これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

『ULTRAMAN ARCHIVES』Premium Theaterスペシャルトーク&上映会 ~「ガラモンの逆襲」

 

2月16日(土)に開催された『ULTRAMAN ARCHIVES』Premium Theater 第2弾「ガラモンの逆襲」に御邪魔致しました。スペシャトークのゲストが登壇する本会場はイオンシネマ板橋ですが、前回本会場での鑑賞を経験したのと、今回は純粋にスクリーンで「ガラモンの逆襲」を観たいだけだったので、敢えてライブビューイングをシアタス調布で観賞。「ライブビューイングだとこんな感じで映るのか」を堪能して参りました。此れから2時間、僕の目は僕の体を離れ(以下略)

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20190216224335j:plain

↑ 御馴染みシアター9。特別御気に入りなガラモンと一緒に劇場へ。今回のトークゲストは、尾上克郎さんと、三池敏夫さん。御二方共、幼少期に『ウルトラQ』の洗礼を受けた方で、現役で特撮に携わっておられます。先行発売のビジュアルファイル、一平くん掲載在り。ガラモンのマークに関する研究・解析が御見事です。

 

定刻通り幕開けとなったプレミアムシアター第2弾。御約束のウルトラマンアーカイブスの宣伝PV上映後、突如会場に現れたのは、なんと人間体のセミ人間。(!) 正確には、チルソニア遊星人Qのコスプレをした綺麗な御兄さん。彼が導き手と成って観客をアンバランスゾーンへ惹き込む、前回は存在しなかった新たな演出です。劇中も台詞が殆どの無いキャラクターなので無理も無いけど、案の定キャラがブレブレ「此れからゲストに尾上克郎三池敏夫がやってくる…愉しみだ…(?)」みたいな一体誰目線なンだよな台詞は不覚にもフフッ。でも本当、シルエットとか端整な御顔立ちは義那道夫氏を彷彿とさせる雰囲気で魅惑的でした。全体の司会進行は前回と同じく映画評論家の清水節さん。そして、ゲストの特撮監督・VFXスーパーバイザーの尾上克郎さんと、特撮美術・特技監督三池敏夫さんの御三方でトークショー。題材「ガラモンの逆襲」を中心に、ミニチュアと合成、強遠近法、怪獣のデザインと造型に関して。第1弾に引き続き、成田亨氏の怪獣デザインに対する美術的な理念と矜持、其れを実体化した高山良策氏のセンスと苦労、偉業に対する逸話は尽きません。東宝怪獣の様に、実在する動物の巨大化では無く、頑固たる独自の感覚と美術技法で生み出したウルトラ怪獣達。中でも御自身会心の作品だと語られたケムール人は、エジプト壁画の人物像に見られるシンクロナイゼーション技法を着想する以前に、阿修羅を想起された前提があります。怪獣一体にしても(ケムールは宇宙人ですが)緻密な工程を得て苦労と情熱で生み出された背景が、今尚今後も決して色褪せない傑作として語り継がれている訳で。そして、成田氏のデザインを俳優が入れる縫いぐるみに造形した高山氏の偉大なる貢献も大いに影響している。成田氏のデザインと対比すると、アレンジが見受けられますが、注視すると、意外にもレッドキングの足の曲線や、ガラモンのヒダの数が合致するなど、極力成田氏によるデザインの実体化を研鑽されていたのだと造形家の品田さんが言及されていました。で、今回登場するガラモンとセミ人間も成田氏によるデザインと、高山氏による造形。ガラモンは、海水魚からインスパイアされた様で、口元をコチを正面から見た姿から着想し、鼻は犬、目は人間の様に、手足はダチョウと独創的な構想から生まれた。セミ人間は、蝉の顔をした人型の遊星人。対談で三池さんも言及されていましたが、昆虫類独特の如何にも「人間とコミュニケーションが図れない」単純な恐怖が直に生かされた宇宙人である。矢張、透明なスーツが秀逸。事務員と云うか、如何にも組織的で会社に拘束されて惨酷な運命を辿るサラリーマンみたい。ただの蝉じゃなくて透明スーツは物語性を秘めている様に思う。トークショーの途中、ガラモンの造形とセミ人間の造形が登場したのですが、セミ人間が生首でわろてもた。それと、御二方共特撮の現場で御活躍なされているとだけあって、専門的な観点からミニチュアセットや撮影技法の話に発展し、題材に沿って三池さんから鑑賞ポイントとして「強遠近法」が挙げられた。強遠近法とは、カメラの手前に来るミニチュアを予め大きく制作して、奥のミニチュアを小さく制作して遠近を作る技法で、成田氏は此の技法を積極的に取り入れリアリズムの追及を施した。今回の「ガラモンの逆襲」では、ガラダマが海上に落下する場面を取り上げられて写真を提示しながら解説が行われたのですが、映像で観た完成された正面の写真では無く、セットを横から撮影した写真は如何に強遠近法がリアリズムの追及に効果的な技法で在るか、衝撃と同時に感銘を受けたのでした。そして、尾上さんからの鑑賞ポイントは「ガラモンのキュートさ」(わかる)。侵略兵器で破壊活動の為だけに生まれてきたのに、ビームを発射する訳でも無く、手足が短くて体当たりと御手手ブンブンと戦闘能力低目なのが益々憎めない要因です。ガラモンが口に手を下唇に添えてアパーン、キョロキョロする仕草が大好きな僕ですが、此れは演者の高橋さんが視界確保の為に行っていた大人の事情による仕草だったとは…。(驚愕) 御二方は、決して原理主義固執するのでは無くて、ミニチュアの伝統を守りながら其処に『ウルトラQ』当時には無かった、新たな技術であるCGやデジタルの可能性を言及されていて「失敗しても良いから、新しい事にチャレンジして、其れを継続させる事が大切」だと若い世代に向けてメッセージを贈った。特に、尾上さんの技術や知識と云うものは経験と共に付いてくるのだから取敢えず行動して、やり続ける、「成ろうと思った自分に成れるまで努力する」と云う御言葉は胸に沁みました。「ガラモンの逆襲」は、制作陣と俳優陣の総力結集が伺える『ウルトラQ』終盤に制作された大スぺクタル巨編です。前篇に「ガラダマ」があって、一度は勝利したかに思われた人類へ宇宙人が復讐に再び地球へ侵入し、大量のガラダマで宣戦布告を下す侵略SFですが、大暴れするガラモンでパニックになった東京と並行して展開される淳ちゃん達と警官が対抗する遊星人の壮絶なバトルの交差が魅力的ですね。あと、一平くんのパジャマ姿。最期、セミ人間処刑の場面は、哀しい鳴き声も相俟って何度観ても複雑な心境に苛まれる。由利ちゃん、「悪魔の様な宇宙人」だと軽蔑してるけど、努力した過程は無視して、結果論だけ重要視しているのは人間も同じだしなァ。セミ人間が炎上した動作がマリオネットの操演で実に不気味で不自然で、非常に効果的な演出だと再確認した所で、今日は此処迄。次回、第3弾のプレミアムシアターは、6月15日(土)に「東京氷河期」のアナウンス。其の前に、5月22日(水)は「ガラモンの逆襲」の円盤発売。プレミアムトークどうやら西條様が御出演なされるそうでツラい。(買います)