これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

ふらんす書房/『快獣ブースカ ② 銀河へ行こう!!』

 

ハロウィンでしたネ。古代ケルト人の収穫祭やサウィン祭が起源と云われている超曖昧な行事で、秋の終わりと同時に冬の始まりでもある此の時に、霊界の扉が開いて死者の霊が親族の家に訪ねに来たり、悪霊が下界を彷徨うと信じられていたそうで。その際、精霊を迎える際の迎え火として灯される反面、悪霊を追い払う魔除けとして、家の玄関に南瓜の顔を彫った提灯が置かれる。国から国への伝達や時代の流れと共に変容するハロウィン文化、日本はもう変容に変容を重ねてどうしてこうなった(主に渋谷) 起源の風習の延長上で、子供が悪霊(御化けや魔女)に扮して家を訪ねて「御菓子を贈呈しろ!さもなくば悪戯するぞ!」と云うならば、まだ解る。(萌えるし) 行事の解釈や愉しみ方が人それぞれなのは良い事ですが、いい年した男女が勘違いも甚だしいワケワカラン格好で都心を荒れ散らかす強欲祭みたいな状況には違和感しか無いね。僕はと云うもの、ハロウィン期間限定みたいな商売には散々踊らされて無事に今年もハロウィンを終えましたとさ。(しろたんマイメロのグッズめっちゃ買った)

今回は、ハロウィンと云えば南瓜!南瓜と云えばカボチャ星人!と云う事で、ハロウィンの終わりに相応しい(?)『快獣ブースカ「銀河へ行こう!!」』パノラマコミックスの御紹介。1967年8月20日に、ふらんす書房より発行されたフォノシート絵本です。

 

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ブースカ漫画では御馴染みの益子かつみ先生による表紙絵。オリジナルには無いカボチャ星人の子分(?)が!

 

残念ながら、フォノシート欠品の状態。市川森一氏による同題(正しくは「銀河へ行こう!」)の脚本がオリジナルの35話に存在する為、恐らくフィルムサウンドトラックの収録だろう。絵本の中身は「銀河へ行こう!」の物語に沿った絵物語と、立体パノラマで見開きの「ブースカランド」、「チャメゴンの超能力」「ブースカの10大ひみつ」「大作くんの研究部屋」「大作研究室はつめい品展示会」各図録、主題歌の歌詞頁、加えて大懸賞の充実した内容がオールカラーで収録されているのだから豪華版だ。放映日が1967年7月5日、満田かずほ監督作で2日前に迫った七夕に因んだ物語。七夕伝説を知ったチャメゴンが、ブースカと共に皆の願い事が書かれた短冊をカプセルに詰めて牽牛(彦星)と織姫の元へ届けようと宇宙へ旅立つ途中、謎の円盤(後にカボチャ星人の円盤だと発覚する)が地球に向かって突如飛来すると云う昔話とSFが交差した独特な世界観で、牽牛と織姫の描写も宇宙服を纏ったり活動範囲が宇宙艇がメインだったり織姫に至っては超能力を駆使したりと宇宙を想起させる独自の表現が印象的だ。牽牛と織姫が宇宙服を扮する事に関しては、一般認識上のビジュアルから掛け離れた表現ではあるが、七夕物語の舞台が未知なる宇宙であると本質を捉えた上で構想されたのだろうか。しかし、上述の宇宙的な牽牛と織姫の描写はオリジナル独自であって益子かつみ先生による絵物語は周知された古風なデザインが採択された。

 

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↑ 牽牛と織姫が二人で遊び呆けて居る場面で、右が益子版。牽牛が牛飼いの若者である事と、織姫が機織りの乙女である事が純粋に表現されている。左(オリジナル)の牽牛は頭に牛の御面が…(笑)

 

七夕と云えば牽牛と織姫、そしてカボチャ星人。(違) カボチャ星人とは、わざわざ七夕のシーズンを狙って「地球をカボチャ畑にしよう(?)」と目論む謎の異星人である。口癖は「~ノマイ」。カボチャ星人と名乗っている所からして「カボチャ星」と云う惑星の存在が推測出来る。何も能力がないカボチャ星人は、超能力が使える織姫を誘拐して地球をカボチャ畑にする野望を果たす為に利用しようとリモコンで織姫を指図し、手始めに邪魔なブースカとチャメゴン(宇宙規模で有名なンだなァ)を退治すべく、狙われた大作研究所に集まっていた大作達を次々にカボチャへと変化させた。繰り返すが、カボチャ星人が人間をカボチャに変化させたのではない無い。織姫の超能力が人間をカボチャに変化させたのだ。(主張) なお、カボチャ星人はリモコンで遠隔しているだけだ。 ブースカの念動力で織姫から取り外された受動装置を逆探知して呆気無く居場所がバレたカボチャ星人は、案の定攻防能力ゼロでチャメゴンに玩具にされた挙句、銀河の外へ放り出されてしまった。出現を含む展開、結末は殆どオリジナルと益子版同様の内容であるが、牽牛と織姫と同じく容姿の印象に相違が伺える。

 

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↑ 南瓜の提灯を頭に被った様なオリジナル(左)と露骨な南瓜の擬人化っぽい益子版(右)。「カボ」は益子版独自の擬音!

 

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↑ 右上、チャメゴンが胡桃を食べて創造した益子版銀河ロケット便。左上、同じくチャメゴンが変形したオリジナルのロケット。益子版と異なって機体ごとチャメゴンです。右下、益子版カボチャ星人の円盤。(左下がオリジナル。)

 

カボチャ星人は謎が多い。侵略目的は明確な筈なのに、理由を追求すると謎が深まるばかりだ。地球のブースカとチャメゴンを認知していたのだから、事前調査等の計画性が伺える。織姫の超能力に目を付けたのも興味深い。単独行動な点から推測して、カボチャ星人はきっと孤独な戦士だった筈。出身は語られていないが、カボチャ星が存在するのだろう。カボチャ星に仲間は居なかったのだろうか。カボチャ星人はカボチャが突然変異した生物なのか。「地球をカボチャ畑にする」と云うのはあくまで隠喩で、地球人をカボチャに変化させて最終的には「地球人をカボチャ星人に変換」させて地球への移民を視野に入れた完全な支配を企んでいたのか…。益子版のカボチャ星人は、オリジナルとは又異なる独自の表現。特に衝撃なのは、カボチャ星人が複数体存在する点である。首領の他、複数仲間がカボチャ星人(首領)に連れ添っており、個体によって緑だったりオレンジだったり表情も様々だ。が、攻防能力ゼロなのはオリジナルと同様で特に活躍を魅せないのが残念だ。コミカライズに当たって果たして映像を確認してから制作された漫画なのかそれともシナリオの文のみで創造し、制作された漫画なのか、工程は一切不明なので推測に過ぎないが、上述の牽牛と織姫の描写、そしてカボチャ星人の表現の相違点からして、シナリオのみを元に漫画化された絵物語だと想像出来る。現に台詞は、ノーアレンジで脚本に忠実だったり。