これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

漫画『大怪獣帝国』関すすむ

 

1967年6月15日、ひばり書房より発行された関すすむ先生の『大怪獣帝国』 を入手・読了。

大好きな「ひばりオリジナル怪獣シリーズ」!『怪獣サタンゴ』『怪獣ヤゴス』に続いて、今回の『大怪獣帝国』で3冊目、あと2冊。希少故に齷齪蒐集してるもんで、このタイミングで全5巻セットがヤ〇オクかMに出品されたら、もれなく僕がブチギレます。関先生の怪獣漫画は、孰れも行き過ぎた科学偏重への警鐘人間の心に棲む闇が巧妙に描出されており、独自性に満ちた怪獣出現の確立が特徴的。今回手にした物語も、舞台がアフリカの秘境に関わらず、密輸中のウラン爆弾が秘境に不時着した事によって、秘境に安住していた無罪の怪獣がウラン爆弾を誤って飲み込んでしまい爆死する。そして、ウラン成分が体内に残った怪獣の遺体の脳味噌を食べた(!)チンパンジーと怪鳥が突然変異、巨大・兇暴化すると云った、自然に科学が介入する事の危険性が表明されている。臨場感に溢れ、丁寧に描かれた表紙絵とは異なった、重圧なテーマには相応しく無いチープさが匂う本編の筆致が魅せる親しみ易さが、関先生特有の味だろう。

 

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 アフリカの赤道の真下、 エドワード湖とその南のキウ湖との間に聳える奇怪な魔境「マウント・ヘル」。魔境の周辺には、大怪獣帝国の怪獣達が住まう密林、ジャングルコングの谷、大ジャングル、メケメケ族の部落、怪獣ジャメラの沼、高さ160メートルの滝が在する、一億年前の時間が停止した原始怪獣の秘境であった。グ~ラ~と奇異な呪文を唱え、怪獣を自在に操る怪人・自称メケメケ族の神と名乗るアクメ(=語源の由来は「悪目」だと思うけど、どうも性的な言語の方を…いや、何でもありません。)が兇暴な性質の怪獣を自分の家来にし、大怪獣帝国と呼ばれるマウント・ヘルの密林に向かう途中、目の前で飛行機が墜落。絶命した搭乗員を怪獣が美味しそうに食べた後、怪獣はロケット型の物体を発見、食料と勘違いして口に入れ様とする。だが、瞬時に爆弾だと予測したアクメは怪獣を止め様と言い聞かせるが、怪獣は無視して爆弾を飲み込んでしまった。危険を察知して怪獣から離れるアクメ。突如、怪獣の腹部で怪音が鳴り響き、苦しみ悶えた末に怪獣は爆発。爆発の衝撃で山崩れを起こし、爆発した怪獣の頭部は人知れぬ古い小屋の付近に流れ着いた。小屋には、日本語めっちゃ喋る原住民の太郎とエド、そしてチンパンジーのジローと怪鳥のミミが居住している。止める様に命じる太郎とエドを無視して怪獣の脳味噌を食べるジローとミミ。ミミはその場で姿を消してしまい、ジローは意識を失い、高熱に襲われ、突如体が巨大化。しかし、赤い石を飲ませるとジローは元通りの姿に戻った。ジローの身に起こった一部始終を秘かに目撃したメケメケ族の土人は、首長であるズンタタ王に報告。翌日、赤い石の在処を探ろうとアクメを中心とするメケメケ族に捕らえられ、脅迫を受ける太郎とジローは悪用を恐れて口を閉ざすばかり。怒ったアクメは、沼に潜む双頭三眼の怪獣ジャメラを召喚、沼に放り込まれた太郎を責めるが、突如森林の間から轟く咆哮!ジローが巨大化したジャングルコングが太郎を救出。上陸したジャメラとジャングルコングの激闘!壮絶な格闘の末に、絶命するジャメラ。しかし、アクメは最愛のジャメラの敵討ちに神通力でジャングルコングを気絶させ、大怪獣帝国の怪獣達への餌として捕獲されてしまった。月が出る頃に戻るとアクメがメケメケ族の土人達に約束して、怪獣達を集めに大怪獣帝国へと姿を消した隙に土人の目を盗み、太郎がジャングルコングに赤い石を飲ませて元の姿のジローに戻し救出。丁度、大怪獣帝国から怪獣を引き連れて戻ってきたアクメは姿を消したジャングルコングに怒り、怪獣達を利用してメケメケ族を襲撃。降伏するズンタタ王に、条件として太郎達をマウント・ヘルから追い出す様に命じる。丁度その頃、マウント・ヘルに日本人の新聞記者・丸山浩が現れる。丸山は、失踪した密輸飛行機の行方を追跡中、気流の悪化により墜落、太郎が救出したのであった。アクメに従う怪獣達が暴れ回る混乱のマウント・ヘルの平和を取り戻すべく、再びジャングルコングが太郎と共に抗戦する。そして、ジャングルコングと太郎がガバゲベゴボと摩訶不思議な怪獣語(?)でアクメに従う怪獣達を説得(!)。改心した怪獣達がアクメを逆襲。アクメは自ら魔境から立ち去り、密輸飛行機失踪の謎が解明された丸山も、魔境の地を後に日本へ帰還。再びマウント・ヘルに平和が戻ったのであった。

 

先ず、怪獣に関して云えばアクメの手先だった双頭三眼の大蛇・ジャメラが神秘性に特化した卓絶なデザイン。名前の語源は「ジャ=蛇」「メラ=黒」(ギリシャ語)で、黒蛇→悪蛇かな。他の怪獣同様に、アクメの神通力によって操られていたのだろうけど、大怪獣帝国には棲息しておらずメケメケ族の集落付近の沼に棲息していた事を踏まえると、メケメケ族の神と云うか崇拝対象はアクメが来る前は、ジャメラ様だったのかも。

 

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↑上は初登場時のジャメラ様。下はジャングルコングとの交戦。双頭攻めで有利に思えた激闘、結果は如何に…!?

 

恐らく、自称メケメケ族の神と名乗る髑髏顔のアクメは一種の流れ者だろう。神通力や催眠術を巧みに利用して動物を支配下に置き、土地の権力を握り歩いている様だ。そして、マウント・ヘルに住まう怪獣達がアクメに逆襲した様に、立場が弱化する度に逃亡を繰り返しているのだと思う。深い意味は無いかも知れないが、顔が髑髏なのにも関わらずカラーページでのアクメの手の色は血色の良い肌色。ひょっとすると、アクメは髑髏の御面を纏った人間なのかも知れない。

 

副題に「ジャングルコングの巻」と記されている様に、ジャングルコングの活躍が大いに描写されており、本作のヒーロー。ジャングルコングは、ウラン爆弾を食べた怪獣の遺体の脳味噌と脳下垂体を食べて巨大化したジローの正体。あくまでチンパンジーである。赤い石を通常のジローへと元通りになったが、以後ジローは自由自在に巨大化出来る特異体質に変貌を遂げる。作中の「ジャングルコング メモ」によると、大きく深呼吸して息を止めて、口を掌で強く塞ぎ、全身に力を入れて息を吐き出そうと吹き付けると、全身の血が逆流して鬱血、筋肉質が海綿状に変化した結果、巨大化すると云う。(※よゐ子はマネしないでネ) 巨大化に伴い、肺臓はエネルギー袋に変化して貯蓄、心臓は変圧袋に変化してエネルギー強化、目の色に関しても、赤は最大で元気、黄は疲労、緑は小さい通常のジローだと事細かな設定が構造された。

 

突如現れた一見不必要な日本人の丸山は、マウント・ヘルに墜落した密輸飛行機に関する詳細と、太郎を取り巻くバックストーリーの伝達者だ。秘境の舞台は何故アメリカなのか?それは、独立運動や革命が多発しており、武器弾薬類密輸の宝庫と異名を持つアフリカ諸国の背景がある。大西洋側からインド洋に向けてウラン爆弾を積んだ飛行機が、予期せず平和だったマウント・ヘルに墜落してしまった悲劇は、人間が生んだ罪だ。繰り返すが、関先生が手掛けた怪獣漫画には必ず、人間の身勝手な主我が根付く。科学は人間を幸福にする筈だったのに、人間が利用を誤れば不幸に陥る。ウラン爆弾を飲み込んだ被害者である怪獣が流す涙は、余りにも痛々しく、余りにも遣る瀬無い。そして、何故か後半で急に片言になる太郎は、13年前ウガンダの奥地に特効薬の赤い石を探しに行ったまま行方不明になっていた明石鉄男博士(兼牧師)の遺児だと判明し、エドは博士の召し使いだったと云う。エドの話によると、無事に赤い石を発見した博士は、助手の松井の裏切りによって魔境の谷に閉じ込められてしまい、博士と太郎、そして母とエドは止む無く小屋を建てて魔境の谷に居住。或る日、博士が赤い石を探しに出た留守に、熱病に侵され病死、太郎はライオンに攫われてしまった。(記実が無いので不明だが、ここで恐らく博士は赤い石を探しに行ったまま行方不明)月日が流れ、チンパンジーのナナがライオンの手から太郎を救助して、ナナの息子・ジローと共に兄弟の様に育てた。そして嘗て皆で住んでいた小屋に辿り着き、エドと再会。静かに暮らしていた矢先、魔人アクメとウラン爆弾墜落事件によって平和が破られる。やはり気に成るのは、明石博士の存在だ。赤い石を取りに出掛けたまま行方不明と云うタイミングが怪しい。=アクメの正体は博士!?と思いきや、助手の松井か!?ここら辺、もっとヒントがあると妄想が捗っていた事でしょう。あと怪鳥のミミね、情報が少ない。