これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

ぼくら版『黄色い手袋X』

 

『黄色い手袋X』に関しての補足。『黄色い手袋X』の単行本は、1991年に大都社から発行された全2巻と、2004年にマンガショップから上下巻が存在する。後者は、云ってしまえば単行本の復刻と云う様な形で、前者と掲載内容が殆ど変わり無い。(扉絵は差し替えてある。) 前述の通り、1966年に講談社の「週刊少年マガジン」に連載された話は、2度に亘って単行本化している。しかし、桑田二郎先生が手掛けた『黄色い手袋X』は「週刊少年マガジン」の連載のみならず、同時期に月刊誌の「ぼくら」で短編が掲載された。長い間単行本化されなかった「ぼくら」掲載分の『黄色い手袋X』は、2005年に「外伝」としてマンガショップから単行本が登場。「週刊少年マガジン」の連載が長編なのに対して、「ぼくら」は1話完結の短編が殆どを占めている。「こころの宝の巻」、「水中ゆうれい団の巻」、「魔の飛行機の巻」、「電気人間の巻」(4話構成)、「タイトル不明」(雪男の話)の5話、全8回。恐らく読者年層も同じぐらいだろうし、『黄色い手袋X』のヒーロー像や精神、作風に大きな差異は見当たらないが、唯一挙げるとすれば、マカオの鷹の様な悪を象徴する存在や、レッドタイツ一味等の悪組織が引き起こす事件や対立が目立つ「週刊少年マガジン」版に比べて、「ぼくら」版は悪事を働く民間人の犯行を描いた話が多い。事件に深く介入しないと云う言い方は不適切だが、中立的な存在に位置しており「赦す事の尊さ」を説く姿が強く印象に残る。単に「週刊少年マガジン」は長編、「ぼくら」は短編である事が前提だと仮定すると、尺の問題を第一に桑田次郎先生が描き分けていたのかも知れない。例えば、「魔の飛行機の巻」。玩具産業の梅沢大尉が、模型飛行機大会で優勝した岩田一太郎の一式陸攻を買った。梅沢は岩田から受け取った設計図で模型飛行機を作り、世に売り出そうとするが、街では模型飛行機が次々に爆発を起こす事件が発生する。被害者は孰れも梅沢の知人で戦友だった。不審に思った黄色い手袋Xは、梅沢に問い質すと梅沢は太平洋戦争中に2人の男を無人島で裏切り、自分達だけが生き延びて来た事を告白。そして、模型飛行機は遂に梅沢を狙ってやって来た。模型飛行機を操縦していたのは、岩田だった。苦労の余り老け込んでいて梅沢は気付かなかったが、岩田こそ梅沢達が無人島で裏切った男の1人だった。黄色い手袋Xは、模型飛行機から梅沢を守り、説得を聞かない岩田と闘った。梅沢達は、岩田を裏切り見棄てた事を悔やんでいた。復讐に燃えていた岩田だったが、梅沢達からの謝罪を受けて改心。暴力で制圧するのでは無くて「正義を説く」を最優先とする精神は、黄色い手袋Xの特徴でもあるが、本作は特に説法が強調された回。それでも、飛び狂う模型飛行機と黄色い手袋Xの接戦の熱量は劣らず、レアアイテムの円盤武器も活躍している。特筆すべきは、黄色い手袋Xの名言「赦してあげなさい。それが自分の鬼のような心から、貴方自身を救うことになる。」…他人の罪や過失を赦す事で、自分自身を救うだなんて今迄考えた事も無かったが、いつまでも負の感情を抱きながら生きるのは辛い。他人を許す事は負の感情からの解放に繋がるのでしょうね。(まぁ、相手が犯した罪の度合いによりますが。) 黄色い手袋Xの武器・技と云えば、多様性に優れたステッキ、円盤、水中スクーター、トリック技(!)等ありますが、「週刊少年マガジン」版では披露されなかった技を「ぼくら」版で発見。特に独特で驚愕したのは、マントを駆使したパラシュート技と、ローラースケート技。(孰れも「電気人間の巻」に登場。) 「電気人間の巻」は、「ぼくら」版で唯一4話構成の短期連載作。国際陰謀団である"黒魔団"と云う名の悪組織が改造人間を創造し、日本の侵略を目論む大掛かりな話で死者も出ている。侵略兵器である電気人間を中心に、敵対組織との攻防も激しく、その証拠に「週刊少年マガジン」では見受けられない希少技が放出されたのだろう。謂わば奥の手とも云える、パラシュートとローラースケート。何方も武器とか技と云うより、秘密道具的な感じ。一見風呂敷に見えなくもないパラシュート技は、マントを駆使しているのだろうが、頭部との境目が非常に曖昧で滑稽だし、ローラースケートは、小型ロケットの様で緻密に描かれているが、何所に装備していたか不明だし、汎用性低そう。(でもスピードは結構出そう。) 

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200207003008j:plainf:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200207003044j:plain↑ 「ぼくら」版の「電気人間の巻」に登場するレア技。右がローラースケート。左がパラシュート。(可愛いでしょ。)