これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

『快獣ブースカ』ロケ地/豊島園(7/5追記)

 

快獣ブースカ』第46話「空飛ぶ音楽堂」のロケ地、豊島園(現:としまえん)に行ってきました。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704111211j:plainf:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704111332j:plainとしまえんメインゲート。公式キャラクターのエル&カルちゃんより目立ってるトム&ジェリーなんでだよ。

 

豊島園とは、1926年に実業家の藤田好三郎氏が自らの所有地だった練馬城跡に一部開園した後、温室などの園芸エリア、ボートハウス、ウォーターシュート、古城の食堂、テニスコート、音楽堂等の施設を整え、1927年に全面開園した屋外行楽施設である。当初は運動と園芸を東京都民に奨励する為に公開されたそうですが、次第にプール施設やBBQ場、お化け屋敷やカルーセルエルドラド(メリーゴーランド)、サイクロン等のアトラクションが導入されて、現在の「としまえん」が完成。今年で94年の歴史を誇る豊島園だが、残念ながら来月8月31日で閉園されるとの事。個人的な話になるが、幼少期は殆ど家族全員が揃って遠出した経験が無い中、豊島園は家族全員で日曜日に遊びに行った記憶が鮮明に思い出される。ミラーハウスが面白くて何度も入ったり(毎度鏡にぶつかった)、「お化け屋敷行こう」と父上に手を引っ張られたり(怖くて入れなかった)、懐かしい。

さて、そんな悠久の歴史の中、1967年に豊島園は『快獣ブースカ』の撮影に使用されました。サブタイ通り、嘗て園内に存在した「音楽堂」がメイン撮影地です。音楽堂は、豊島園開園当初に完成した施設で、実際に1928年~1955年の園内マップに存在を確認出来ます。解体時期は不明ですが、1970年の園内マップには見当たらないので『快獣ブースカ』の撮影が行われた1967年と1970年の間に解体されたのだと推測。(音楽堂の近隣にあった野外ステージのみ残留?現在は野外ステージも解体済。) なので、正しくは跡地巡礼。(笑) 音楽堂の跡地について豊島園のインフォメーションに問い合わせた所「断定は出来ないが、それいゆ広場とエルドラド広場の間」との御回答。資料の一般公開は行っていないそうなので、練馬区立石神井公園ふるさと文化館(豊島園含む練馬区の歴史や伝統文化を所蔵している)へ足を運び、過去の豊島園の全景地図や豊島園の凡ゆる資料が掲載された図録「夢の黄金郷 (エル・ドラド) 遊園地展」を入手。常設展示内には、図録にも掲載されている1926年頃の練馬城跡豊島園全景が展示されていました。他にも関連書籍等の情報を頼りに、現在配布されている園内マップと音楽堂が存在していた頃のマップ多数と比較。年代によって多少位置の誤差はあるものの、姿形が変わらない園内を流れる石神井川を軸に考慮すると現在のカルーセルエルドラド及びエルドラド広場周辺だと思われる。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704113248j:plainf:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704155202j:plain↑ (右)建築写真文庫「遊園地施設」掲載の豊島園配置図。(1956年) (左)現在のとしまえんマップ。(公式サイトより引用) (下)少々ズレてしまいましたが、二つの地図を重ねたもの。音楽堂はエルドラド広場周辺。

 

開園当初から変わらぬメインゲートを抜けて、直進。石神井川を渡った先に音楽堂が存在した。音楽堂の周辺も殆ど当時と変わっているので断定は出来ませんが、やはり現在のエルドラド広場が該当位置かと思われます。理由としては、①上述の通り嘗て音楽堂があった地図と現在の地図を参照した際にエルドラド広場が該当する。②作中の該当場面に度々サイクロン(ジェットコースター)の鉄骨が映り込む。インフォメーションに問い合わせた際に御教示頂いた「それいゆ広場とエルドラド広場の間」も一理あります。「空飛ぶ音楽堂」は、音楽の魅力に感銘を受けた大ちゃんグループがブースカとチャメゴン様を交えて「ブースカ楽団」を結成する娯楽性の高い一編ですが、新たに大ちゃんグループに加わった少女・まゆみとブースカの切なくも美しい出会いと別れが描かれています。音楽堂が登場する該当場面は、ブースカの妄想(13:40~)、まゆみと大ちゃんグループの出会い(14:55~)、ブースカ楽団夢のコンサート(23:04~)。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704184621j:plainf:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704193026j:plain↑ (上) 音楽堂が存在したと思われる現エルドラド広場周辺。右手に写っているのが、カルーセルエルドラド。左手に進むとそれいゆ広場に繋がる。(下) 音楽堂で演奏するブースカとまゆみの背景にある鉄骨は現サイクロンの一部だろう。

 

跡地なので姿形のない音楽堂に想いを馳せ、暫く留まって多幸感に浸ってしまった。エルドラド広場の周辺は嘗て音楽堂の周辺に木々が生い茂っていた様に、同じく緑に包まれている。もうそれだけでいい。十分幸せなのだ。目を閉じると泣きそうになる。 ところで、音楽堂はドーム型の建築物だが、「空飛ぶ音楽堂」に登場する音楽堂はデザインをアレンジして(?)、トンガリ屋根の音楽堂が登場した。勿論、撮影の為に実物に対してトンガリ屋根を建築した訳ではなく、作中に登場するトンガリ屋根の音楽堂はミニチュアを使用して撮影。開園当初、音楽堂は確かにドーム型の建築物でしたが、1955年以降に豊島園が販売した絵葉書や作中に登場する映像の一部を凝視した所、どうやら嘗て存在したドーム部は平坦(若しくはそれに近い状態)に変化しているではありませんか。全容が分かる資料が手元にないので、これもまた憶測にはなってしまいますが。トンガリ屋根はフィクションだと信じたい。独自にデザインされたトンガリ屋根の音楽堂は、どことなくロケット型にも見える。そもそもブースカの念動力を使って音楽堂を飛ばして更に多くの人々に合奏を広める突飛な発想が秀逸である。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200705023816j:plain↑ 両方豊島園から発売された絵葉書。右は1955年以降、左は1935年前後。右は一部しか写っていないが、陸屋根っぽい。

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200705023824j:plain↑ 「空飛ぶ音楽堂」本編より。(右)実際の音楽堂の一部。(14:55~)(左)ミニチュアの音楽堂。(23:51~)
 

音楽堂の他、作中には豊島園内にあるアンチックカーの映像が挿入されていますが(16:00~)、アンチックカーは現在も稼働しているアトラクションです。1966年に導入以来、殆ど姿を変えずに現存しています。フォード・モデルTと呼ばれるクラシックタイプのオープンカーで、120mのエリア内を1周するアトラクションで、前列右側にはハンドルとクラクションが設置されているそうです。白、緑、青、ピンク、赤、黄色のクラシックカーが走行していた。作中でピックアップされたのは白色だろうか。そんな感じで、音楽堂を主軸に「空飛ぶ音楽堂」の撮影地に足を踏み入れて来ました。音楽堂は幻想になってしまっているが、音楽堂に居たブースカ達の面影を重ねながら豊島園の空気を吸えた事に価値を感じる。閉園は嘘だと云って欲しい。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704221551j:plain無人を狙って激写したアンチックカー。人が絶えない人気アトラクションでした。(ちょっと乗りたかったなあ)

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200704223045j:plain↑ 豊島園他、都内の遊園地の歴史が濃縮された資料性の高い図録「夢の黄金郷 (エル・ドラド) 遊園地展」が本当に良かった。なんと「空飛ぶ音楽堂」撮影時のスチル写真(一般人が撮影したプライベート写真?)が掲載されています。練馬区石神井公園ふるさと文化館のミュージアムショップで有償頒布中。郵送対応も行っているそうです。売切れ必至!

 

【7/5追記】音楽堂の建築物に関して御指摘を頂戴致し、事実誤認が発覚致しました。

当記事を公開した際、1967年の撮影当時は「ドーム型(丸屋根)の音楽堂が存在した」と記載致しましたが、1955年以降に豊島園から発売された絵葉書や、作中の映像に写る音楽堂の屋根一部を入念に確認した所、恐らく撮影時には丸屋根ではなく陸屋根(若しくはそれに近しい状態)だったと思われます。音楽堂がドーム型だった事を前提に「あえて丸屋根を写さない撮影を行った」のではないかと完全に誤った憶測や、誤解を招く比較画像は不適切と判断し、該当箇所は訂正の上、加筆致しました。事実誤認により誤った情報を掲載してしまい申し訳御座居ません。以後、厳重に注意致します。