これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

TVドラマ『アラーの使者』第13話「砂漠の凱歌」(第一部最終回)

 

神出鬼没!このアラーの使者は、正しい人達を救う為には世界中の何処へでも現れるのだ!

はい。『アラーの使者』第13話「砂漠の凱歌」を鑑賞しました。第一部「恐怖の紅とかげ」編の最終回。以前『アラーの使者』に関しての中で鑑賞が絶望的だと言及したが、その後記事に目を留めて下さったハヤブサさんから映像提供して頂きました。嗚呼、アラーの使者が登場する回の鑑賞絶望下の中、渇望の果てに変身しない第1話の鳴海探偵に幻影を重ねながら九里一平先生の単行本を読み返して妄想に耽ったり「冒険王」や「ひとみ」の特集に掲載されたスチル写真を何度も繰り返し眺めて夢にまで見た鳴海探偵の変身姿を、誠に神々しいアラーの使者の御活躍を映像で拝見する日が来ようとは………!!!(第13話のタイトルが目に飛び込んだ瞬間感極まって顔面洪水モードで号泣すると云う失態を犯しながらも幸福を噛み締めたのであった。) さて、先ずは過去に『アラーの使者』が本放送以外にテレビで放映された情報を再確認しておこう。①1981~83年にフジテレビで放映されたバラエティ番組『欽ドン!良い子悪い子普通の子』の中(往年の邦画の一場面を欽ちゃんが再現するコーナー)で、「別れを告げたアラーの使者が崖の上に跳び上がって皆が「あっ」と驚く場面」を部分的に放映。(当時番組を御覧になった銀色のピエロさんからの情報)、②1980年代にテレビ大阪で13話全編を放送。③1988年にTBSで放映されたバラエティ番組『テレビ探偵団』西城秀樹氏ゲスト出演回に「指先から煙を出す謎のヒーロー」として『アラーの使者』が登場。主題歌「アラーの使者」に乗せて格闘シーン等のハイライトを放映。以上、3件。東映チャンネルで放送されたり、東映特撮BBで配信された事もあったようだが孰れも1話の放送。『欽ドン!』の中で放送された部分と『テレビ探偵団』内で使用された映像は、今回鑑賞した13話に該当シーンが登場したのだが『テレビ探偵団』で放映されたOP映像は13話のOP映像とは相違点があったのでOPだけ別の回の映像(現実的に考えて1話)が使用されたのだろう。1985~86年の間に東映ビデオから発売された「東映怪人怪獣大百科・怪人篇」の中で13話のダイジェストが収録されているVHSが存在するそうですが未確認の情報です。ちなみにハヤブサさんから拝受した13話の映像は「テレビ大阪」のテロップが表示されたのでテレビ大阪放送時の録画映像だと思います。暫く、峰悠二氏が歌う「手のひらに何はなくとも」をEDだと認識していたがベストフィールドからソフト化された1話の中にはEDが存在せず、更には13話の中でも確認出来なかったので元々EDは制作されていないと断定して良いでしょう。それに、主題歌「アラーの使者」と共に収録された放映当時の東芝レコードでは「手のひらに何はなくとも」を挿入歌として紹介しているので、1話と13話以外の回で使用されたのだと思う。

 

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第一部は、カバヤン王国の財宝が隠された居場所を突き止める為の鍵となる4枚の秘図を巡って、カバヤン王国で反乱を起こした軍務大臣マダラカーンの孫・ダラマン、紅トカゲ団の一員であり獰猛なシュガール族とその首領とトンガレン、そして日本へ亡命したカバヤン王国の王位継承者・ココナツ殿下と妹のマミイによる争奪戦を描いた一編で全13話ある。13話の冒頭、秘図の暗号を解いた鳴海探偵一行はカバヤン王国の財宝を求めてカシミール地方に訪れていた。しかし、同じくカバヤン王国の財宝を強奪せんとカバヤンの土地へ向かった紅トカゲの首領・ 伊集院博士とトンガレンは鳴海探偵一行を襲撃。鳴海探偵は死人の谷へ打ち落とされた上、睦子とマミイが誘拐され邪教の神殿に捕らえられてしまった。そこへ突如、銃声と共に高らかな笑い声が響く。アラーの使者の登場である。格闘の末、睦子とマミイの救出に無事成功したアラーの使者はココナツ殿下と地質学者の山村博士等が待機するカバヤン砦に現れて鳴海探偵の無事を報告。帰還した鳴海探偵は一行を集め、カバヤン王国の財宝を秘めたミイラの入口のドクロ岩はシュガール族の蛮族でさえも「死人の谷」と恐れている崖の真下の辺りではないかと推定した。翌日、鳴海探偵一行はドクロ岩を目指して死人の谷へと向かうが、同時に鳴海探偵一行を尾行していたスパイから報告を受けた伊集院とトンガレンも死の谷へと後を逐う。秘図に刻まれた暗号「月さらに満ち、ミイラの墓を照らすドクロ岩に三日月の紋章浮かび出でる時、墓穴を掘るべし。扉開きて我がカバヤン王国の秘宝現れ出でん」を頼りに、財宝の在処を示す三日月の紋章が記されたドクロ岩を鳴海探偵が発見。洞窟内に潜入した一行は、遂にカバヤン王国の財宝の在処であるカバヤン王国の先祖の墓場に辿り着いた。しかし財宝の在処には既に先客が鳴海探偵を待ち構えていた。先客とはカバヤン王国の反逆者マダラカーンの孫・ダラマンである。ココナツ殿下始め一行に逃げる様に指示した鳴海探偵はダラマンと一騎撃ちになるが、間もなく銃声の反響によって洞窟が崩れ始める。睦子の呼び掛けで鳴海探偵は無事に洞窟外に出てココナツ殿下一行と合流。だが、出口に向かう途中に見掛けた財宝の在処へと進行する伊集院とトンガレン、そして財宝を強奪したダラマンから財宝を救い出す為に決意を固めて再び崩れ出す洞窟内へと向かった。一方、洞窟内では財宝を巡ってダラマンとトンガレンの醜い争いが勃発。財宝を取り合う中、アラーの使者が姿を現した。「欲深き者共め!このアラーの使者が天に代わって、貴様達を誠忠する時が遂に来たようだ!」(※名台詞過ぎて何度聞いても痺れる) 戦意喪失したダラマンとシュガール族との乱闘の末に必殺技のロケット光線を放ったアラーの使者は取り戻した財宝を手に、間も無く崩壊しようと音を立てる洞窟から脱出。逃げ遅れた伊集院とトンガレン、そしてダラマンは崩壊した洞窟の下敷きとなって絶命した。洞窟から帰還した鳴海探偵は、カバヤン王国の財宝をココナツ殿下に返納。ココナツ殿下は国土再建を努力し、財宝は国際赤十字社に寄付して世の中の不幸な人々の為に活用する旨を鳴海探偵に誓う。事件解決を迎えた鳴海探偵一行は共に悪と戦ったカシミール軍に別れを告げてカシミールの地を後にしたのであった。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200925001646g:plain 必殺技・ロケット光線。背中に背負った発煙筒に通した管を指の間に挟んでボタンを押せば煙が発射される仕組み。

 

13話は秘図の謎が解けた状況下で遂に財宝争奪戦に展開する完結編なだけに続きが気になって発狂寸前に陥る1話とは異なり緊張感に包まれた1作。怪事件の発端を描いた1話は推理色の強い話だったが、13話は異世界に迷い込んだ様なカシミールの異国情緒に溢れる世界観がミステリー調に描かれている。カバヤン王国の財宝が眠る最終ステージが王位継承者のみぞ知るカバヤン国王の先祖の墓地と云う神聖でミステリアスな空気が一層緊迫感を煽るのだ。そして入念なセットの作り込みに一目置く。鳴海探偵一行が足を踏み入れる前に既に人骨が散乱して荒廃しているのは、聖域を穢された陰鬱な雰囲気を効果的に表現していると思うが、先客及びダラマンの侵入の暗示だったのだろうか。(鳴海探偵が来る迄、墓地内で財宝を探していた?) 棺から起き上がる骸骨の姿に扮したダラマンの指先まで神経が行き届いた怪異的な登場シーンの狂気に震える。クライマックスを飾る洞窟崩壊の伏線を敷いた地質学者山村博士の解説が興味深い。「洞窟にしては明るい」と疑問を抱くココナツ殿下に対して、岩盤の随所にある水滴が岩の隙間(亀裂)を伝わり偏光プリズムが作用して間接的に太陽が差し込むのだと解説した後に、岩の隙間が水の浸食作用によって広がる為に崩壊する危険性を懸念したのだ。その後山村博士の予言通り、鳴海探偵とダラマンの一騎打ちの際に発砲した銃声によって洞窟は崩壊の道を必然的に辿るが、窮地に陥った伊集院博士とトンガレン、そしてダラマンに向かってアラーの使者が捨て台詞に「このカシミールの守り神が間もなく貴様達の悪の根を遂げるに違いない……そーら、その祟りは起きるのだ!」と、必然的な事象を奇跡に昇華しているのが益々秀逸である。何より、アラーの使者及び鳴海探偵の荘厳なヒーロー性と存在意義が克明に描かれた1作ではないだろうか。演者の千葉真一氏の容姿や声色と云った性質面や華麗な立ち振る舞いも見応え十分(中でも正義の高笑いが至高過ぎた)なのは大前提に演者の魅力を踏まえた上で、正義を説き悪を討つ偉大な名言の数々は崇高極まりない。特に印象に残っているのは、洞窟内が崩壊し始めて睦子が鳴海探偵に危険を知らせに来た際、同じ状況下にいるダラマンに対して「おい、ダラマン。もう直ここに岩が崩れてくるぞ。一緒に逃げたらどうだ!」と、悪に支配された敵でさえ救いの手を差し伸べる場面。主題歌の2番の中に「ああ あの人は愛の人 みんなに光を運ぶ人」と云う歌詞があるが正しく、アラーの使者は闇に染まった悪党にも光を与える慈愛に満ちたヒーローなのだと感服。所作の美しさも然る事乍ら、心清らかな美しさが内面から溢れて外見に迄影響を齎してると云うか。(一点の曇りも無い目の輝きが眩し過ぎる) 最後に余談だが、鳴海探偵一行が死人の谷に向かう途中に遭遇した「砂漠に住む怪鳥」が気になって仕方ない。喧ましい鳴き声に一瞬身構えたし、もしや怪獣が登場するのかと期待してテンション上がったけど結局音声だけで(´・ω・`)ショボーン…

 

追記:工藤市郎先生のコミカライズを参考に、聞き間違いだと考えられる台詞等は訂正しました。