これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

コダマプレス/『宇宙怪獣大あばれ』~ノア号!カエル人間撲滅せよ!

 

コダマプレスより企画・制作された『宇宙怪獣大あばれ』を入手致しました。フォノシートと、音盤に沿った絵物語が掲載されたワイドカラー版ブック。大伴昌司氏が脚本を手掛けたドラマ「ノア号!カエル人間撲滅せよ!」が収録されている。発行は1966年(日付不明)、「コダマ怪獣がいっぱい特集号」と題された全2作のシリーズ物で、前篇『前世紀怪獣大あばれ』の続編に当たる様だが、登場人物の設定や主力メカニックのノア号は継続しているものの、ノア号で前世紀惑星から地球へと連れ出した恐竜やマンモスが東京破壊を展開させた『前世紀怪獣大あばれ』とは対照に、本作は宇宙探索中に着陸した謎の惑星で遭遇する様々な宇宙怪獣との接触を描いたSF作品だ。登場人物は、ノア号の船長、乗組員の少年テルオ、そして宇宙タレントエージェンシーのプロデューサー・森ひろしが新たに追加された。宇宙の星を周って優秀な宇宙生物を探索・捕獲し、地球で講演を行う森ひろしの謎めいた職業は、一見悪徳興行師に見えなくもない。 物語は前篇で地球に連れ出した前世紀惑星の恐竜やマンモスを故郷の星へ返還する場面から始まる。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20181101210600j:image

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20181101223516j:plain

 

本作の舞台である、星の色が赤や黄色、青緑と様々に変化する幻想的な異星に棲息する象に似たラッパ怪獣、巨大カエル人間、巨大トンボが描かれた表紙絵。絵物語も含め、坂入徳次郎先生によるイラストです。(表紙デザインのみ「東画」クレジット) 如何にも兇暴で悍ましい風貌と名をした「カエル人間」とファンタジー臭が漂う正体不明の「ラッパ怪獣」の気迫溢れる大決闘を描く一方で、めっちゃ平和な青い空ただ見守るだけの巨大トンボ何やら愉しそうなカエル人間達が同居する異様な虚構世界に期待が高まる。なんというおそろしさだ!数しれずあらわれた巨大カエル人間が15の口をもつラッパ怪獣をバリバリ、モリモリと食いはじめた・・・!あぶない!逃げろ!やられるぞっ!(くわしくは本文をみよう!)と、消極的に印字されたにも関わらず、もう殆どハイライトのネタバレしてしまっとるやんけ!……とか思っては為らない誘い文句にも寛大に痺れた。両面で約14分程のドラマと絵物語に限った資料故に、宇宙生物が棲息する異星の情報は極めて希薄。同じく宇宙生物の生態に関しても曖昧で謎に満ちている。異星(の空)が様々な色に変化する事、異星の岩石が一種の硝子質である事、人間が呼吸するのに十分な酸素がある事、様々な宇宙生物が棲息している事、そして宇宙生物の性質が不分明である事。唯一露出したのは、ラッパ怪獣。風貌からして象の化け物だと言い張る森に対して、船長が「象じゃない!体中に触手が付いたツタの化け物の様な生き物だ!」と理解に苦しむ発言をするもンだから多少謎の深化を抱えるが、怪獣の目がレーザーを受けると、レーザーのエネルギーを音に変換し、触手から音楽を奏でる特異体質の生物だと発覚。狂暴だと思いきや、穏和な性格で極めて友好的な生物である事も証明された。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20181101223546j:plain

↑ シートに印刷された謎の怪物は本編には出てきません。右はカメレオン風、左は恐竜の生首魚?なんだこいつら…

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20181101235613j:plain

↑ 小枠に雑に併録された「宇宙怪獣のいろいろ」。恐らくラッパ怪獣、カエル人間、巨大トンボが棲息する惑星とは又違った星に棲息する生物なのだろう。なんでも食べるヒョコタン草(高さ5メートル)が割とコアイ。

 

で、語らずには居られない「カエル人間」に関して。本作の悪役に位置し、ラスボスでもありますが……存在が不気味過ぎる。船長は「水棲動物」と指摘し、絵物語は終始カエル人間で落ち着いているものの、音声では途中まで「巨大カエル」と表現された。だが、ラッパ怪獣を巨大カエルが群れで捕食している情景を目にしたテルオが「カエル人間の馬鹿共!」と罵倒する場面で、初めて「カエル人間」と云う語源が登場した。人間と名が付いてしまった以上、地球との深い関係性が疑われる。何故テルオはカエルの怪物を人間と呼称したのか。底知れぬ残酷性の代名詞として人間が挙げられたのか。どちらにせよ、カエル人間と云う存在は興味深い。ラッパ怪獣とテルオが音楽を通して親交を深める中、カエル人間の大群から襲撃を受けた一行はノア号に避難して離陸。しかし、取り残されたラッパ怪獣が無惨にも捕食される悲壮な情景は見るに堪えない。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20181101223529j:plain

 

マジで見るに堪えない。二体の宇宙生物による攻防戦つーより、完全に「一方的に大群で攻め込んで来たカエル人間の餌食となった悲劇のラッパ怪獣」だもの。カエル人間の兇暴性と結集力を顕在化させた圧巻の迫力と、遠巻きに虚しく聳えるノア号が悲しい凄絶な情景だ。獲物に噛み付く者も居れば、新たな獲物を発見したかの様な眼差しで此方を伺うカエル人間も居る。純粋に恐怖。予期せず厳酷な展開となった本作、友達になったラッパ怪獣がカエル人間に捕食される姿を止むを得ず上空で見ている事しか出来なかったテルオに対して船長が「いつかカエル人間を退治する日が来るだろう」と将来への希望を託した台詞に加えて、森は有望なタレントを捕獲出来ず悔やむ興行的な人間臭いコミカルな描写で幕を閉じる為か、不思議と不快な余韻は皆無。で、巨大トンボどこ行った?

 

余談:ウルトラQ要素多いのビビるから止めて。

止めろとは云ってない。ほら、心の準備とかあるからさ。先ず、冒頭の咆哮はペギラか?とも思ったけど聞き比べると違う気がする。けど聞き覚えある怪獣の声だなァ。確実なのは、テルオ役の声優が「ゴメスを倒せ!」の次郎少年、「カネゴンの繭」のアキラ少年を演じた小宮山清氏である事。今にも「リトラ―!」と叫び出しそうな特徴的な声色ですよね。ええ、貴方が今想像しているその声です。少年にしては芯が強過ぎるあの声です。それと、目立つのが音楽の流用。特にカエル人間(大群)の襲撃を受ける超シリアスな攻防の最中、大爆発(M103)を挿入するのは絶対に選曲ミス。だのにクライマックスを迫り来る一瞬(M28T1)で昇華させたのは良かった。

 

 

 

ウルトラQ ウルトラマン 快獣ブースカ 宮内国郎の世界