これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

コダマプレス/『ウルトラマン 決死の対決!』~ネロンガ!ベムラー!チャンドラー!

 

嗚呼、不覚!コダマの「怪獣がいっぱい特集号」シリーズって、『前世紀怪獣大あばれ』『宇宙怪獣大あばれ』全2種類だと勝手に思い込んでいたのだが、もう1種類あった。(以前、Takujiさんに「全2種類、これで全部です!(自信満々)」って大虚言してしまった。御免なさい。) 今回入手した『ウルトラマン 決死の対決!』で「怪獣いっぱい特集号」シリーズ全3種類確定ならば品番からして最終章。前2作は前後編のシリーズ作品だったのに対して、本作は前2作と切り離した独立作。上原正三氏によるオリジナル脚本である。1966年7月発行と云う事は、上原正三氏が初めて手掛けた『ウルトラマン』の脚本だろうか。挿絵は石原豪人画伯。独特な構図と幻想的な筆致でテレビドラマでは味わえない独自の世界観を構築している。「怪獣がいっぱい」を武器に展開されたシリーズだからなのか、ウルトラマン以上に怪獣の活躍が目星い一作だ。ドラマはA、B面で約10分。(「ウルトラマンの歌」、「特捜隊の歌」除く。)

 

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以下、物語の粗筋。航空記念日に空の祭典に訪れたフジ隊員とホシノ少年は超音速ジェット旅客機のコンコードや最新鋭のジェット戦闘機、アクロバット飛行の見物を愉しんでいる。ところがその時、二人の目の前でF6ジェット機が次々と富士山麓に墜落した。「ホシノ君、犯人は怪獣よ。北極怪獣のチャンドラーがジェット機にぶつかっているのよ。」フジ隊員の云う通り、チャンドラーがジェット機の編隊の中で暴れ回ってジェット機を8機も墜落させたのだ。そしてチャンドラーは富士山麓に姿を消した。緊急事態発生!フジ隊員は科学特捜隊に通報。キャップの号令でハヤタ、アラシ、イデの各隊員がジェットビートルで現場へ出動し、行方不明となったチャンドラーを捜査すべく上空から偵察した。と、そこへ湖が突然泡立ち、怪獣の咆哮が轟く。「こちらフジ。キャップ、ベムラーが出現しました。」チャンドラーの出現に伴い呼び起されたベムラーは、フジ隊員とホシノ少年が居る方向に迫ってきた。二人はキャップの指令で危険地からの脱出を試みるが、車のエンジンが掛からない。更に迫るベムラー「危ない!フジ隊員、車を捨てて逃げろ!そのまま樹海の中へ逃げ込むんだ!」キャップの機転により難を逃れたフジ隊員とホシノ少年は樹海に逃げ込んだ。だが、先は行き止まりになっていた。ハヤタはスーパーガンで援護射撃するが、ベムラーに効果はない。尚、フジ隊員とホシノ少年に迫るベムラー「どうしよう、ベムラーがやってくる!僕たちを踏み潰すつもりなんだ!」と、そこへ行方不明だったチャンドラーが出現。迫る二大怪獣!その時、ベムラーが怪光線を発射し樹海は火の海となった。しかしフジ隊員とホシノ少年に襲撃したと思われたベムラーは両者ではなくチャンドラーの方へと進行していくではないか。ベムラーは両者を狙って襲撃したのではなかった。ベムラーの怪光線によって溶解するチャンドラーの翼!フジ隊員とホシノ少年の救出に現れたハヤタ、イデ、アラシ。ベムラーはね、このアラシ隊員が退治してやる!」威勢の良いアラシ隊員の言葉が伝わったのか!?チャンドラーに勝利したベムラーが科特隊の方目掛けて迫った。アラシ隊員は得意のスパイダーショットでベムラーの眼を狙い、見事に命中。片眼が潰れたベムラーは目が見えずに怪光線を滅茶苦茶に吐き散らしている。と、その時!突如山崩れと同時に怪獣の鳴き声が轟く。「透明怪獣……。キャップ、もしやネロンガでは」ハヤタの予想は的中した。ベムラーが発射した怪光線をエネルギーとして吸収したネロンガが姿を現した。ネロンガベムラーに向かって放電光線を発射。遂に怪獣はネロンガだけが残った。「よーし、ネロンガにもスパイダーショットの威力をお見舞いするぞ!」アラシは再びスパイダーショットを武器に対抗するが、まるで効果がない。そればかりか逆にネロンガの放電光線を受けてアラシ隊員は負傷した。「我々の武器はネロンガのエネルギーになるだけです!」ハヤタの一言でキャップは各隊員に退避を命じ、洞窟へ逃げ込んだ。このままでは科特隊は全滅してしまう。「僕がジェットビートルでネロンガを誘導します。」ハヤタは皆の目から逃れると岩陰でフラッシュビームを焚いた。さあ正義の味方ウルトラマンよ、我々の為に戦ってくれ!ネロンガを持ち上げて怪力を発揮したウルトラマンはそのままネロンガを岩の上に投げ付け、見事にネロンガを退治した。強いぞ、ウルトラマン!そしてウルトラマンは一瞬にして姿を消してしまった。君が怪獣に会った時、透かさずウルトラマンの名をお呼びなさい。ウルトラマンはどこからでも飛んできてきっと君を助けてくれるに違いない。ウルトラマンは君の味方なのだ。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200822220655j:plain↑ 富士山を背景に接戦を繰り広げるチャンドラーとベムラー。重量感溢れる壮大な爆裂ボディのベムラー!疾走感に満ちたチャンドラーが暴れ回る!

 

物語の幕開けに登場する「航空記念日」と云えば『ウルトラマン』第33話「禁じられた言葉」に現れたフジ隊員の弟サトル少年を連想するが、本作ではフジ隊員の「友人」のホシノ少年が活躍する。何がスゴイかって、あのチャンドラーが飛び回るんだよ。第8話「怪獣無法地帯」で突風を巻き起こしてレッドキングを攻撃するも右の翼を捥がれて逃亡した、あのチャンドラーが飛び回るんだよ。(2回目) 「チャンドラーが凄いスピードで飛び回っている。」と云うホシノ少年の証言からして相当な速度だろう。チャンドラーと云えば「有翼怪獣」だが、本作では「北極怪獣」と呼称。(ネロンガも「透明怪獣」ではなく「エレキ怪獣」と表現している。) ジェット機8機を墜落させ人類に大打撃を与えたチャンドラーは、ベムラーの怪光線によって皮肉にも右の翼を焼かれてしまった。三大怪獣の勝ち抜き戦は最終的にウルトラマンネロンガに進展するのだが、第3話「科特隊出動せよ」でホシノ少年の手で撃たれたスパイダーショットが片目を命中し大打撃を与えた一方、本作でアラシの撃ったスパイダーショットの効果が皆無なのは虚しい。(しかしアラシはネロンガに対して本領発揮出来なかった代わりに(?)ベムラーの片目を潰す快挙を果たしたのであった!) ウルトラマンネロンガの決め手は、持ち上げて岩に投げ付ける(スペシウム光線なし)と云う、ウルトラマンの怪力を主張したバトルスタイルだ。怪獣同士の闘争で痛快なテンポで進行する本作だが、難を逃れたフジ隊員とホシノ少年の元へハヤタ達が救出に現れて一瞬安堵する平穏な空気を『ウルトラQ』のM108(かな?)が見事に表現していたのを始め、BGMが効果的に構成されていたのが印象に残る。それにしてもフラッシュビームを「天下の宝刀」と表現したり、ウルトラマンが帰る場所を「正義のお城」と表現したり、……なんてロマンチックなの?