これでもくらえ

独断と偏見で意見具申。主に鑑賞記録。日々研究。

ウルトラマン前夜祭『ウルトラマン誕生』、現代の主役『ウルトラQのおやじ』

 

君達には説明不要な二作品が収録されたVHSを入手したので御浚いがてら。

ウルトラQ」に続く新番組、「ウルトラマン」の放送開始を記念して放映された、特別番組『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』と、怪獣ブームの真っ只中に撮影された実相寺監督演出の円谷英二ドキュメンタリー『ウルトラQのおやじ』。

検索すればネットで観賞出来てしまうが、バイブルは手元に置いておきたいのでネ。

 

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【1】ウルトラマン前夜祭『ウルトラマン誕生』

―「ウルトラQ」最終回(第27話「206便消滅す」)の翌週、1966年7月10日(日)に放映された"ウルトラマン前夜祭"は前日の7月9日に杉並公会堂で中継録画された本作。

怪獣を操る自称・円谷英二(偽)のモンスター博士(田中明夫氏)を進行役に、"怪獣の番人"として伊藤素道氏とリリオリズムエアーズが歌唱を担っている。

突如現れたナンセンストリオが怪獣泥棒を企むも、モンスター博士の云う事を聞かなくなったカネゴン、ガラモン、M1号、バルタン星人、(あべこべ)アントラーレッドキング、チャンドラー。

"ウルトラQ怪獣"対"ウルトラマン怪獣"の大乱闘に御手上げのモンスター博士等とは裏腹に、客席の子供達からの「いいぞー!」「もっとやれー!」「やっちゃえやっちゃえー!」ヤジは想定外のアドリブか?!実相寺氏の演出なのか?!(違う)

科学特捜隊の出動要請を行ったタイミングで「♪科学特捜隊の歌」が披露されるのだが、怪獣が一瞬にして静まり返って笑った。

間もなく科特隊が会場に到着。ホシノ少年が可愛くて早速しんどい

苦戦する科特隊一行がアラシのスパイダーを頼りにするもエネルギー切れ(出動早々なんでだよ)な上に出口が塞がって後退出来ないピンチに追い込まれた所でウルトラマン(古谷敏様)登場。ここでインサートされた子供達のウルトラマンに釘付けとなる硬直とした横顔を捉えた演出が印象深い。

 

クライマックスでは、科特隊メンバーが個々に自己紹介を行う。

『キャップのムラマツです。人は私の事を"鬼隊長"と呼びますが…御覧のように、大変、優しい、人間です』(?)

『私は、ハヤタ隊員です。僕は不死身の体を持ち、ピンチになればなるほどファイトが湧く男です。どうぞよろしく』

『僕は、アラシ隊員。これがスパイダーショットです。僕はね、このスパイダーショットの名士なんだ。それにねえ、科学特捜隊随一の力持ちでもある。どうぞよろしく』

『イデ隊員です。大変…おっちょこちょいなんですけれど……発明に対しては天才的なんです。アラシ隊員が持っているこのスパイダーショットも僕が発明したんです。よろしくね』

ウルトラQでは新聞記者の江戸川由利子でしたが、今度はフジ・アキコ隊員として科学特捜隊のメンバーに加わる事になりました。どうぞよろしくお願いいたします。あっ、それから私たちのマスコットのホシノ君を紹介しましょう』

『僕は、隊員候補のホシノイサムです。僕、大きくなったら絶対科学特捜隊に入ります。どうぞよろしく』(かわいい)(かわいい)(かわいい)

自己紹介が済んだ後、キャップの「よし、それでは………ジェットビートルで帰ろう」はズルいよなァ。なんなんだあの謎の間は。

 

「モンスター博士は偽物だ~」と云わんばかり7大怪獣が再び暴れ出し、キャップの合図で客席に居た円谷英二氏(本物)が登壇する展開は、この夢物語のエンディングに最も相応である。

粗探しも甚だしいこの神聖な一瞬にアラシ隊員の「スペシウム光線を吐くとね」発言に緊張が一気に緩んだ。アラシ、それスペシウム光線やない。シルバーヨードや……

新番組『ウルトラマン』への期待が最高潮に達した所で、

カネゴン「さあ、フィナーレです。音楽ゥー!」(どす声)

ここで再び序盤でも披露した「♪ウルトラマンの歌」を全員合唱で大楕円を迎える。

いきなり〆出したカネゴンに対して思った事は色々ありますが、自重しときます。ええ。

 解説書によると、金城哲夫氏による構成台本は3種現存しており、何れも登場怪獣に変更が伺えるが、イベント当日の時点で登場可能なぬいぐるみに落ち着いたようだ。

衝撃だったのは、司会者に石坂浩二氏とジュディ・オングを起用し、佐原健二様、西條康彦様もゲストに交えた"「ウルトラQ」から「ウルトラマン」への引継ぎ会"の構成案が存在していた様で私は死んだ。至高極まりない構成案は、残念ながら実現に至らず…星川航空の御二方と科特隊が並ぶ夢の光景が目に浮かぶだけに惜しまれる。

 

余談だが、ウルトラマン前夜祭『ウルトラマン誕生』の当選招待状(イベント名は「ウルトラマン子ども大会」)と会場で配布された「ウルトラマンの歌」歌詞カード。

 

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歌詞カードは、黄色の他に赤色も配布された様だ。モノクロ映像の為に色の識別は出来ないが、エンディングで観客が歌詞カードを持って歌唱を行う様子が確認出来る。

掲載物は、何方も「ウルトラマントレジャーズ」の付録で複製品。

 

【2】現代の主役『ウルトラQのおやじ』

― 「ウルトラQ」人気沸騰の最中、TBS系で1966年6月2日に放映された『ウルトラQのおやじ ―円谷英二監督(東宝)』は、各界の話題の人物に迫るドキュメンタリー番組「現代の主役」の一話として、独特な世界観を生み出す実相寺昭雄氏が演出を手掛ける。

フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」の特撮を撮影中に捉えた円谷監督の生の声を始め、親族やスタッフなど円谷監督を取り巻く世界が繊細に描写された映像美が眩しい非常に貴重な一作。

 序盤、円谷プロに遊びに来る愉快な子供達の中にミー子ちゃん発見。何故か子供へのインタビュアーな金城哲夫氏。「(怪獣)こわいのとさ、かわいいのどっちがいい?」と云う質問を綺麗にスルーされている。ゴリラとゴジラ、間違えちゃいけないね。

特筆すべきは、やはり対談で伺える円谷監督を始めとする親族やスタッフの人間性

映画に比べてテレビが"二軍"と世間から軽蔑される事に不満だと主張する一氏の熱く鋭い眼光は、テレビへの期待性と希望に満ちていた。

そして、一氏の強く夢のある意思に対して優しく相槌を打つ円谷監督の温和な性質が垣間見える両者の対談は大変意義深い。

怪獣代表として対談に登場するラゴンとM1号(!)を通して語られた円谷監督の怪獣観は、シェリー夫人の「フランケンシュタイン」より抜粋された言葉によって本質を掴めた様に思う。