上で鳴海探偵及びアラーの使者を演じた千葉真一氏を始め睦子役の桜井悦子氏、マミイ役の一条由美氏、京子役の岡田みどりちゃんによる対談「アラーの使者お話会」の中で、ロケット光線は「煙」だと明示した上で仕掛けに関しての論及が展開されている。テレビドラマ版のロケット光線は、ボタンで起動する発煙筒を背中に背負って、その筒先から管を曳いて指先に挟んで発射する仕組み。人差し指と中指を立てたポーズで発射。ロケット光線が「閃光」だと云う言論は皆無である。第一部の最終回である13話で煙状のロケット光線が使用されている事、そして座談会の時期が第一部の放映時期と合致する点から少なくとも第一部はロケット光線は一貫して煙状と断定して良いだろう。一方、漫画は前述の通り閃光を用いた表現。しかもコミカライズを手掛けた漫画家(九里一平先生、工藤市郎先生、水野英子先生、白丘ルイジ先生)全てがロケット光線を閃光として描写している。となるとやはり、予算や技術面の都合で閃光の表現を断念して煙を選定したのか。真相は不明である。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20201011231826j:plain↑ 煙状のロケット光線。テレビドラマ版。(上) 閃光状の九里一平先生版。(右下) 同じく閃光、工藤市郎先生版。(左下)

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20201011234426j:plain↑ 閃光状、白丘ルイジ先生版。(右上) 水野英子先生版。(左上)もはやロケット光線ではなく光線銃の石井治氏作画。(下)

 

手を広げて「ビカッ」と発射する少年誌に対して、テレビドラマに忠実なポーズで「シャーッ」と発射する少女誌。「ひとみ」の連載は水野英子先生が執筆されたが、最終回のみ白丘ルイジ先生による執筆。ロケット光線の描写の継承が顕著に見て取れる。1960年10月号別冊付録「エンゼルちゃん」のみ未読で探しているのだが、必要としている時に限って入手するチャンスが訪れな(以下略)。そして益々入手困難なのは工藤市郎先生の漫画。第一部を描いた全3巻の上製本。(頼むから復刻してくれ) 攻撃力の観点からは如何にも閃光の方が効果的に感じられるが、役者の演技力と演出の効果、そして「指先から煙を出す」と云う希有なインパクトによって閃光と互角の迫力だ。ちなみに石井治氏が描いた鈴木出版の絵本では、ロケット光線は登場せずに光線銃を必殺技として駆使。発射された閃光によって紅とかげ団の目が眩んで萎縮する姿は、テレビドラマの13話でロケット光線の煙を受けた伊集院博士が目元を抑えながら苦痛に歪む表情と重なる。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20201011234543j:plain↑ ロケット光線の種明かしが「ひとみ」読者向けに公表された「アラーの使者 お話会」。「ひとみ」1960年9月号より。

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20201014025425j:plain↑ ロケット光線のポーズを披露する千葉真一氏。「冒険王」1960年9月号より。(左) 「ひとみ」1960年9月号より。(右)

 

訂正:「白丘ルイジ」先生を「白丘レイジ」先生と一部誤って表記している箇所が見つかりました。御詫びして訂正致します。