これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

ミニミニ怪獣!シーモンキー飼育

 

夏だ!海だ!シーモンキーだ!(※まだ梅雨)

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200701205603j:plain↑ 玩具業界雑誌「トイジャーナル」1972年7月号掲載。1971年5月末に米国から輸入したシーモンキーは忽ちブームに。

 

目下、シーモンキー飼育に熱っぽくなっています。正式には僕のペットは「シーモンキー」ではなく、「アルテミア」なのですが。個人的な話になるが、事の発端は昨年夏。当時勤めていた小売店に「アルテミア観察キット」が入荷してきた。パッケージには、グロテスクでありながらミジンコの様にキュートな海洋生物らしき物体が描かれており、卵や餌など生物の育成に必要な部品がセットになった商品だった。まるで生物の匂いがしない。なんじゃこりゃと思って、店長にこれは何だと訊ねると、店長は「シーモンキーですよ。」と即答。僕は一層混乱しながら「シーモンキー」とネット検索すると、確かに「アルテミア」がヒットしてパッケージに描かれていた白っぽい透明のミジンコが大量に出現したのである。シーモンキーアルテミアは同種なのだろうかと疑問を抱きながら検索続行の末、今迄見ていた風貌とは明らかに異なる半魚人の家族らしき初見のイラストと共に「タイムカプセルにのってきた!シーモンキーの文字が目に飛び込んで来た。「あなたのペット 育てるのはあなた!」とも記載されていた。今思えば、この絵を見たのがいけなかった。勿論、先に「アルテミア観察セット」のパッケージでミジンコみたいなのを目にしていたし「シーモンキーも同じミジンコみたいな奴だろう」と薄々感じていたのもあって、まさかこの半魚人みたいな珍獣が卵から生まれる!なんて考えには残念ながら至らなかったが、妙に好奇心を刺激する絵だった。(実際、日本上陸時にこの珍獣のような誇大広告に夢見てシーモンキーを購入するが、いざ飼育を始めると絵と実物の非類似性に失望した少年少女が居た証言が残っている。) 少なくとも、その珍獣はキャッチコピーの助長もあって、未知なるUMA若しくは怪獣を連想させた。そして僕は「ミニミニ怪獣」をペットにすべく、「アルテミア観察キット」を入手。しかし、好奇心以上に生物を扱う不安(と怠慢)が勝ってしまい約1年の時を経て、やっと先日飼育開始したのであった。僕が入手したのは、アルテミアの卵、餌、海水のもと、観察用カード型ルーペ、説明書が入ったHNAの「ちょこっと実験シリーズ」のキット。メーカーに問い合わせたら、卵の採取地はアメリカ、餌はフランス産らしい。説明書に記載されたアルテミアに関しての情報は以下の通り。

 

アルテミア[英名:Brine shrimp]は小型の甲殻類(エビやカニの仲間)です。日本の水田に生息するホウネンエビに似ていて、その姿は1億年前から変化しておらず「生きた化石」と言われています。タマゴは乾燥や水質悪化に耐えることができ、水が干上がっても土の中で生き延び、再び水が与えられるとフ化することができます。

体長:約1cm(成体時)

寿命:約1~2ヵ月

※ ちょこっと実験箱「誕生 アルテミア」説明書より引用

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200701210217j:plain↑ 僕のペット。孵化から6日目。約1~2mm程度の幼体が5匹浮遊しているが、普通のカメラじゃうまく映らない。

 

生物の概要はだいたい理解した。だが、「シーモンキー」の単語がどこにも見当たらない以上、僕にとっては不十分な説明だった。僕が今飼育しようとしているのはアルテミアであってシーモンキーじゃないのだろうか。そこでシーモンキーに関する文献を調べると、シーモンキーの正体は確かにアルテミアであるが、アルテミアは属名、シーモンキーは謂わばペットネームであって、シーモンキーの開発者であるハロルド・フォン・ブロンハット氏が社長を務めていた米国のトランスサイエンス・コーポレーション(Transience Corporation)の登録商標と云う答えに辿り着いた。シーモンキーはブランドだったのだ。魔術師や発明家等様々なキャリアを持つハロルド氏は、虫ではなく小動物をストアで買うことが出来たら子供達が喜ぶだろうと考え、「魚の餌」としてペットショップに売られていたブラインシュリンプに目を付けたそうだ。しかし、自然のブラインシュリンプは孵化に時間が掛かり即席性に欠けている上、愛玩用としての飼育が困難だった。そこで1957~1960年の間、品種改良を重ねて1960年に「インスタントライフ」と云う名前で現在のシーモンキーを発表。 後にシーモンキーとネーミングした理由は、尻尾が猿に似ていて海水(塩水湖)に棲む事から由来されている。そしてハロルド氏は「シーモンキー」の名前で1964年に商標登録を行ったのだ。シーモンキーの正体は、品種改良を施したブラインシュリンプだった。ブラインシュリンプは、アルテミアの英名である。その後、パズルやマジック玩具を販売しているジョークトイメーカーのテンヨーが輸入。1971年5月末からセットとして販売した。晴れて日本上陸を果たしたシーモンキーは、第1回の仕入れの際に5万セット輸入。年内に売り捌けば上々と考えていた為に、最初は少年雑誌を利用した通信販売だけでスタートを切ったが、怪獣ブームが勃興していた影響もあって子供達から「ミニミニ怪獣」の尊称で奉られ、5万個は忽ち底を尽きたそうだ。前述の通り、少年雑誌を利用した通信販売のみだったシーモンキーは、テレビ、新聞、週刊誌等のマスコミが次々に取り上げ、「オモチャではないオモチャ」としてデパートや玩具屋に並ぶようになった。現在、国内だとハピネット(バンナム傘下)が、シーモンキーのキットを販売している。さて、シーモンキーが商標なのは解った。しかし、僕が手にしたアルテミアのキットや、市場にアルテミアとして出回っている即席生命の乾燥卵との違いは何だろう。シーモンキーとして販売されている商品の特徴として、「1」、「2」、「3」のシーモンキーを創造する為の袋が番号付きで付属している。シーモンキーの公式サイト(The Original Sea-Monkeys)やハピネットの特設サイトによると、1は浄水粉、2はシーモンキーの卵、3はエサ。手順としては、先ず用意した水へ1を入れて24時間放置→24時間後、2を入れて1分間かき混ぜると、数時間後シーモンキーが生まれる。一方、アルテミアのキットは、海水の元を入れる→卵を入れる→1日~3日経過後アルテミアが生まれる。シーモンキーは卵を入れてから数時間で孵化すると云うのに、アルテミアは24時間以上経過しないと孵化しない。はて、タイムラグが発生している。どうやらこのタイムラグを利用したトリックこそ魔術師としての顔を持つハロルド氏が生み出せたパフォーマンスであり、シーモンキーの特徴ではないだろうか。生命の誕生を即席化させ、手軽にペットを提供し、画期的な玩具を世に発表したハロルド氏の功績は偉大だ。しかし生命は生命であって、玩具ではない。人間の勝手で生殺与奪を握られているだなんて理不尽な話である。シーモンキーに対する最低限の敬意と飼育の責任は負うべきだ。

そんな訳で、僕のペットはアルテミアだった。しかしシーモンキーとして可愛がっている。(おい) 最初は、上述のちょこっと実験箱アルテミアのみ飼育していたが、6月27日発売の児童誌「小学8年生」の付録にアルテミア飼育キットが付いていたので、同時に飼育中。前者は飼育6日目だが、孵化率が低く5匹生きている。後者は昨日の夕方に入れた卵が今朝孵化していた。此方も卵の採取地はアメリカ。シーモンキーの成長だけが僕の生き甲斐だよ。(母性爆発)

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200701211219j:plainf:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200701211317g:plain↑ 「小8」のアルテミア飼育キット。説明書では、卵を塩水に入れてから1~3日との事だが、約20時間後に孵化した。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200701213641j:plain↑ 飼育に役立ちそうな資料を図書館から拝借。アルテミアの研究本とシーモンキーの専門書。何も情報が無かった状態で、今は亡きシーモンキーの父ハロルド氏に会う為に渡米した串間努博士の情熱に絶句。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200701220635j:plain↑ 「週刊少年チャンピオン」1971年9月6日号に掲載された通販ページ。代金分の切手を買って送ると、品物が届くシステムだ。「シーモンキー海猿)」として販売された。やはり、シーモンキーが一番気になる。(この売り方はズルイ)