これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

映画「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」(1972年 東宝)

 

飯島敏宏監督、映画『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』の感想です。

 

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― 6年前、原子力潜水艦の爆発事故が原因で太古の眠りから覚めた大怪獣は、東京湾に上陸した後市街地で暴威を振るったばかりに自衛隊の大型ミサイルによって絶命する。

後に大怪獣が子供を遺していた事が判明、同情の声が集まり人間が飼育する事になり、罪滅ぼしのつもりで"ダイゴロウ"と名付けられた怪獣は、動物園の飼育係であった斉藤が担当する事になった。

ダイゴロウは孤島に隔離される形で飼育されるが、成長するに連れて国税で餌代を賄えない様になってからと云うもの、食事制限が行われる。

窮地に追い込まれたダイゴロウは、環境衛生省の役人・鈴木の命令で成長抑制剤・アンチグロウを投与されてしまった。

そんなダイゴロウを救おうと声を上げる子供達と発明おじさんは、賞金狙いで発明した「瞬間雨降りミサイル」を発表し、見事賞金を獲得する。

が、降ったのは"雨"ではなくて"雪"であった。違和感を覚える発明おじさんそんな時、周囲の熱エネルギーを吸収する凶暴な怪獣ゴリアスが宇宙から隕石と共に飛来した。

突如降り注ぐ雪の原因は、ゴリアスが周囲の熱エネルギーを吸収した際に海域が氷結、低温化する為であったのだ。

勇敢なダイゴロウはゴリアスに立ち向かうが、あえなく不全に陥る 。

通常兵器では倒せないゴリアスに対して、遂に核兵器の使用も検討され始めるのだが………

 

東宝チャンピオンまつり」の一作として公開された、円谷プロダクション十周年記念作品で、監督・脚本共に飯島敏宏氏が務めたコメディ色が強い世界観が愉しいコミカルな怪獣映画。

主役は、ダイゴロウを救おうと立ち上がる子供達、ダイゴロウの飼育係・斉藤(小坂一也氏)と発明おじさん(犬塚弘氏)、そして大工の鬼沢熊五郎三波伸介氏)。

憎まれ役に、環境衛生省の役人・鈴木(小林昭二氏)と云った豪華キャスト陣が喜劇テイストなコメディ部を盛り上げる重要なポーションとなっている。

少年・太郎役の矢崎知紀クンは「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」で主役を担ったが、その頃よりも更に太ってて立派なデブショタに……(絶望)

注目すべきは、子供も大人も、職種が異なる人々さえも"ダイゴロウを応援する"一心で団結する温かな連帯感。そしてどの人物も平等に焦点をあてる描写は好印象であった。

特に、挿入歌「♪ぼくのおじさん」のアレンジ曲の優しい音色と共に展開された、発明おじさんの魔法の靴のワンシーンは非常に凝った出来栄えで、空想として表現している発明おじさんの帽子の角度や、アクセレーターを基盤に制作された合成技術が眩しいファンタジー色が主張された映像に仕上がっている。

パニックに陥る街や人々、自衛隊の出撃などシリアスな描写が皆無な点も本作の特徴。

 

ダイゴロウは人間の手で飼育されたが故に、人懐こくて聞き分けが良過ぎた。

成長抑制剤・アンチグロウを投与した際に、異変を感じて一度は拒絶したものの、全ての事情を理解したかの様に大人しく人間に従う姿には心が痛む程だった。

ただ、やはり原始怪獣の子供であり狂暴…とまではいかないにしろ、生き残る為に闘う本能を持ち合わせている点、魅力の1つと言えよう。

ゴリアスとファーストコンタクトの際に、洞窟から勇ましく沖へ立ち向かうダイゴロウが大股で砂を蹴りながら歩き、跳躍して威嚇する演出が秀逸。緊迫感を煽る大雪も見事だ。

それに対するかの様にして海上に閃光を発して出現した大星獣ゴリアスの登場も巧妙なシーンであったが、ゴリアスを目の当たりに直ぐ怯んじゃうダイゴロウたんカワユス

ゴリアスの戦歴は不明だが、初対戦にも関わらず、幼くして飛び蹴りを披露するダイゴロウは凄腕だと思う。

怪獣は孤独だ。夜と云うものは、一層孤独を感じてしまう時間だろう。母親を亡くし、空腹で物悲しげな哀愁を濃密した挿入歌「♪ララバイ・オブ・ダイゴロウ」が心に沁みる。

 

ダイゴロウは、原子力潜水艦の爆発事故が原因で母親を奪われて、やむを得ず孤島で暮らす事になり、ゴリアスは他の星から地球を包む空気を突破して、地上に到達してしまった。

両者とも根源的には人間の不心得が伺える、教訓的な存在なのだ。

加えて、対ゴリアスに備えて核兵器の使用が検討される大人と子供との会議シーンが本作のテーマを演説しているかの様だった。

だが、環境問題や人間の悪事を主張する作品に在りがちな湿っぽさは極めて希薄で後半からは、ゴリアスとの戦いに備え訓練する人間とダイゴロウの温かな特訓描写と石油コンビナートを襲撃するゴリアスの壮絶な破壊描写、そしてクライマックスのダイゴロウ対ゴリアスに熱狂した。

何と言っても、墓地に執着したアングルが至妙である。

 

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墓地と云えば、この前に海の次に空を失えば、もう生きていくことはできないと、核兵器を使用した人間の果てが淡々と語られた際にも登場しており、核に対する意向を改めて追考させられる様な、このアングルから強く胸に刻まれる思いをした。

 

ラスト、絶対死んどるゴリアスは宇宙に還され、ダイゴロウは偉業を称えられ御腹いっぱい人間と共に幸せに暮らしていくことでしょう。

私はクソニー発明おじさんの幸せを切に願います。