これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

「2020年の挑戦」と「第三の男」

 

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ケムール人が破壊する観覧車は、映画『第三の男』から着想を得たのだと先日のトークショーで飯島監督が御解説なさっていた。以前にも書籍だか映像だか特定出来なかったのだが、飯島監督の証言又は有識者による研究本だったか、孰れにしろ何所かで『第三の男』が「2020年の挑戦」に与えた影響は甚大だと目にした事がある。今でこそ遊園地で無くとも観覧車が独立してデートスポット等に堂々と巨大な円を構えているのを見かけるが、当時は博覧会や遊園地に建設されていたのが一般的だった様で、当時東京都内にある常設された観覧車はあらかわ遊園と、後楽園ゆうえんちぐらいの筈だ。ロケ地に後楽園ゆうえんちが選ばれた理由として前述の通り『第三の男』の影響で観覧車を利用する目的が多くを占めるだろうが、もう一つとして、文京区生まれの監督自身が空襲の際に避難場所だった土地の為に思い入れが強かったのも深く関与していた様子。『第三の男』は1949年に製作された。第二次世界大戦直後の米英仏ソによる4分割統治下のウィーンを舞台にしたイギリス映画で、アメリカの三流作家ホリーがウィーンに居る20年来の親友ハリーを頼って訪ねると、ハリーが前日に交通事故死した事が告げられる。ハリーの葬儀で出会ったイギリス軍のキャロウェイ少佐はハリーを闇商人だと通告するが、ハリーが悪人だと信じられないホリーは友情から事故死の真相を究明していくフィルムノワール。作品は知らずともビールのコマーシャルで馴染みの有るツィター演奏の主題曲を誰しも一度は耳にした事があるかも知れない。(僕もそうだった。) 『第三の男』と「2020年の挑戦」は観覧車の他にも共通点が存在する。意識的に取り上げたのか、潜在していた意識が顕在化したのかは不明だが、孰れも「2020年の挑戦」を象徴する部分に『第三の男』の影が潜伏しているのだ。先ず、主役のホリーは小説家だ。神田博士は小説家では無く電子工学の権威であったが、ケムール人と交わしたテレパシーの記録として著作「2020年の挑戦」を発表している。少々強引であるが、三流作家であるホリーと著書を発表した神田博士は何と無く重なる。それに『第三の男』で、ハリーの講演会に現れたポペスクとホリーが対話する場面でホリーの新作小説に対して「虚と実を混ぜて」と指摘するポペスクの台詞は、現実と妄想を混合した著書を発表した神田博士の性質と類似している。次に、大観覧車。これは云わずもがな上述の通り、飯島監督がケムール人が破壊した観覧車の影響元。ハリーを信じたいホリーが観覧車の中で対話するが、残酷にも利己主義で非情なハリーとの間にあった友情が淡い幻想であった事をホリーが確信する惨いシーン。観覧車を降りた後、ハリーが小噺に「争い続きのイタリアでは30年でルネサンスが開花したが、兄弟愛のスイスは500年経過しても民主主義と平和で鳩時計止まり」とホリーに皮肉を投げ掛けた。この500年と云う数字は、医学の驚異的な発達によるケムール人の寿命500歳が想起される。遊園地(『第三の男』は公園?)と云う愉快な場所で展開される悪夢の様な出来事が発生する特色も二作の共通点ですね。最後に、クライマックスを飾る下水道でのハリーと警官の追跡劇からの射撃戦は、遊園地で展開した警官とケムール人の決戦へと効果的に影響が発揮された様に思える。

 

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↑ 類似カット。左:「2020年の挑戦」(24:47)、左:『第三の男』(1:12:29)

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↑ 類似カット。 左:「2020年の挑戦」(21:55)、右:『第三の男』(1:15:05)

 

 

 

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