これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

TVドラマ『少年ケニヤ』に関して

 

僕はこの作品に出会う為に生きていたのだな。(確信)

はい。アフリカのケニア地方を舞台に展開される日本人少年ワタルの冒険活劇ロマン『少年ケニヤ』を鑑賞したので感想です。東映製作のTVドラマ版。1961~1962年放映。物語は四部構成で、全41話。本作は長きに亘り、第1話を除く2話以降のポジフィルムが行方不明で同じ東映アラーの使者と同様に全貌を観る事が出来ない作品の1つだったが、近年全話分のポジフィルムが東映で発掘された事によって遂に全話が収録されたDVDが2017年に発売。幻だった作品が復活を成し遂げたのである。舞台が異国情緒に富む秘境アフリカなので部族や猛獣含む野生動物が活躍するのは想像に難しくなかったのだが、まさか毒ガスを装備したロボット兵器が出現するとは。(驚愕) 物語の冒頭、主人公のワタルは理学博士で在り原子力科学者の父・村上博士と共に小型飛行機でケニア地方のジャングル地帯上空を飛行していた。村上博士が国際アフリカ資源開発調査団の一員としてウラニウム調査の為に日本からケニア地方に渡航した一方、動物学者を志すワタルはケニアの野生動物を目当てに同行したのだ。ジャングル地帯を通過し、山岳地帯の上空に辿り着いた時、ガイガーカウンターによって強い放射能を持つウラン鉱を岩山で発見。察知した場所へ近付こうと降下を開始した瞬間、急に山から機関銃が発砲された。ワタルと村上博士は落下傘で緊急脱出し、無事に地上へ着地。ワタルは父と約束した通りピッコロを吹いて居場所を知らせるが、風に流された両者は密林の東と西で離れ離れに着地した為、ピッコロの音は父に届く事は無かった。こうして広大なアフリカで父を求めるワタルの冒険と旅が始まったのである。

 

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上述の通り物語は部分け構成。ケニア地方を舞台に、ウラニウムの独占を目論む悪党と部族の闘争を描いた第一部(1~13話)「魔人の山」編。王国の姫君と財宝の争奪戦を描いた第二部(14~26話)「バジャー王国」編。世界征服を目論む科学団の陰謀と対立を描いた第三部(27~39話)「地獄の密林」編。そして、アフリカを黒人だけの国にする為に異人種排除を目論む黒人テロ組織との闘いを描いた第四部(40、41話)「マウマウ団」編。主な登場人物は父を探す日本人少年ワタルを始め、マサイ族の大酋長であるゼガ、両親を探すイギリス人少女ケート。他にも、マサイ族の少女ロンダ、インドの私立探偵アッサム等、第一部でワタルの側で活躍する仲間は人種雑多だ。加えて、ワタルのピッコロに誘われてゴリラのポンゴや大蛇のダーナの野生動物達もワタルの友人である。ワタルは所謂「普通の少年」だ。作中の第10話によれば、中学二年生と云う設定なので14歳(ワタルを演じた山川ワタル君も当時14歳)だと思われるが、生まれ持った特別な超能力も無ければ、選ばれし勇者でもない。現に、第1話で飛行機の中から野生動物を傍観するワタルは紛れもなく父親の保護下で大きな自由もなければ不自由もない状況だった。父と生き別れてしまった後も、ピッコロを片手に泣き出す事しか出来ない無力な少年だった。しかしワタルは父に再び出会う為に未知なる土地を旅し、人種雑多な仲間と出会い、闘いながら生きていく力を身に着け、善悪を区別する能力を得る。そして大切な人を守る心を育んでいく。そうしたワタルの成長は、綺麗だった衣類が次第に汚れていく過程や駆使する武器の変化によって可視的に成長している部分もあれば、言動や態度等精神面での成長も窺える。最後まで父に再開する為、時として敵対する相手も魅了させた日本人の勇気と信念を持ち続けたのだ。でもまさか槍から始まり、最終的に機関銃をぶっ放すとは思わなんだぞ。さて、ワタルの成長過程も本作の魅力の一部であるのは確実だが、「父親の捜索」と「アフリカの探検」の間で緊迫した状況下に出現した個性豊かな怪しい登場人物の面々も本作の魅力である。次々に現れるアフリカに蔓延った悪党の野望はハードでシリアスに進展し、特に第三部では少年少女や科学者を狙った人身売買や土人を奴隷ビルに収容して過酷労働、終いには中性子爆弾を悪用して世界平和を謳う組織も出現する等して悪行の描写も残酷卑劣を極めているにも関わらず陰鬱な雰囲気にならず娯楽性が高まっていくのは、偏に破天荒で愉快なキャラクターの影響が大きい。三魔神に対抗して出現した謎の三騎士、敵か味方か分からない怪人エックス、ガマ山を支配するムンダラ仙人、ムンダラ仙人の弟子で大鷲使いのタリタリ小僧、密林の魔女トツネ、御人形大好きトカゲ族の若酋長怪力ゴメロ、酔っ払いロベール教授、怪し過ぎるシルバーホワイト!世界観に吸い込まれる心地良いテンポの良さも好印象。作中にはアフリカで撮影した(と思われる)作り物では無い野生動物や部族、大草原等の映像が挿入されており、空想と現実の狭間を融合して臨場感を演出しているが、実際役者のロケは箱根の山野等日本で撮影らしい。違和感どころかアフリカの絵作りに対してリアリティを追求した名作だと思う。部落が流暢に日本語喋るのは除いて。 それにしても「父探し」から始まり最終的には世界征服を目論む組織と衝突する破目になろうとは誰が想像するものか。もう13話の終盤でナイロビ目指してワタルとケートと一緒に部落を出た筈のゼガが14話の冒頭で消えてる時点で先の展開読めなさ過ぎてワクワクが止まらなかったぞ。

そして御覧の通り、ワタル君が美少年過ぎたな。僕の様に少年愛好兼特撮好きにはたまらない作品であるのは間違いない。(ショタコンが悪化する音) 主人公のワタルは一般公募2000人の中から沓名信夫(くつな のぶお)君が抜擢された。本作の原作者である山川惣治先生の「山川」と主人公の「ワタル」から芸名が「山川ワタル」に決定したと云う。容姿的なイメージが重要なのは前提に、元々俳優ではなく普通の少年故に生まれた純粋で素朴な雰囲気や芝居がワタルの好演に繋がったのだろう。余談だが、ワタル君は4年後の1965年に手記を雑誌に寄稿して『少年ケニヤ』撮影時を回顧している。産経新聞で連載されていた山川惣治先生の『少年ケニヤ』に夢中だった事、兄の推薦で『少年ケニヤ』主人公のオーディションにワタルの恰好を真似た写真で挑んだ事、彫刻家を夢見ていた事、女学生に恋をしていた事。嗚呼、あの瞳に宿る美しい輝きは初恋の娘が胸に住んでいたからなのか……!!!

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200821142341j:plain↑ 『少年ケニヤ』に登場する主な怪獣、怪人達。左上から右へ順に大蛇のダーナ、ゴリラのポンゴ、ポンゴの息子ブン、吸血花、ゴリラのジュジュ、大鷲、大恐竜、人食いヒヒ、地獄の使者シルバーホワイト、大蜘蛛、怪人エックス、毒ガスロボット。他にも三魔神や三人の騎士、白い神様もいるぞ!

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200822192511j:plain↑ 「女学生の友」1965年7月号掲載。山川ワタル君の手記「『少年ケニヤ』からTVスターにジャンプ」の一部。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200822192731j:plain↑ 「小学四年生」1961年10月号掲載。「少年ケニヤの日曜日」。ワタルを肩車するポンゴ。みんな私服で可愛い。(卒倒)