これでもくらえ

独断と偏見で意見具申。主に鑑賞記録。日々研究。

『恐怖のミイラ』1話~14話(完)/感想

 

1961年7月4日~10月3日までの夏期に日本テレビ系列で放映された連続テレビホラー映画『恐怖のミイラ』。

納涼番組として制作された本作は、高垣眸氏の短編小説が原作であるが、数頁の短編だった為、西村俊一氏(筆名:御手俊治)によって大幅に脚色が施されている。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20180402014228p:plain

 

【粗筋】―大学で法医学を学んでいる野々宮雄作(松原緑郎氏)は、姉(若杉嘉津子氏)の家に居候している。

義兄の坂野博士(佐々木孝丸氏)は、家族にすら内密に考古学の権威で助手の牧村(真弓田一夫氏)と共に研究室に閉じ籠って秘密の研究をしていた。

その内容とは、エジプトから日本へ持ち帰った4000年前のミイラを蘇らせると云う禁忌の研究であった。

やがて秘薬によって蘇生したミイラは、博士を殺害して逃亡。博士の娘・汀(三条魔子氏)を狙って夜の街を徘徊するのだが……

 

クソ刑事等の度重なる失態によって、長期に及んだミイラ追走劇

感想を一言申し上げるのならば以上だろう。本当に警察がマヌケでひでえ

 

ゾンビだかミイラだか、シュールな怖いもの見たさで観賞したが、完全になめてた。

4千年前の古代エジプトにて、パトラ女王の命令でチリサが完成させた不老不死の薬の効力を試そうと毒味したチリサの息子・ラムセスが、薬の副作用で顔は醜く変貌を遂げ仮死状態となってしまい、激憤したパトラが埋葬したラムセス……それが本作に登場するミイラの正体である。

奇遇にもパトラと汀の容姿が酷似している為に、哀調を帯びながらパトラを彷徨い求める様に汀を猛追する姿は、健気とさえ感じる程に熱誠があった。

悍ましい音色、不気味な足音、人影のない夜道、不自然な歩きを見せる謎の人物、女性の悲鳴、モノクロによる光と影の演出と云った、オープニングで濃縮されている徹底した恐怖世界で見た醜悪の根源は、ミイラによるものでは無く、博士と助手の確執を筆頭に、人間の不善から生まれていた様に思う。 

中でも、警察への批判的思考主張が数多く伺える。警察に通報する事によって被害拡大を恐れる人民まで書き出すか。ここまで痛快に警察の愚鈍さを晒した演出は清々しい。マジで催涙弾投げるしか能がねえ

そして報道記者に対しても同様に批判精神が流れており、警察とマスコミの権力関係を匂わす描写が辛辣を極める。

 

これと云って特徴も無いのに魅了されてしまうミイラの造形と風貌。

目が離せない原因として、回復薬の効力によってミイラの風貌が随時変化する点が挙げられる。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20180406051805j:plain

 

アシンメトリーを意識して創出されたミイラは、クレオパトラに従えていた過去を想起させるかの如く品格がある。

僅かな変化から大幅な変貌まで様々に姿を変わるミイラは、4千年前の秘薬と回復薬の副作用が交互に反発している様で、回を追う毎に恐怖心が薄れ、不思議と神秘を感じた。

そして特殊メイクも然る事ながら、衰退した体を引っ張る様にして歩く絶妙な動作が印象深い。

 

最終回を迎えた際に、とあるテレビ映画の台詞が着想した。

ウルトラマン第十二話「ミイラの叫び」「発掘なんかしないで、1万年でも2万年でも眠らせてあげればよかったのに」と云うフジ隊員の言葉だ。

ラムセスもきっと仮死状態で眠ってた方が幸せだったろうな。

 

 

 

恐怖のミイラ 全集〈完全ノーカット版〉 [DVD]

恐怖のミイラ 全集〈完全ノーカット版〉 [DVD]