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なにもかもウルトラQのせいだ

映画「大怪獣ヨンガリ」(1967年 韓国/極東フィルム)

 

キム・キドゥ監督、映画「大怪獣ヨンガリ」の感想です。

 

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鑑賞したのは1968年にアメリカの劇場公開用に編集された「YONGARY:MONSTER FROM THE DEEP」(原題)。

中東周辺で行われた核実験が原因で目覚めた大怪獣ヨンガリに対して奮闘する人間ドラマを描いた怪獣映画である。

どうやら当時大映の特撮を担っていた日本人スタッフが特撮部を担当していたらしく、根源にはガメラ映画のオマージュ的な既視感を覚えるようだ。

 

核爆発の衝撃で眠りから覚めた怪獣が街に出て暴れるだけの作品と一言で片付けてしまうのは可哀想なので、細かな点を突っ込んで考察しよう。

衝撃①:発射したロケットX7号(カプセル)の、早過ぎる危機回避

核実験の偵察の為に離陸したロケットX7号(カプセル)が軌道に乗った後、謎の無線故障に遭遇するのだが、号外発行まで披露しつつも、秒で無線回復は笑った。

今後に何かしら影響する要点だと思いきや、大して関与しない謎のパニック描写。

衝撃②:ヨンガリを撮影した記者を乗せた車に起こった、謎の爆発事故

落下する瞬間に運転手が普通に笑顔なのも可笑しいし、絶対病院に連れて行った方がいいのに、怪地震対策本部で絶命しちゃうし、そもそもあの爆発でよく生きてたなおめえ

衝撃③:雑な都市パニック

ヨンガリ接近で生温く避難する市民(どう考えても地球儀は諦めろ)、これ見よがしに荒れ狂うキリスト教信者、自暴自棄モードになる食欲おじさんとディスコの若者達、いずれもモンスター出現によって恐慌に陥った人間の心理描写だろうが、余りに唐突な繋ぎ合わせで危機意識が薄れ、返って緩慢な印象を受けた。

ただ、その後逃げ惑う市民にスモークを炊いた描写はBGMの効果も甲斐あって切迫感漂うシーンに仕上がっている。

衝撃④:ヒロイン顔負け、イーチョ魅惑の悲鳴シーン

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普通に萌えるからやめろ(ショタコン発動)

スンを庇ったイールが負傷した際に魅せたワンカットだが、全体を通しても特にインパクトが強い。

衝撃⑤:景福宮破壊せんのかい。流石のヨンガリも名所は軽率に壊すものではないと察したのだろうか?見物となったであろうに、勿体無い…

 

そんな訳で、決してつまらん訳でもなく、特に特撮シーンは既述の通り大映特撮の日本人スタッフの手柄もあってか、十分見応えがある。

主となる都市破壊は、灰色に染まった空にブラックアウトする被写体(ヨンガリ)の怪しい眼光と角を照らす退廃的なシーンが巧妙で印象的。

問題のヨンガリだが、(韓国では珍しい)地震と由縁のある巨大な爬虫類と伝承された怪獣で、若干のファンタジー性を交えつつ、核実験の被害者である事は確かだ。

口から放つ(根本丸見え)火炎放射、角から放つ切断光線を備える他、人間を掴んで放り投げたり突然踊ったりと多種の攻撃法を駆使するヨンガリは、イールが研究を重ねた化学物質"アンモニア"によって退治される訳だが、独自性が伺えるショッキングな描写に戦慄した。

 

皮肉にも、ヨンガリを退治する事によってイールは科学者として有終の美を飾る結果となる。「科学者イールの成長物語」とか云うタイトルの方が絶対しっくりくる。

最後、"ただ食べ物を探していただけなのに街に来たから殺されちゃったんだ"と語られる悲しきモンスターの運命を弔う少年イーチョの悔恨だけが救いかな。

 

 

 

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