これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

ぼくらコミックス『3大怪獣の大決闘まんが!ウルトラQ』井上英沖

 

先日からこの話題ばかりで恐縮ですが、「戸川一平大百科」は通販分も完売しました。これにて頒布終了とさせて頂きます。御求め下さり大変有難う御座居ました。通販分は、昨日から順次発送させて頂いております。御到着まで今暫く御待ち下さい。以下、本題。『ウルトラQ』コミカライズの一つ、井上英沖先生による『3大怪獣の大決闘まんが!ウルトラQ』に関して。本当は、「戸川一平大百科」のデッドライン前迄に本作を入手したかったのですが、叶わず、同人誌には「資料不足により全貌が確認出来なかった」旨で、省略させて頂いた一作です。(済みません) 本作は、『ウルトラQ』放映時に連載していた、中城健太郎先生や川崎のぼる先生、江波譲二先生とは異なり、放映終了後の1967年10月号「ぼくら」の別冊付録にて公開されました。『ウルトラセブン』放映開始時と重なります。タイトルに在る「3大怪獣」とは、『ウルトラQ』に登場したラゴン、ペギラ、そして、巨大怪人。巨大怪人は、秘島に咲く巨大花の花粉と、その際に飲んだ泉の水が原因で怪獣化した元人間である。本作唯一のオリジナル怪獣であるが、「変身」に登場する「巨人」と設定が類似している。(相違点として、「変身」はモルフォ蝶、本作は巨大花。) 内容は、上述の3大怪獣を主役とした井上先生による完全オリジナルストーリー。

 

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↑ 一度見たら、忘れない(忘れられない)強烈なラゴンの表紙。全162頁と、単行本並みにずしっと分厚い。

 

B海域で、謎の漁船遭難が立て続けに勃発。遭難者の一人であった漁師のテツが、奇跡的に救出された。遭難当時の状況をテツに調査する旨を報道する毎日新報のニュースを目撃した地質学者の吉田博士は、由利子を伝い、テツと出会う。吉田博士の息子・健二は、古代怪獣の研究者で、「怪獣がいる島」へ友人と出掛けたきり、行方不明となっていた。3年前、行方不明の友人の訃報と共に、怪獣に襲われる寸前の健二が写ったフィルムが手元に届いた吉田博士は、健二の行方を捜索に怪獣島への出向を決意し、テツの案内で、駆け付けた淳、由利子、一平くんと共に、B海域に存在する怪獣島へ向かった。まるで幻想の様に、霧と共にB海域に現れた怪獣島に上陸して間も無く、固定していたテツの船を破壊しながら、海上にラゴン出現。しかし、ファーストコンタクトは御約束のチラリ。 健二捜索の為、島を巡回する途中で、フィルムにも写っていた「巨大な花」と、「大とかげ」に遭遇し、一同は絶体絶命と成るが、突如大とかげを上回る巨大な怪人が一同の前に現れ、大とかげの胴体を引き裂いて退治した後、無言で去っていった。殺伐とした島に現れた一筋の煙の元へ向かった一同は、小屋に辿り着き、そこでテツが遭難時に一緒に居た仲間のゴン、ギンジと再会を果たした。そして遂に、吉田博士の前に健二が現れた。一緒に東京へ帰る様に促す吉田博士に対し、拒絶する健二は「この島から出られない訳がある」と言い放ち、再び姿を消した。一方、ゴンとギンジは、テツを引き連れて、謎の洞窟へ案内していた。「宝もの」の存在を仄めかすゴンとギンジを不審に思った一平くんは、3人のあとを付けると、マンモスの墓場に辿り着く。マンモスの骨を東京に持ち帰り、大金にすり替えようと目論むゴンとギンジ。そこに、ラゴンが出現し、ゴンは海底に引き摺り込まれ、ギンジはラゴンが投げたマンモスの牙に刺されて死亡。必死に逃げるテツと一平くんの前に、洞窟で眠っていたペギラが騒音よって目覚めてしまった。ラゴン対ペギラ、二大怪獣の大決闘勃発。洞窟から必死に逃走したテツと一平くんを追って、ペギラが洞窟を出て姿を現した。そこに、巨大怪人が再び出現。ペギラ対巨大怪人、二大怪獣の大決闘勃発。ダウンしたペギラを後に、又もや無言で立ち去る巨大怪人。喉が渇いた一平くんと由利子は、水を求めて辿り着いた泉の水を飲もうとした際、突如健二が現れ、「体に毒」と云い、二人に水を飲まない様に促して、水飲み場へと案内してくれた。一方で小屋に戻っていた吉田博士一同は、死んだと思われたテツに脅迫され、マンモスの牙を取りに洞窟へ向かっていた。一平くん、由利子、健二が小屋に戻ると、吉田博士始め、一同が居ない。捜索に声を出す由利子に向かって、吉田博士が返事をすると暴挙に出たテツと淳の乱闘により、銃が発砲され、銃声を聞いた一平くんと由利子、健二は洞窟の入口で洞窟に入っていくゴン達の様子を窺っていた。タイミングを見計らって突撃に出た健二と同時に、洞窟が音を立てて崩れ出し、一同は洞窟の外に出るが、健二は「泉の水」を求めて苦しみ出した。吉田博士に向かって、健二は自分の身に起こった島での出来事を語り出し、「大きな花の花粉が降りかかった後に体が震えて苦しくなり、泉の水を飲んだ」所まで話すと、一平くんが汲んで来た泉の水を飲み干した。そこに、地震が発生する。島の沈没か?と思われた矢先、一早く島を抜け出そうとイカダを出したゴンは海から出現したラゴンに襲われ、今度こそ死亡。ラゴン、上陸寸前!横たわっていた健二が起き上がり、ラゴン目掛けて海に飛び込むと同時に、巨大怪人出現。「あ あの大男……健二さんでは……」と、由利ちゃんの鋭い御指摘を合図に、ラゴン対巨大怪人、二大怪獣の大決闘勃発。その間にも地響き続ける怪獣島。吉田博士一同はイカダに乗り、避難準備に取り掛かる最中、巨大怪人が崖から落ちて岩崩れの下敷きになる瞬間を目撃した吉田博士は、巨大怪人の元へ駆け寄ると、怪人の姿がみるみる健二に変身。「あの花粉と泉の水が僕をこんな化け物にした」のだと、吉田博士に告白した健二は息絶えた。遂に怪獣島沈没!一同は崩れ去る島を後に、濃い霧に囲まれながら汽笛を鳴らす船の救援を待つのであった。

 

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↑ 本作に登場する、メインの三大怪獣。(右) 他にも、作中には怪獣島で「大とかげ」「巨大な花」が、出現しているのだが、これは怪獣に部類されないのかナ。あと、吸血コウモリ。(←それはグレー)

 

オリジナルストーリーですが、印象としては、結構『ウルトラQ』(オリジナル)の影響受けてるな、ですね。あと、ストレートに、怪獣好きの男の末路と云いますか。(笑) 本放送終了後と云う条件下の影響が大いにあると思いますが、物語のベースは主要怪獣の巨大怪人の存在通り、「変身」。本作では、恋人では無くて、親子の「変心」実験ですが。島が沈没するラストは、主要怪獣の出演作「海底原人ラゴン」のオマージュでしょう。巨大な花と云えば、「マンモスフラワー」。告白して息絶える健二は、全然状況は異なるが「甘い蜜の恐怖」の伊丹っぽい。マンモスの牙が眠る洞窟は、「宇宙からの贈りもの」を想起しました。漁師の遭難が続く冒頭は、「南海の怒り」かな。そんな訳で、随所にオリジナルの『ウルトラQ』の空気を感じましたね。本作に登場するラゴンは、何方かと云えばサイズ的には放射能の影響で巨大化した『ウルトラマン』に登場した雄の個体に近い。巨大怪人は、作中では「大男」と呼ばれています。(どっちも余りパッとしない。) イメージ的には、狼男的な。「3大怪獣の大決闘まんが!」と堂々のタイトルだが、案の定期待は裏切られ三匹が同時に戦闘を披露する訳では無い。(せめて扉絵だけでも良いから交戦して頂きたかったものである。) でも、怪獣対戦は豪華です。全四ラウンド堪能出来るよ。第一ラウンド、巨大怪人対大とかげ。問答無用で大とかげをバリッと引き裂いて巨大怪人の勝ち。第二ラウンド、ラゴン対ペギララゴン、いきなり容赦のない腹パン。続いて、ペギラの冷凍光線。ラゴン、慌てて海中へ逃げようとするが、海面が凍って身動きが取れず!しかし、怪力で氷を叩き割り、海面へ避難成功、引き分け。第三ラウンド、ペギラ対巨大怪人。ラゴンに起こされた挙句に逃げられて激おこ大爆発なペギラの冷凍光線に、岩石投げで対抗する巨大怪人。またもや腹にダメージを受けるペギラ流石に逃げ出す。(ダウン) 巨大怪人の勝ち。最終ラウンド、巨大怪人対ラゴン。巨大怪人を前にしたラゴンの第一声が「ゲッ」。(過去に交戦歴あり?) 猛烈な肉弾戦の果て、岩石投げするラゴン。岩石を受け取った(!)巨大怪人は、そのままラゴンにブーメラン。ラゴン、崖から転落。巨大怪人の勝ち。(しかしこの後、巨大怪人も崖から落ちて息絶える。) で、シナリオの構成も劣ってない。最後の拍子抜けする1コマには、僅かに不満が残りますが。 「変身」では、婚約者の愛情と熱原子X線によって浩二は救われますが、本作に登場した健二は、人間の姿に戻る術が無い点を取ると、実に救い様の無い話であります。泉の水を飲まなければ、生きられない=飲むのを止めれば死ぬしかないって究極過ぎるよね。先ず、由利ちゃんは「毎日新報のカメラマン」の設定だけど、淳ちゃんと一平くんが何者なのかよく解らない。淳ちゃんはスーツで、ヘリを操縦する描写があるから、仮にパイロットだとしよう。一平くんは、星川航空風の御帽子とジャケットに身を包んでいるが、半ズボン+白ソックスの明らかにショタ。(大歓喜) どう見ても成人には見えない、幼い少年に描かれており、淳の助手と云うより、淳の年の離れた弟って感じ。そんな訳で動かし易いであろう一平くんは、御三方の中で一番活躍していると云っても過言では無い程に活躍を見せる。特に、マンモスの牙が眠る洞窟での活躍は御見事で、79頁で自分より何倍も大きいゴンを背負い投げし、84頁ではマンモスの牙をアイスラッガー投げする事態発生。

 

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↑ 問題の一平ショタ。怪獣大好き発言からの、模型破壊するオッチョコチョイ。さらっと混じってるテツの誰感が凄い。