これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

朝日ソノラマ/ソノシート『恐竜100万年 原始怪獣大血戦!』

 

1967年2月21日に日本で封切りされた映画『恐竜100万年』から間も無い同年4月1日に朝日ソノラマより発行された、ソノシート恐竜100万年 原始怪獣大血戦!』を入手・拝聴致しました。

 

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 皮肉にも1960年代前後に趣味嗜好が集中している僕が、当時の匂いを求めて手にするのがソノシート。作品を追求するならば先決すべきは映像を何度も鑑賞して、先人様が形成なされた数々の資料を読み込むのが一番だと思うが、当時児童をターゲットとして世に出た逸品の数々が時を得て今現在手に入る状況はまるでタイムカプセルの様で、愛しき時代を体験出来なかったが故に鬱積したフラストレーションを解消してくれる。ソノシート雄大な世界観を知ってしまったが最後、やはりこれもウルトラQを筆頭に他の作品にも触手を伸ばして1年半ぐらい経過しただろうか。僕は怠慢でコレクター気質じゃないから惹かれた物を無造作に回収してるのが現状。

 

そんな訳で、今回手にしたのは堂々たる半裸の美女が強烈な印象を残した映画とは一変、恐竜に主軸を置いて構成された『恐竜100万年 原始怪獣大血戦!』。特に読物は恐竜専門誌の如く、動物進化の歴史、『恐竜100万年』のパノラマ絵図、恐竜解剖図鑑と資料性が高い充実な内容。殆ど監修同様の大伴昌司氏が構成を手懸けており、『恐竜100万年』を脚色してシートに収めたのも同氏である。作中に登場する数々の巨大生物を「原始怪獣」と胸高鳴る固有名詞で表現したドラマのタイトルが秀逸だ。中西立太氏による挿絵は、豪快で重量感のある筆致で巨大生物が描かれ、迫真の表情を見せる人物像が絶妙に控目なのが好印象。絵物語は、映画のスチールをそのまま掲載したページもある中、基盤の挿絵に加えて映画のスチールが合成された構図のページは、実写とコマ撮り合成を融合した演出を魅せる映画の特色を意識的に反映させた様にも思える。両面に分割して収録されたドラマは、約10分程。(映画は約1時間半) 基盤は映画同様、舞台は誕生して間もない地球で、恐竜が棲む原始時代に人間も共存していると云う吃驚の設定上展開されていく。登場人物は人間と云うより原始人で、まだ言葉を持たない未完成形の人間だ。主人公のツマクとロアナですら作中は台詞を口にしないが、ソノシートではめっちゃ喋る。流暢な日本語でめっちゃ喋る。声の出演は、東京アーチストプロ(声優系のプロダクション?)表記で詳細は不明。恐竜の咆哮で期待高まる幕開けで、登場する原始怪獣もディプロドカス、プテラノドン、アルケロン、ティラノサウルス、セラトサウルス、トリチラトプスと難有の一部を除いて一通り押さえたものの恐竜同士の対決以上に種族の確執とツマクの葛藤が濃く描写された様に思う。映画と大きく異なった印象を受けたのは最期の火山大噴火の場面。若き地球が生物に突き出した未曾有の猛威である自然現象に対して、ソノシート版は原始人と原始怪獣達の行方が不明瞭なまま物語が締め括られた。映画では、生き残ったツマクとロアナを始め、原始人達が歩み出して希望を抱かせるシーンがあるが、飽く迄自然に平伏した絶望的な終り方。殆ど最期に原始怪獣を出さなかった映画とは一線を画して、悲観的な表情を浮かべる原始怪獣を交えた壮大な終末画は、自然の脅威を益々強調させた。