これでもくらえ

独断と偏見で意見具申。主に鑑賞記録。日々研究。

漫画『怪獣ヤゴス』関すすむ

 

「怪獣サタンゴ」に続いて、同じく関すすむ先生が手掛けた漫画「怪獣ヤゴス」を入手・読了しました。(発行日が未記載の為に不明ですが、同時期だと思います)

 

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宇宙食作りの研究過程で誕生した人工生命が兵器として悪用されるサタンゴとは又様変わりで、ヤゴスは元々太陽系宇宙に棲息する食虫植物の球根部に住まう寄生虫だ。

題名から表紙から、大々的にヤゴスが占有しているが実はヤゴスは大分終盤での登場で、そのそれよりもヤゴスが寄生していた食虫植物・モンスターツリーの脅威、そしてモンスターツリーの花弁から発生した毒キノコの悍ましさの方が……… いや、なんでもありません

 

粗筋。A国の人工衛星が予定した軌道を大きく反れて都内へ落下した。

破片回収がまだ終わっていない落下現場へ訪れた植物学者・高山博士の助手(憶測)の研児が、奇妙に動く見慣れない怪木を発見する。

高山博士による鑑定の結果、怪木の根にある不気味なコブに住む寄生虫が、食虫植物・モンスターツリーと相補的な関係(高山博士の言葉で「抱合解毒球根部強化作用」と記載)を保っている珍種だと推測された。

モンスターツリーは植物園の熱帯植物や動物、気温までもを捕食しながら、みるみる成長を果たし、巨大化。巨大化に伴い被害が拡大する中、研児は警察への通報を提案するが貴重な研究植物を手放すのが惜しい高山博士は一向に否定する。

次第に血の色に似た花が幹から咲き、黒ずみながら地上へ散った花弁は地中に浸み込み巨大な毒キノコが発生した。毒キノコの粉煙で気絶した人間を次々と襲うモンスターツリーの成長は増すばかりで世間の非難を浴びた高山博士は遂に防衛庁へ救助要請、ミサイル攻撃によって絶命したが、球根に寄生していた生物が爆誕。

トンボの幼虫ヤゴに類似している点より学名がつけられた「ヤゴス」は防衛軍の火炎放射を物ともせず、逆に吸い込んだ火炎を吐き出した熱エネルギーによって人間が溶解されてしまい………

 

怪獣と云えど、元々ヤゴスは太陽系宇宙の何所かに棲息していた食虫植物の球根に寄生していた生物で、地球上の濃酸素によって異常成長の結果、巨大・兇暴化したのであって、やはり根底には宇宙開発の為に人工衛星を打ち上げたり、研究資料だと自欲に溺れて始末の手配を遅れさせたり、人間の身勝手な主我が眠っている。

一見、植物や動物、人間を襲ったモンスターツリーと毒キノコの活動は所謂「食事」に他ならず、自身の生命維持の自然行為であり、球根の内部で相補的に共存していたヤゴスはモンスターツリーの絶命によって止む無く(もしくは丁度成体まで成長したタイミングで)地底から誕生、先攻は防衛軍による発砲である。

以上の理由からしても止むを得ず地球に飛来した怪獣・ヤゴスの悲劇は、高周波(サイレン)とミサイル攻によって終止符を打たれるが皮肉にも自身の叡智を称えるかの様に投げやりに吐き捨てられた「人類万才!」は、余りに徒然的で不憫に思う。

 

何と云っても表紙絵、いいですねェ。ヤゴスがどう云った怪獣なのか風貌だけでしか判断の付かないヤゴスと主人公の研児、破壊される街にジェット機から落下する人間まで描かれているのに、モンスターツリー(←むしろコイツが主役)は疎か毒キノコを含めた伏線が一切無い簡素さ、しかし迫力は劣らぬ絶妙なバランスに高揚感が煽られるのだ。

そして、忽ち襲い掛かるカビ臭い古本の匂い。うーん、堪りません。

ページを開くと目に飛び込む見開きのイラストは本作の物語を凝縮した見応えのある作品に仕上がっているのだが、どうも惜しいと云いますか……

構図とかヤゴスとモンスターツリーが対になっていて見事ですし、不気味な弦に赤い花、熱線を吐くヤゴス、襲われる人間や車と申し分無い様に思えるが、

 

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表紙絵のクオリティ戻って来い

 

てか、ヤゴスのボディは赤なのか?表紙に基づくならば緑っぽいしなァ。個人的には、モンスターツリーに血の色と表現された花が咲くから、ヤゴスも血の色をしているのだろうと思う。(そしてこのイラストにプラス毒キノコが密集してたら、さぞ素晴らしいイラストだったでしょうね~)

血の色の共通点と云い、ヤゴスとモンスターツリーに宿る共存の名残が好きだ。

火炎放射を飲み込んで溶解を含んだ熱エネルギーを吐く、人間を飲み込む癖に御口に合わないのか?ペッペッと吐き出す仕草、彼等は一体太陽系宇宙の何所に棲息していた生物だったのだろうか、不明瞭と云えば人工衛星が軌道に反れた理由も不明なまま物語が完結している。それに、モンスターツリー即ちヤゴスが関係していたのか……

仮定に過ぎないが、宇宙に棲息する何者かが地球へモンスターツリーを送り込み、人工衛星と衝突(その前に人工衛星を軌道から反らす様に何者から操作したのか)、そのまま両者共々都内へ落下、宇宙開発が過ぎる身勝手な人類への警告だったのかも知れない。

 

怪獣発生の理由付け、新理論が宇宙に関係すると云う物語の筋はサタンゴも同じで、関すすむ先生の怪獣漫画に共通してる特徴なのだろう。

そしてサタンゴに引き続き、登場人物は独特な雰囲気と奇人染みた怪しい言動が目立つ。

モンスターツリーが急成長して珍種な貴重植物を捕食しまくっているにも関わらず、睡眠重視な高山博士が最高に狂ってました。

 

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