これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

『漫画Q』の「セクシー怪獣シリーズ」( 前篇 )

 

人間には本能的な三大欲求がある。睡眠欲、食欲、性欲。孰れも欲求の個人差は生じるが、健康体な人間が抱く純粋な欲求だ。しかし、唯一性欲だけは現代社会では隠秘な愉楽としてタブー視されている傾向で「えっちなのはいけないこと」と云う不明瞭なルールが社会から性表現を遠退け、潜在的な欲望として今日迄圧制されてきた。例えば、友人と「好きな食べ物は?」と食事の事を話題にしたり「睡眠時間どれくらい?」と睡眠の話は気軽に行うだろうが、突然脈略も無しに「亀頭の直径何センチ?」的な事を訊ねてしまうと、猥褻扱いされてとんでも無い事に発展する可能性があるから皆気を付けよう。鬱積した欲情は、時に隠蔽されてきたが故に背徳的であるからこそ独特な悦びを享受している様な気もする。カリギュラ効果に近い感覚。で、今回は表社会とは遮断されながらも秘かに人間の中に潜在する欲望を顕在化させたエログロナンセンスな大人の為の「セクシー怪獣」の御紹介。その名の通り、性描写に徹底した観念で構築された怪獣で、エロか?ギャグか?と問われるならば、断然ギャグ。性を扱った青年漫画が未だ出現していなかった高度経済成長期真っ只中の雑踏に紛れ、1967年に『漫画Q』(新樹書房)誌上で連載開始された「セクシー怪獣シリーズ」は、恐らく第一次怪獣ブームの影響を受けて企画・制作を策定したのだろう。話毎に異なるセクシー怪獣と、宇宙研究所に所属するセクシー怪獣の権威・鱈博士、助手の清水春子の二人の主要人物との闘いが主な概要で、時には怪獣同士の戦闘へと伸展するのだ。途中から後任助手として赤井満子、鱈博士のライバルで人造怪獣を作り出す別名"怪獣博士"のヒル博士が活躍を見せる。以下、各登場怪獣に関して諸々。

 

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↑ 1968年発行『週刊漫画Q』臨時増刊3月12月号を再構成された太田出版の『セクシー怪獣大暴れ』。(1998年発行) 欲しがっておりましたら、尊敬している一休さんが御本を譲って下さいました。(大感謝!)

 

『同性愛獣 レズビドン』:男食の癖に雌を襲うレズ怪獣。雌を捕えても直ぐには食わず、飼育し肥らせてから食べる特異の習性を持つ。上野のレズビアン・バー「エッチ」に出没し、女性を襲い監禁するが、春子助手の実体験を生かしたエロダニラ戦法による猛烈な痒みによって狂い死ぬ。一度、鱈博士がレズは一種の不感症である事を考慮して男好きに性質を変換させるヨーガル・ガスを発射するも、ヨーガル・ガスを吸収したレズビドンは一層好色性を発揮して女好きが悪化する一方だった。物語としては、恋人との性交に不満を抱く女がレズビアンバーに出入りし、レズビドンの犠牲になる。エロダニラ戦法で窮地を脱した女は、レズビドン同様痒みに襲われ、嘗ての恋人の元に救いを求めて復縁すると云うハッピーエンドが描かれた。

『ケジラミンゴ 女を襲う』:全身毛に覆われた男食の「ケマンジョ」に寄生する「ケジラミンゴ」が突如東京に現れる。ケマンジョは、全長30メートル。どう見ても女性器。あらゆる動物の雄の匂いを嗅ぐと兇暴化する習性を持つ。ケジラミンゴは数億年昔に絶滅したと云われる怪虫で、現在のケジラミの祖先。ケジラミンゴは、女の肌の一部(絶対股間)に付着し、猛烈な痒みを引き起こして東京中の女を襲撃した。鱈博士の予測通り、ケジラミンゴの出現から寄生対象のケマンジョの大群が東京湾に上陸。自衛隊基地を襲撃して、次々に触手の様な長い毛で男を捕え、体液を吸い取り食すが、春子助手が考案した「ケジラミンゴを利用してケマンジョ撃滅」作戦によってケマンジョは丸裸となり、自衛隊の追撃によって消滅。そして、ケマンジョ撲滅の為に培養繁殖させたケジラミンゴが女を襲撃する問題が残留するも、パイパンの女軍が囮となり、摑まり所が無くケジラミンゴが次々に地面に落ちた所を女軍がシャモジで叩き殺し事なきを得た。

『ラーゲ怪獣 チャブス』:ラーゲ星座の中にある遊星ナオンジョーイに棲息する怪獣。男食。ビジュアルが生理的に無理。女性を象徴する部位の悪意しかない擬態化。ナオンジョーイでは、雄より雌の方に権力がある為、雄が雌に捕食されて数が減少し、雌ばかりになってしまった問題を抱え、地球の男を狙って襲来。攻撃法としては、地球人の女に化けて男を誘惑し、馬乗りになって圧死させる。それでも相手が降参しない場合、腹部にある巨大な肉孔で口を押し塞ぎ絶息させ…って、殺しちゃダメでしょ。雄が減少して子孫繁栄しないから地球に来たのではないのか?だとしたら、拉致するかその場で種を絞り取らなきゃいかんと思うのだが(笑) 地球人の男滅亡の危機が迫り、ラーゲ研究者・高橋の考案で体の一部にロケット砲を備えたゴム製のダッチボーイを囮にして、チャブスが馬乗りになった所で遠隔操作したロケットを発射させる。しかし、チャブスは咄嗟に巨大な肉孔から粘性の液体を放出し、ロケットを溶解。結局、春子助手の考案で張形砲を装着したレズビアンを集結させ、女だと油断した隙に張形砲が撃ち込まれ、退治された。決戦の舞台となった国立競技場で展開された白熱の乱交バトルは見物。

『冷凍怪獣 フカンジョ』:スキー場で女を襲い、対象者を不感症にする怪獣。全裸にする為、凍死が懸念された。体の一部を食い千切る兇暴性を見せるが、元々は北極の氷原に棲息し、イカを常食とした大人しい小動物だった。しかし、氷山に乗って流れ着いた宇宙線の影響で人間を襲撃する様になった。女限定で襲うのは、イカの匂いと誤解したのが原因だと鱈博士は語る。そんな事云ったら男の人だって以下略  因みに口から白い霧の様な冷凍液を放射し、敵を冷凍する特性を持つ。高熱を発するナパーム弾にイカの塩辛のエキスを混入した「イカ・ナパーム弾」を開発した鱈博士は、フカンジョの頭上でイカ・ナパーム弾を破裂させ、イカの塩辛の悪臭とナパーム弾の高熱によってフカンジョを溶解し、撃滅。大人しい小動物の過去が垣間見えるどこか愛嬌を感じるフカンジョくん。

『アフリカの珍獣 クリドリス』:「冷凍怪獣 フカンジョ」の続編。(?) アフリカで発見された珍獣「クリドリス」はエレキ怪獣の一種で、怒るとイガイガの頭部から毒液を放射する。大人しい小怪獣。フカンジョに体の一部を食い千切られた春子助手が、移植手術の為に出向いた南アフリカの病院の看護婦と観光中、危うく土人に捕獲される寸前のクリドリスを救出。逆上した土人は、春子助手と看護婦を拉致するが、突如悪臭を帯びた「ワレメンコ」が出現し、土人を次々に捕食した。ワレメンコは、体の真ん中からガスを噴き付ける特性を持ち、人間が此のガスを吸い込むと体が硬直して身動きが取れなくなり、その隙に巨大な口で人間を飲み込む。暴れるワレメンコをクリドリスが諭す様に幕引きした結末は曖昧だが、親密な関係と云うか、もはや一心同体と云うか…。(爆) 春子助手とクリドリスを巡っての淡い友情物語が特色付けてますね。

『バスコン獣 コンドムラス』:核実験による死の灰放射能を受けてコンドームが突然変異し生命を得た怪獣。コンドーム製造工場に出現したコンドムラスは、女工員を襲撃し、女工員を救出しようとした男工員を殴殺した。ゴム製である事から、ガス攻撃や砲弾は一切効力が無い。アフリカ帰りの春子助手の考案で、土人の割礼を応用した巨大ナイフを爆弾に詰め込み、バズーカ砲でコンドムラス目掛けて発射。頭上で破裂した割礼弾によってコンドムラスの頭は二つに裂け、放出した毒液は、化学処理されて人工受精に使用されているのだと云う。(怖い) 頭部は完全にコンドームだけど、体部は爬虫類を想起させる重厚さで不調和なのが怪奇性を増加している。

『変身回虫 カマキラー』:一億年前地球上に棲息していた変身回虫で、カマキリの祖先。普段は美女の姿に化けて、男を誘惑して性交するが、事が終わると本来の姿に豹変して男を食べてしまう。カマキリの雌が交尾後に雄を頭から食べる性質を応用したエログロ追及編。大昔にあった地殻変動で地中深く埋もれて眠っていたカマキラーの化身(美女)は、ビル工事で掘り出された。棺に入った裸の美女を前に耐えかねた鱈博士の男助手・牧が悪戯に手を出した所、蘇生。男達はパッタリ女遊びをやめる迄に、東京ではカマキラーによる被害が拡大した。鱈博士は、変身回虫に対抗するロボットを考案し、伊賀忍法「かわり身の術」と、宮本武蔵の剣法「二天一流」を胎内に装置。変わり身の術で、精力的な美男に変身したロボットは、見事にカマキラーを誘き寄せ、情事を終え本性を現した所で美男ロボも鉄製のロボに変貌し、二天一流でカマキラーの両鎌を粉砕。予想外の結末で、逆転したカニバリズムを展開させる訳でも無く、ただ只管、鉄製の美男ロボが格好良い。

『トルコ産の手指怪獣 オスペシテラ』:トルコ産の手指獣で、男食専門。強力な指を使って弄び、挙句の果てには体液を吸い取って殺める狂暴な怪獣。弱点は、光。(陰部の化身だから?) 停電中のトルコ風呂に出没し、暗転中に男を襲撃し一連の営為を行う。弱点を考慮して開発された光線銃を持たせて、トルコ嬢に化けた婦人警官と客を装った男の警官が囮になるが、口から放射された水蒸気で光を遮り、男警官に襲い掛かって体液を吸い尽くし殺害。光線銃による抗戦が失敗に終わり、次に鱈博士は怪獣飼育室から「センズラー」をオスぺシテラの前に仕掛ける作戦に出た。センズラーは、本来女食性だが、滅多に女を襲う事無くいつも寂しく暮らしている特異な独身怪獣の一種である。特色として、体液を炎に変換して放出する事で体細胞の新陳代謝を計り、生命を保ち成長する。正しく、体液を吸収する性質のオスぺシテラと、体液(=炎)を放出する性質のセンズラーは好相性で、狂暴性を失ったオスぺシテラは、センズラーと共に怪獣動物園に搬送され、めでたし。センズラーの性器は尻尾なのだろうけど、鼻がどうも...(笑)

『堕胎怪獣 ソーバ』:カギ型の鋭い爪で女の子宮を掻き出して食べる怪獣。数万年前に太平洋に沈んだと云われるダタイヤ帝国の住民で、アメリカの水爆実験によって海底の地殻が破壊されて海上に姿を現した。婦人科医院付近に出没し、時には婦人科医に化けて、妊婦や中絶希望者を襲う。世界から見て中絶数が多い「堕胎天国」日本への侮蔑と皮肉が痛烈な一遍。鱈博士の案で、妊婦を模した人形の腹部に時限爆弾を装備させてソーバを爆破させようとしたが、ゴムの匂いを嗅ぎつけ失敗。続いて、"ミクロ決死隊"と呼称される小型の人造人間を人工子宮の中に入れ、ソーバに食わせる作戦を春子助手が提案し、自ら子宮交換(!?)を担う。春子助手の胎内が人工子宮であるとも知らずソーバが春子を襲撃し、子宮を掻き出して食べ始めた途端、胎内のミクロ人間が火炎放射器でソーバの胃と心臓を燃やして退治。一方、人工子宮が描き出された春子助手は子宮復元手術をして、無事健康…ってそんな馬鹿な\(^o^)/

『ドエッチラ 対 オナニン・ガス』祝・ヒル博士出所!御待ちかね、鱈博士に敵対する悪玉・ヒル博士。数々の人造怪獣を手掛けるマッドサイエンティストにして稀代のサドで、春子助手に邪恋の焔を燃やし実際に何度か誘拐して暴行を働く前科者の登場です。そんなヒル博士が、鱈博士の宇宙研究所の研究員に化け、数万年前に棲息していたドエッチラを模造。ドエッチラとは、女を食べる前に散々責苛む変態怪獣である。予想通りヒル博士とドエッチラに誘拐された春子助手を救出すべく、鱈博士は「オナニン・ガス」の利用を考案。オナニン・ガスとは、自慰怪獣のオナニンゴから合成したガスで、ガスを吸い込んだ者は皆オナニーに耽ってしまうと云う恐るべき兵器だ。オナニン・ガスをヒル博士一味上空に散布した途端、ドエッチラは春子助手を責める事を忘れたが、危険を瞬時に察したヒル博士は逃亡。思い掛けずガスを吸い込んでしまった春子助手までもオナニーに耽るラストが秀逸。

『原始日本の二大怪獣』宇宙研究所の技師が完成させたタイムマシンに乗って、春子助手と技師がフリーセックスの時代を巡回。辿り着いた一万年前の日本で、スケベンゴとミダーラに遭遇した。スケベンゴとは、五十万年程前から地球上に棲息した怪獣で、鼻の下が長く、尻尾に付いたレーダーで雌を探知し、慰めものにする習性を持つ。スケベンゴと同時代の怪獣であるミダーラは、雄を見ると強力な衝撃波()を出して雄を虜にしてしまう特性を持つ。又、"淫ら"と云う語源はミダーラが発祥だと云う。(絶対嘘) スケベンゴに誘拐された春子助手を救出すべく技師はミダーラをスケベンゴの元へ誘導し、鉢合わせた所で両者は忽ち猛烈なセックス格闘を繰り広げた。隙を狙って逃げ出した春子助手と技師は原始時代に別れを告げ現代に戻る、と云うテンポの良い時間SF怪獣もの。死者を出さず平和的に終わる最後と、春子助手の苦言が好印象。

『逆くらげを襲う暴行獣 ゲラク:春子助手が岩波文吾(誰)と結婚!サド博士カアイソウ!舞台は、新婚旅行で向かった伊豆の伊藤温泉。温泉マークに出没し、情事中のアベックから女を拉致して性的暴行を加える怪獣「ゲラク」が登場。はて、今の若者に「温泉マーク」って通じるのだろうか?となると「さかさクラゲ」なんて隠語、益々通じねえぞ!名の通り、逆さクラゲの形をしたゲラクの皿状の体にはエネルギー源となる御湯が入っている。河童に似た原理で、御湯を干乾びさせる事を考案した鱈博士は「ドライヤーガン」を発明し、囮となった春子助手と岩波文吾の協力を得てゲラクを撃退。情報が少ないゲラクは一体何だったのだろうか。温泉マークに恨みを抱く怪獣なのか、怪獣に関しての不十分な情報とは裏腹に犯行は極めて悪質だ。

『変態獣 サドンゴ 対 マゾヒヒ』:ここで寿退社した春子助手に代わって、赤井満子が鱈博士の助手に。春子助手を求めて出現したヒル博士が逆上して、早速満子助手を襲撃する訳だが、何かもう、怪獣の名前が本質を暴いてしまっていると云うか。(爆) サドンゴとは、女を虐める事に生涯を捧げた十八世紀のフランス貴族・サド伯爵をヒル博士が蘇生させて怪獣に仕立てた怪物。マゾヒヒは、サドンゴに対抗して鱈博士が創造を考案した怪物で、サドンゴとは反対に女に虐められて喜ぶ性癖を持った十九世紀の医学者兼作家のマゾッホ博士の脳髄を注入されたマントヒヒが正体。人造怪物同士である。満子助手に暴行を加えるヒル博士とサドンゴの前に、マゾヒヒを連れた鱈博士が現れると、案の定サドンゴとマゾヒヒはSMプレイに耽ってハッピーエンド。サドンゴの影響で、M女に覚醒したマン…じゃなかった満子助手のパンチの効いた一コマが良い。

『甘い声を出す暴行獣 アレサセーロ』:音声怪獣科の暴行獣。寸胴な図体に反して魅惑の歌声で女を誘い込み、近付いた所で性的暴行を加える。対策法として、鱈博士から「耳栓をしてアレサセーロの遠吠えを防ぐ」様に指摘されたが、歌謡ファンのデモによって敢無く却下された。続いて、アメリカから核装備の原子力空母が核爆弾で加勢するも、無効だった。苦悩する鱈博士の前で、ヘソ饅頭を食べる満子を見てフクラシ粉を用いた作戦を敢行。特殊フクラシ粉の強力ネオ・フクラマーを内部に詰めたゴム人形が女だと思い情事に夢中なアレサセーロは忽ちフクラシ粉の影響で膨れて爆破。センスが光るブラックジョークを見せた最後の一コマに拍手。

『妊娠怪虫 ザーメンゴ』:舞台は、人間の体内。「ザーメンゴ」は、数万年前に栄えたミニミニ怪虫。処女の肉体を好み、食べ物に付着して体内に侵入し、子宮に達して卵子と結合して繁殖をする習性を持つ。未婚妊娠者、処女妊娠者が急増する事件を発端に、鱈博士の考案によってPTA光線で縮小してミクロ化した人間(満子と下口医師)が患者をザーメンゴから救出するミクロアドベンチャー。ヘソから注入されたミクロ人間は、子宮に棲み付いたザーメンゴを皆殺し、受精卵を破壊。アッサリと全滅したザーメンゴだが、出口では新たな刺客・トリコモナスが登場。トリコモナスから攻撃を受けると痒みに襲われると云う女の体内に棲息する寄生虫の一種。途中から、満子助手のミクロスーツが裸よりえっちで、もれなくその事しか考えられなくなります。

『セイコウ獣 コトイタスの襲来』:銀河系の惑星コトイタス星から「空飛ぶ男根」に乗ってやって来た怪獣。朝から晩まで性行為を続ける習性を持つ。コトイタスの性行為が激しい余り、コトイタス星の女類が根絶した為、女を求めて地球に飛来したと云う。口から発射する無重力光線を性交中に用いて、如何なる体位も自由自在に熟す猛者。男性に執着を尽くしたコトイタスは、ロケットも男根ならば、存在も男性器を彷彿とさせる外形で、金玉と陰毛とペニスの融合体って感じ。その脅威的な生態と存在感からか、復刻本の表紙絵にも選抜されているが、女性の恍惚とした表情からして相当なテクニシャンである事が想像に難しく無い。機動隊の協力によって弱点が発覚するも逃げ足が速く、御手上げな所、旅館で休憩中の鱈博士が満子助手の鏡オナニーを目撃し、それをヒントに「己の容貌を美しいと勘違いしているガマが周囲に鏡を張った箱に入れられて自らの醜悪さに驚いて、脂汗を流す」"ガマの油売りの口上"の原理を利用してコトイタスは自滅。満子助手も我慢していられない程の色男コトイタス、恐るべし!

『前戯とかげ ゼンギラス』:前戯をしない夫に欲求不満な女がペットのトカゲに毎晩愛撫をさせた途端、突然変異を起こして奇妙な怪物に変貌を遂げた「ゼンギラス」。人間の女を襲うが、捕らえても殺さず鋭い爪とザラザラした舌で弄ぶ。「前戯」と云う語源は「ゼンギラス」が発祥らしい。(違う) 街中でゼンギラスによる被害を訴える女が急増し、機動隊を編成するが、男を見て逃げてしまった為、女だけの機動隊を組織した。しかし、ゼンギラスの前戯を受けた女達は嬲られ失神状態に陥り失敗。次に、鱈博士が発明した薬・協力トロンガラシを満子助手が全身に塗って囮となり、満子助手の体を舐めた所でゼンギラスは薬によって狂い死んだ。前戯を怠った夫が全ての元凶であって、良好な怪獣にも思えるけど。僕も欲しいよゼンギラス。

『キテレツ暴行怪獣総出演 真夏の夜の悶え』:アベックだらけの街中を横目に帰宅した満子助手が、寝付けず夜道をネグリジェで徘徊した一部始終が描かれた一遍。待ち伏せ怪獣「チカンダー」、コウガン怪獣「ホーデンゴ」、伸縮怪獣「ぺ二ドン」、「マタクジラ」、サイケデリック怪獣「アナグラスキン」と次々と女食の精力的な怪獣に襲われる。特徴としては、妊娠怪獣科に属するホーデンゴは、生殖力が強く、睾丸めっちゃぶら下げてて怖い。口から毒液を放射して下着を溶かすぺ二ドン、穴を見ると這入りこむアナグラスキンも性的な恐怖心を煽られる。複数登場するが、怪獣同士の戦闘描写は殆ど皆無。まァ、夢オチなんですけど。

 『中国産の女犯獣 女殺的超特大亀形怪獣』:日本に来日した女優が連れた中国産の女犯怪獣で、伸縮自在、女を見ると自立硬直する。亀頭の根元にエネルギーを蓄えた二個の金タンクを持つ。もう、ペニス以外の何物でもない。掌程の小さな亀だったが、赤外線の影響で突然変異を起こし巨大化。御堀を住居とした亀への対策として、鱈博士は「バタン・チントール」を開発して人造美女の体内に仕込んで御堀に沈めるが、固くて太い怪獣の首には効かず敢無く失敗。亀の裏返すと起き上がれない弱点を指摘した満子助手が囮となって、女上位の体勢を取ると予想通り怪獣は裏返り、生け捕られ、怪獣を連れ込んだ女優も逮捕となった。

『痴漢獣 シリキラー』:変態怪獣の一種で魅力的なヒップをした女性を見ると急に狂暴性を露わにしてカミソリの様な爪で切り刻む「シリキラー」。実体は、放射能を浴びたカミソリが突然変異を果たした姿である。風貌は完全にキノコ。カミソリ会社に勤務する技師が、電気カミソリの普及により安全カミソリが売上低下している事に対して憤慨を覚え、創造した人造怪獣。一匹に留まらず大量に倉庫に潜んでいたが、何故か鳴き声は愛らしい「キュキュ」。そして、人間の嫉妬と歪んだ心が生み出した怪獣にも関わらず、肩書が「痴漢」だったり「ヒップを見て興奮」する色情が交雑している事によって、狂気性を中和している様な気が。あと、機能性を重視した謎の下着ショーね。(笑) 東京中の女性に電気を通じた鉄製のオカマ・パンティーを履かせて、シリキラーの刃を折らし、感電させる撃退法もユニーク。

『新婚花ムコを襲う ワギナスムラ』:数億年前に絶滅した筈のワギナスムラは、雄の動物を常食し、中でも人間の雄を好んで食すエレキ怪獣。獲物を見つけると長い尻尾で締め付けて電気を発した挙句、感電死させる。ワギニスムスと云う膣痙攣の語源は、此のワギナスムラが発祥だと学者は発表。(違う) 強力な締め付けにより、ワギナスムラに捕らえられた雄は先ず逃げ出す事が困難とされたが、ただ一つ、ワギナスムラが電気を発する前の隙に麻酔注射を打ち込めば締め付けの力が弱まり抜け出せる事が可能だった。それをヒントに、たらはかせは小型注射器の大量製造と、麻酔弾による麻酔攻撃を実行し、撃退。8mmフィルムに収められたワギナスムラの雄を襲撃する一部始終のカットが愉しい。

『タッチ獣 オサワラー現る!』若い女を見ると襲撃し、手足や無数の触手でイジる習性を持つオサワラーは、催淫剤の役割を果たす粘性の液体を放出して、不埓な行為に及ぶ。触手に徹したデザイン。鱈博士によると、オサワラーを防ぐ為には、液体が付着しない様にシッカロールを散布すべきだと喚起された。加えて、強力カンソールと云う乾燥手榴弾が用意され、満子助手率いるオサワラー囮部隊がオサワラーの来襲に立ち向かうも、囮部隊の体の方が乾燥してしまい逆効果だった。再び、鱈博士が発明したネオ・アンタチャブル(ペニスピンとナマズグラ剤を混合した薬)によってオサワラーは痙攣の末、死滅。触手はエロい。何故だろう。淫猥であって繊細でもある触手と獣姦の魅力を言葉に抑えるのは難しい。相手を理解しようとしても、予測不能で意思疎通が図れないのは惹かれる要因の一つかも。

 

以上、1968年に発行された『週刊漫画Q』臨時増刊3月12月号を再構成された太田出版の『セクシー怪獣大暴れ』で活躍した怪獣達でした。様々なセクシー怪獣に出逢ってしまったのだが、孰れも嫌悪感を覚える低俗で悪趣味な怪獣ばかりで、登場する女性は皆如何にも情婦の様にフェロモン漂う豊満な体をしていて貞操観念も崩壊気味。そこに在るのは、人類の貪欲な妄想であり、容赦ない制御欲求の解放であり、究極の自由なのかも知れない。因みに僕の推し怪獣は、シリキラー。負の感情から生まれた出現理由と、鳴き声が可愛いから好き。(単純) 後篇へ續く。(多分)

 

 

 

セクシー怪獣大暴れ (モンド・エロチカ (No.01))

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