これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

漫画『怪獣大戦争』関すすむ

 

1967年4月15日、ひばり書房より発行された関すすむ先生の『怪獣大戦争』 を入手・読了しました。X星人もギドラも出てこないよ。塚、世界的に有名な某映画とタイトルと被ってるのはマグレなのか悪意なのか。同じ「ひばりオリジナル怪獣シリーズ」で、単独作品として世に出た『怪獣サタンゴ』『怪獣ヤゴス』の対面・対戦が実現した一作ですが、続編では無いので、舞台も登場人物も御話も全く別物。物語は、北海道で連日発生した地震震源地である倶多楽湖の究明から始まる。通常の地震で発生する災害に加えて、二年毎に同じ頃発生する鳴動と共に毎回異なる原始時代の怪獣(恐竜)が岸に打ち上げられる奇妙な地震であった。異常事態に対して地質地震・怪獣研究の為に学術調査団が倶多楽湖周辺の調査に出向。調査団の中には、仲村君(光夫)、プーたん、ホクロ君(やすし)、ひろみちゃん、少年少女の姿も伺える。倶多楽湖に到着して間もなく、恐竜の足跡や白骨を発見するや否や首長竜らしき一匹の恐竜が湖から出現し、調査団一行を襲撃。絶体絶命の最中、例の地震が発生し、岸に留めてあった調査団の飛行艇が洞穴に吸い込まれる異常事態が発生する。飛行艇で留守をしていたホクロ君、ひろみちゃんを救出すべく仲村君とプーたんを始め調査団員は総出で飛行艇を引き戻そうとするが、洞窟の中の急な強い水の流れによって益々奥へ吸い込まれてしまった。更に、地震の影響による落盤によって洞穴は岩石で出入口は塞がれ、4人の少年少女は消息不明となる。電磁誘導を起した飛行艇は、方探の針は狂ってしまい居場所は不明、エンジンの起動も出来ず、外部との通信不能。絶望的な状況で混乱する中、誘導スピードの低下と共に翼手竜の大群が飛行艇を襲撃。復旧したエンジンとプロペラを駆使して脱出成功した一同は、滝壺や火山の試練を得て、古代樹が栄える地底の別世界へ着地する。間も無く、ブロントサウルスに追われるが、飛行艇に備えてあった仲村君のスーパーカーによるミサイルで撃退。しかし、突然とホクロ君が行方不明に。捜索の果て、巨大な食虫植物に捕食され、瀕死の状態で発見される。安心するのも束の間、次に(何方かと云えばケラトサウルス寄りな)チラノザウルス、コリトザウルス、アロザウルスを始め多種多様な恐竜達による大猛進に遭遇。恐竜達の混乱と異常な状況に「異変が起こる前兆では無いか」と推測する仲村君の予想通りに火山爆発と津波に襲われた。命は助かったものの、仲村君のスーパーカー津波に呑まれて食料も失い、終いには瀕死状態だったホクロ君が遂に息絶えた。騒動の後、突如ヤゴスが現れた。たった一人の可愛い弟を失ったひろみちゃんは、とうとう気が狂った。熱エネルギーを口から放射するヤゴス目掛けて、自らヤゴスの餌として身を捧げ自決してしまったのだ。残された仲村君とプーたんは必死にヤゴスの元から逃走。行き止まりの目の前で、水中からサタンゴ出現。サタンゴは仲村君とプーたんを捕え、絶体絶命と思いきやヤゴスと鉢合わせるや否や仲村君とプーたんを開放し、サタンゴ対ヤゴスの熱戦が勃発!ヤゴス、サタンゴの肉体をハサミで刺し込み、熱エネルギーを発射。サタンゴ、負けじと飛び蹴り。ヤゴスの手足を捕食する凶暴性を魅せる。激闘の末、サタンゴはヤゴスが吐いた熱線によって分解を起こし撃滅。死に際、ヤゴスの首元を噛み千切り切断。共倒れする形で激戦に終止符が打たれた。川を見つけた仲村君とプーたんは偶然発見した大きな花びらを利用して、奇跡的に地獄谷の真下の海に流れ着く事に成功した。北海道で発生した原因不明の地震は地底火山爆発による二次災害であった事と同時に、岸へ古代恐竜が打ち上げられる理由も未知なる「地底の大魔境」から火山爆発の津波によって生じた事象だと云う事が、仲村君を始めとする少年少女によって解明されたのだった。

 

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↑ 臨場感に溢れる魅惑の表紙だが、完全にサクラ。(笑) 「サタンゴの10大特徴」と題した解剖図。レーダー脳が熱い。

 

サタンゴがまさかのヒーロー!マジで予想外過ぎた。てかそもそもサタンゴは人間を捕食する人造人間だったのに、いつの間に正義の心を宿したんだ。それか、大月博士の改良品か。いや、そもそも人造人間が古代恐竜に混ざって地底世界に居るの何でよ。そんな事云ったらヤゴスも宇宙に居る筈だわ。完全に初出の設定を無視してる訳では無くて、サタンゴのエネルギーが水だとか、ヤゴスが熱線を口から発射するだとか、絶妙に継続された設定も存在してますね。生息地が異なっていたり、善悪の概念が内蔵されてしまっているならもう前作とは関係無い別個体なのでしょうけど。電気が弱点であったサタンゴの欠点から推測して、ヤゴスが発射した熱エネルギーは電流が含まれていたのだろうか。(電気で分解した時と同様の爆死だったので) 物語の幕開けは、主人公の仲村君の回想。少年少女が迷い込む、本作の舞台である「地底の魔境」で多種多様に出現する古代恐竜の合間をスーパーカーで逃走する一同(まだホクロ君もひろみちゃんも生きてる)が、古代恐竜同士の激闘、ヤゴスとサタンゴに遭遇する一連が表現されている。本編で、ヤゴス登場の前にホクロ君は死んでるし、ヤゴス登場間も無くひろみちゃんは自殺してるので此処で二人が生きているのは矛盾しているのですが、あくまで「仲村君の回想」として描出されているのだと解釈するとします。冒頭で展開されるサタンゴ対ヤゴスは、本編と異なり、空手チョップと背負い投げが炸裂する肉弾勝負のサタンゴが逞しい。振り返れば、冒頭からサタンゴが本作のヒーローである事を予告している様に思える描写だ。宇宙が題材となった学者の権威が絡むSF味の強い『怪獣サタンゴ』と『怪獣ヤゴス』両作と比較すると、何方かと云えば神秘的な秘境地を描いた『大怪獣帝国』のベースだったりするかも。全体を通して、やはりホクロ君とひろみちゃんの死が非常にショックだった。可哀想とかじゃなくて、ホクロ君が行方不明になってから死ぬ迄の展開が余りに雑過ぎるのと、弟の死がショックだとは云え、ヤゴスを使って自殺するのは流石に笑っ…てません。(嘘) いやあ、ほんと食虫植物って恐ろしいですねえ。(すっとぼけ) 最後に、「こうして奇妙な地底の度は終わった。誰もが信じないだろう。しかしそのためにも一週間以内に今度こそ完全装備でもう一度探検して生きたままの原始怪獣を捕えて博物館にでも寄贈することを諸君にお約束しよう。」と仲村君であろう言葉が残されているが、少し前の「あの二人(ホクロ君とひろみちゃん)は犬死にさ いや獣死にだ!」と云い、妙に毒のあるブラックジョーク的な、嫌な余韻を残すのが御得意だよね、関せんせ。