これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

『ULTRAMAN ARCHIVES』Premium Theaterスペシャルトーク&上映会 ~「カネゴンの繭」

 

9月21日(土)にイオンシネマ板橋で開催された『ULTRAMAN ARCHIVES』Premium Theaterスペシャトーク&上映会「カネゴンの繭」に御邪魔しました。ウルトラマンアーカイブスの内容に関しては、だいぶブーブー云って、天下のエンタニ様に対して苦情紛いの事しちゃってますけど(こら!)、やはり『ウルトラQ』に心酔してる以上、応援したい気持ちの方が勝ってしまう…。 第1弾「2020年の挑戦」第2弾「ガラモンの逆襲」第3弾「東京氷河期」、そして今回で第4弾となる「カネゴンの繭」。遂に『ウルトラQ』特集は今回で最終回を迎えました。作品上映に加えて、上映作品の関係者や作品に接点のある有識者をゲストに迎え、作品の深層部を見つめて、受け手に更なる魅力を理解してもらう趣旨だと思うのですが、従来の第1~3弾迄は、トリック撮影の仕組みだとかドラマの考察、怪獣のデザイン、造形の妙を謳う内容から今回は一転して「カネゴンの繭」と云う寓話のテーマに沿う、金融観だとか経済論がメイン。「カネゴン」と云うキャラクターの存在意義の追及ですね。と云うのも、今回はゲストに経済アナリストの森永卓郎氏と作家兼演出家の鴻上尚史氏が御登壇なされました。司会の御姉さんが「ウルトラマンアーカイブスと言えば、この方」と案内があった様に司会進行は、御馴染みの清水節氏。(コアチョコTが御似合いでした。) 本放送で「カネゴンの繭」を拝見なさったゲストの御二方は、カネゴンが訓戒となり、金銭への執着を止めようと心掛けたそうで、怪奇大作戦の大ファンだと自称する森永氏に至っては、カネゴンから御金の理念を得て、御金の事ばかり考えているとカネゴンに変貌してしまうと言う戒めが御自身の人生の基礎であったと語られた。職業柄、年収数十億を超える富裕層と長い付き合いをしている中で、庶民には想像に難しい突飛した金銭感覚と、御金への異常な執着、御金が増加する事のみへの多幸感に依存して、逆に減少していく事への苛立ちや不満を募らせる様子は、正しく御金を食べないと生きていけないカネゴンであると言及し、金融資本主義者を金の亡者だと唱えた。一方で森永氏は、他人から金銭を奪ったり、騙して金銭を稼いではならない金融資本主義とは真逆の理念を抱いているそうだ。その根底には、やはりカネゴンの戒めが根強く森永氏の人生に影響したのだとか。又、人が努力して汗水を流しながら労働する事で付加価値が生まれると唱え、価値と価格を区別しているマルクス経済学と、労働市場で買った人(労働力)と資本市場で買った道具が結び付いて付加価値が生まれる近代経済学を取り上げて、労働者と道具が横並びの経済学ではいけないのだと「カネゴンの繭」が警鐘しているのだと、経済アナリストならではの視点で作品の考察を語られました。金融資本主義の著名人の話が諸々出ましたが、SNSで拡散しないで下さいネと仰っていたので伏せます。(爆) 印象としては、金融資本主義者=カネゴンの主張が強烈でしたね。(失笑) 「最初はカネゴンの為に御金をあげる周りの子供達も次第に御金が底を尽きて、遂にカネゴンから皆離れている場面は、かなりリアルな描写かと思いますが、如何御考えですか?」と云う清水氏の問いに、「これが御金中毒。」的な事を森永氏は仰っていましたが、僕は「金の切れ目が縁の切れ目」と云うメッセージだと思ってました。最初は「友達だから」と不確かな理由で、子供達は金男に資金を援助しますが、次第に止まらぬ金男の欲求と自らの損失に採算が合わず、金男の元を離れていく。そもそも友情自体、ガラスの様に脆くて壊れ易い不安定なものですが、御金が原因で破綻した友情ってありませんか?僕はあります。 御金は人間関係を引き裂く力を持っています。そういった恐ろしさも、あの子供達がカネゴンの元を離れていくシーンで描出していると思う。鴻上氏は、カネゴンについて、金男君が正体だから完全な敵でもないし絶対的な悪でもない、だからと云って味方でもない善とも云えない宙ぶらりんな存在且つ、日常の風景の中に溶け込んでおり、カネゴンと云う異形者を受け入れ、普通にコミュニケーションを取る子供達を指摘し、当時は異物を受け入れる寛大な余裕のある時代だったと回顧なさった。これに関して森永氏は、逆に現代は正義と云う名目で他人を否定し、異物を排除する事に違和感を持たないのだと言及。そして、カネゴンの繭の中身はどうなっているのか?どうしてカネゴンはパラシュートで変身が解けたのか?ヒゲおやじ(=大人)が逆立ちするのは何故か?新興宗教みたいな神様は何者か?と云った、作中に散らばった不条理な問題を呈出し、「昔は不条理をテーマにした演劇が流行ったが、今は世の中の不条理がフィクションを超えてしまっている。そういった世の中に蔓延る不条理さも「カネゴンの繭」が教えてくれている。」と提唱された。繭に関して、1966年4月発行の「ぼくら4月号」では、カネゴンの繭は宇宙から来た説を提示しており、繭に吸い込まれるのは"がめつい奴に限る"との指定があったり、豊田有恒先生版「カネゴンのまゆ」では、金男君を宇宙人が繭の中で引き摺り込んでカネゴンの服を着せて催眠術をかける奇天烈な描写が展開されたりと、孰れも繭に関しては実体の掴めない不明瞭な表現。宇宙から飛来してたら素敵ですけどね。鴻上氏の御話で、非常に考えさせられたのは、金男君は本当に人間に戻りたかったのか?との疑問。友人のアキラ君の元へ相談しに行った際に、アキラ君は、人間に戻す協力代として金男君に200円を請求するが、「それならこのままでいい」と出費を惜しみ、すんなりカネゴンの姿を受け入れてしまうのである。多摩付近で撮影されたのではないかと議論された造成地は、金男君が繭を拾った場所であり、カネゴンから人間に戻る場所だから、破滅と再生そのものを象徴する場所にも思えてくる。変わって、カネゴンのデザインや造形に関しては、がま口と妊婦をモチーフにデザインされており、体部は筍状で、足元にはランプが点滅し、頭部はターンするユニークで可愛らしくも不気味と云った、絶妙なラインを辿った成田・高山コンビの傑作であると、主に博学な清水氏によって解説が展開されました。一説に、足部のランプは床に落ちてる御金がすぐ見つかる様に付いているのだとか。左胸のコインカウンターは、5桁。云わずもがな、御金が主食のカネゴンが御金を口にして体内に投与した金額がカウンターに反映されますが、消化もします。0になると死ぬ。(一度でいいから見てみたいカネゴンが死ぬところ。) 人間で云うと、心臓の位置ですよね。ちなみに、1日に必要な額は当時の御金で3,520円。(大伴昌司氏による設定みたいです。) 今の御金に換算すると約5倍だと云うので、だいたい2万円(!)ぐらい。造形に詳しい某氏に教えて頂いて個人的に驚愕したのは、カネゴンって親指と人差し指、人間の指なんですね。正しくはスーアクの中村晴吉氏の指と云いますか、指が露出してるの存じて居らず、いきなり半人感すげえって感じですし、見る目が完全に変わったぞ。いや、逆に何で今まで見落としてたんだよ、だな。(観察力皆無ですねマジで反省してますあじゃぱー) 他にも、カネゴンフランツ・カフカの短編小説『変身』に登場する虫だとか、金男が繭に飲また一晩の悪夢描写はシュルレアリスムの影響下で生まれた画ではないか等、洞察に富む興味深い御話を拝聴出来ました。最後に、「『カネゴンの繭』はイソップと並ぶ寓話の傑作篇である。」と謳う森永氏の後に続いて、鴻上氏は「子供の頃にカネゴンによって御金に対する戒めが生まれたのだから、今度は今の子供達へこれからそういう怪獣を創るのが円谷さんの使命なのではないか。」と円谷プロに寄せた期待の声に細やかながら拍手が湧いてましたね。(僕もそう思います。) 当日までは、何でゲストにこの御二方なの?ってモヤモヤしてたのですが、森永氏は、先月御出版された金融教育の教科書「親子ゼニ問答」、鴻上氏は、此れから開催される舞台「地球防衛軍 苦情処理係」宣伝を大いに兼ねての御登壇でしたね。(爆) 絶妙にカネゴンと特撮を切り離せない内容なのが憎いぞ… 専門家の突飛した考察と論理は予想以上に刺激的でした。白黒モノラル上映された「カネゴンの繭」は、改めて、カネゴンを目撃した者のリアクションが子供と大人とで意識的に区別してるな、とか、少年達の脚を捉えたカメラアングルが一部超やましいな、とか、金男君の部屋に貼ってある御金ポスター僕も欲しいな、とかそんな事考えながら愉しませて頂きました。僕は、金男君が繭に取り込まれる一晩の神聖なダークファンタジー的描写と、空腹で銀行を襲撃する獣的なカネゴンが御気に入り。成人女性の悲鳴と、理性を失い本能剥き出しに小銭を貪るカネゴンの交差に興奮します。本作は、既に社会に介入してる大人達に向けてでは無くて、此れから社会を背負う子供達へのドラマだと思っています。核は、本プロジェクトも掲げている様に「拝金主義へのアンチテーゼ」を主題とした社会風刺でしょうが、人間に生まれた以上、御金は一生付き纏う問題ですから、拝金せざるを得ないのが世の中だと思います。何をするにも御金が必要です。しかし、御金の奴隷ではいけない。頭ではそう思ってはいるのだけれど…。金男君の拝金思想を警告した両親すらカネゴンに変身してしまう衝撃のラスト。そして、金男君が見た悪夢的な教訓を冒涜する残酷な絵図。実は、君も僕も、もしかして、人間は皆カネゴンなのかも知れないね。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20190922003906j:plainf:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20190922004055j:plain↑ 今回から入場時に、イベントの概要とゲストのプロフィール等が掲載された簡単なパンフレット(しおりみたいなもの)が配布される様になりました。途中からカネゴンも登壇して、御三方でフォトセッション。

 

当日は、16:30頃に会場のロビーにてカネゴンのグリーティングが開催されました。事前に円谷プロツイッターで細やかにアナウンスされていたのですが、登場怪獣とのグリーティングは、初回のケムール人以来で、時間と場所指定の告知を取り入れての開催だと、今回が初めてですよね。ガラモンもペギラも開催すれば良かったのにぃ。 礼儀正しい上に、愛想の大変宜しいキュートなカネゴンでした。コインメーター¥77777。(ちなみに劇場登壇時は、何故か¥22222に変更。) カメラを構えていたら、ポーズをどんどん切り替えて下さって、途中からカネゴン独占撮影会に。(爆) 通り掛かった幼女先輩が、御祖父ちゃんに抱っこされて、カネゴンと御写真撮ろうとしていらしたのだが、「こあい~!!!!!」と全力で拒絶されてて笑った。撮影会の途中で、大きな一円玉が登場してスタッフが用意したのかな?と思ったら、なんとファンの美大のイケメンが持参した小道具だと聞いて吃驚。ちゃんと令和元年。突然の御馳走に狂喜なカネゴンが可愛かったぞ。物販は何も買わないつもりでしたが、M1号の復刻カネゴンを御迎えしてしまった。(!) 微妙にスケルトンなの。御利益がありそうなカラーリング。透明なのは、無条件にワクワクするし、光の加減で色んな表情を見せてくれるから好きだ。そんな感じで、「カネゴンの繭」に迫った有意義な一時でした。一番衝撃だったのは、やっぱカネゴンの指だなぁ。(笑)

 

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