これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

「日本昭和トンデモ怪獣大全」堤哲哉・著

 

「日本昭和トンデモ怪獣大全」を入手、読了。昭和ノスタルジーの世界をジャンル別に特集した「日本懐かし大全シリーズ」(辰巳出版)が魅力的なタイトルを続々発行されているのは何となく知っていたが、こんな沼の深いパチ怪獣だけを取り上げた聖典が輩出されていたとは。(しかも今年の春先に出版されたらしい。どうなってんだ。) 怪獣ブームの人気に肖ろうと熱気の隙間から続々と生産されては消失していった魅惑的な怪獣達の狂気に包まれた饗宴。雑踏に紛れて発作的に誕生した彼等の脳味噌にこびり付いて離れない驚異的な破壊力を持つインパクトは一体何なのか。ブロマイド、カード、シール、ぬりえ、メンコ、文具から雑誌の絵物語まで、貴重な資料の数々、圧倒的な情報量です。きっとこれだけ詰め込んでも「一部」なのに、底が見えぬ沼深さを感じる。筆者の堤哲哉氏は週刊『少年キング』の絵物語を始め、夜光人形やプラモデルにもなった「ガマゴン」への愛情が深く、本誌は『少年キング』発のオリジナル怪獣のガマゴンとライバルの「ガニリ」の特集から始まる。ストーリー化されたガマゴンとガニリの対決は、絵物語が制作された後に同誌で園田光慶先生が漫画を執筆。更に日活で映画化が構想されていた説もあるのだ。(岡里幸助さんの同人誌「SF怪獣群像」を参照してね。) ガマゴンに至ってはグッズ化進出を果たして数多の活躍を魅せた雑誌オリジナル怪獣界の巨魁だろう。と云いながら、浅学な僕がガマゴンは疎か『少年キング』怪獣の存在を知ったのは最近だったりする。(おい) コダマプレスの『宇宙怪獣大あばれ』のレーベル面に変なカメレオンみたいなのが印刷されてて「なんだこいつら」ってほざいてる記事に浅井さんがガマゴンだと御教授して下さったのが初めてだった。他にも雑誌から誕生したオリジナル怪獣の紹介の中には、週刊『少年キング』で短期連載された古賀新一先生の「人間怪獣トラコドン」の雄姿も。ブロマイド他の文具や玩具類の営利目的で発作的に強制出産させられた様なストーリーもなければ設定や名前すらない(もしくは適当に付けられた)怪獣や怪人達の子供を誘い出す魅惑的なフェロモンは群を抜いて強烈。有名怪獣の体の部位をコラージュして生まれた者、既視感が拭えないが一応オリジナルとして生まれた者、自由な発想で奇跡的に見事な個性を纏って生まれた者。彼等のフェロモンはテレビや映画で活躍した怪獣には無い独自の魅力を秘めているのだ。不覚にもジラースにクチバシ付けて耳生やした不気味であろう怪人に、エッフェル塔の横でニタ~と笑みを浮かべるハイタワゴンに愛嬌を感じてしまうのだ。それにしてもヤマプロ、エスプロ、ヨコプロ等、メーカー別の特色を分析して怪獣の存在を評価する境地に達している筆者の技量と愛情には屈服するばかりである。そしてガマゴンを始め、これらの怪し気な怪獣達に対して寛容なのに驚く。僕が6歳の頃と云えば、『とっとこハム太郎』に夢中だったが、その時期やはりハムスターブームになって偽ハム太郎みたいなへんてこキャラを数々見掛けた。だが僕は何でも受け入れる寛大な心は持ち合わせておらず、頑なに偽ハム太郎みたいな奴に嫌悪感を抱いていた覚えがある。紛い物が許せず正規のハム太郎しか愛さなかったのだ。だから、当時の怪獣少年はピュアだなと思う。怪獣とハム太郎を一緒にすな。

 

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今回大歓喜して踊り狂ったのは森永製菓の『怪獣大戦争』に関する言及。「ステレオカード」の紹介ページでトコちゃんキャラメルのおまけカードが駄菓子屋の景品として流用された経緯や、御馴染み「かならずもらえる!」景品のレコードが図版付きで紹介されている中、見慣れない流用商品の紹介が披露されていた。トコちゃんキャラメルのカードが駄菓子屋に流用された話は存じていたのだが、他にも流用商品が存在していたのだ。その名も「怪獣同盟」。ワンダーと云う会社の手帳である。『怪獣大戦争』の製作元であるK.K.ワンダービューと同社ではないかと推測されていて、シールやバッジ、メンコ等の付録が付いた当時価格200円の駄玩具。5枚組のメンコにはエレキドン、リモゴン、ゴムラー、ガンダーラ、バミラの姿が印刷されている。驚く勿れ森永ではカード化しなかった南山宏先生案の『少年画報』怪獣がグッズ化しているではないか。しかも何故かバミラがめっちゃチープで雑。これは一体何なんだーーーーーッ!!!!!?

 

 

日本昭和トンデモ怪獣大全 (タツミムック)

日本昭和トンデモ怪獣大全 (タツミムック)

  • 作者:堤 哲哉
  • 発売日: 2020/04/15
  • メディア: ムック