これでもくらえ

独断と偏見で意見具申。主に鑑賞記録。日々研究。

レジェンド・オブ・ミュージカル in クリエ Vol.2

 

"ミュージカル界のプリンス"と呼ばれているらしい、ミュージカルを中心に活躍している俳優の井上芳雄さんが企画兼ホストを務め、毎回"ミュージカル界のレジェンド"をゲストに迎えてトークを交わす『レジェンド・オブ・ミュージカル』in シアタークリエ

 

昨年11月から始まった上記の企画は、第1回目のゲストに草笛光子さんを迎え、第2回目のゲストは宝田明さん!…U-25招待と云う有難い配慮に甘えて御邪魔してきました。

 

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まさか、「さよなら日劇ラストショウ」の登壇イベントから間もなくして、
再び、東宝スタア・宝田明様に御会い出来るとは……!

今回は割と遠目の席だったのですが、遠くから拝見しても長身で年齢を感じさせない綺麗な背筋、スラリとしたおみ足が美しいダンディな宝田明さんでした。

 

ジャンル分けするのであれば、基盤はトークショウみたいな感じで、ホストの方がゲストの写真パネルを捲りながらプロフィール等を紹介、質疑を問い質し、更には御出演したミュージカルのナンバーを織り交ぜた構成で進行。

シアタークリエで上演中のファン・ホームの舞台セットをそのまま利用した会場(!)で追跡するヒストリーもトークも殆ど、ミュージカルの話がメイン。

 

宝田明さんが1954年に東宝ニューフェイス第6期生としてデビューし、同年「ゴジラ」で初主演を務められ、以降日本映画の黄金期に東宝を代表する二枚目スタアとして数々の映画で御活躍成されたのは歴然たる話ですが、ミュージカルでの活躍に関しては一向に疎いので、自分の中では御勉強会の気構えで観賞したつもりが、不覚にも泣いた。生歌披露するなんてこっちは聞いてねえぞ。

『南太平洋』より「♪魅惑の宵」、『ラ・マンチャの男』より「♪見果てぬ夢」、そして、井上芳雄さんとサプライズ(?)デュエットした『ファンタスティックス』より「♪Try to Remember」を"熱演"する宝田明さんは、まるでミュージカルの一場面を観賞しているかの如く、歌声のみならず体全身を使い、深厚な心で役を表現なさっていた。

トークの中で、映画とミュージカルでは表現法が違うものの、演じる心は同じ、ミュージカルでは歌で演じる、歌詞で如何に観客へ言葉を表現出来るか、と云った映画とは異なったミュージカルに対しての熱意を語られていたが、正しく宝田明さんの歌、歌詞は優しく、時には強く、心を鷲掴みする様な、快い圧迫感が全身に浸透する様だった。

「年齢や貧富の差、職業の貴賤に関係なく、どんな人間も平等に持つ事が出来るのは『夢』である」と語られ、そんな『夢』を一瞬にして奪い去ってしまった戦争に対して籠めた想い、実際に御自身が幼き時に体験した戦争の悲劇、憎悪を歌の合間に告白した「♪見果てぬ夢」は、"戦争で失われた尊い御霊へ鎮魂の意味を込めて"披露された最後の曲として、大変肝銘を受けた。歌の真価を見せつけられたよ。 

 

個人的に、東宝ニューフェイスに関するトークが非常に興味深くて。

オーデションが第6審査の果てに合格するのも衝撃だったし、書類審査で通った宝田明さんが成城の東宝スタジオにオーディションへ足を運ぶもなかなか怖気付いてオーディション会場に入る事が出来ず、前で1,2時間立ったり座ったりしていたら、通り掛かった東宝のスタッフ(だっけ?)の後押しで、無事にオーディションを行うも、緊張で上手くウォーキングを披露する事も出来ず、水着審査用に事前に自宅から着用済みだった海パンが大変なことに…(語弊)

 

他にも、まだ日本ではミュージカルへの認識が薄かった頃、ブロードウェイで草笛光子さんと共に鑑賞した「マイ・フェア・レディ」での思い出や、ミュージカル俳優養成学校「宝田芸術学園」での出来事など、終演時間が大幅に遅れ大盛況の内に閉幕。

宝田明さんを通してミュージカルの歴史と、俳優としての情熱や拘り、表現の喜びや達成感、立場は違えど、人生に対する多大な教訓を得た気がする。だいぶ(かなり)余韻が抜けましぇん。