これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

成田亨画集[復刻版]BOX

 

復刊ドットコムから発行された、2018年1月24日発売『成田亨画集[復刻版]BOX』を入手・拝見致しました。

 

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朝日ソノラマから発行された『ウルトラ怪獣デザイン編』('83)『メカニック編』('84)の二大雄篇を可能な限り原本に忠実制作・初復刊された本誌は、デザイナー、画家、彫刻家として名高い成田亨氏が「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「マイティジャック」他、へ与えた功績の集大成的バイブル。

どこで見かけても高値取引されていて何度購入を断念しただろう、近い将来御縁がある事を望んでいたが、まさか"復刊"と云う形で巡り合うとは…!

 

先ず、『ウルトラ怪獣デザイン編』では主に、空想特撮シリーズの三作品よりヒーロー、宇宙人、怪獣のホビー用に制作されたイラスト、デザインの"初稿""決定稿"、更には"未使用稿"といった貴重な画、画集出版にあたって制作された画、作品展に出品した画など、広範囲に亘り掲載されている。

そして数々の画に圧倒された後の余韻を深める巻末が秀逸極まりない。

成田亨氏によって収録画1点1点に解説が成された卓抜な「索引」、あとがきによって更に、成田亨氏のデザインに対する一通な理念やポリシー、存意に傾倒させられた。

特に画を振り返りながら読み込む事が出来る索引は、肩の力が緩んでしまう様な措辞が愉しくて(笑)

デザイン段階から造形への完成形に至るまでの苦悩や「真剣に円谷プロを辞めることを考えていた頃のデザインです」などと云う不満(爆)の追憶が真率で好印象。

印象に残る画は、四次元空間の映像化の試作中と云う「四次元空間のビラ星人」、"自分だけの世界"と語る奇妙な「カネゴンの顔」。

ベムラー(ウルトラマン)の繰り返される改定には絶句。初稿の黄色いベムラーは余りにも印象が異なり過ぎて言葉を失った…。

ウーデザインA案とキングジョー初稿は夢で襲われるよ、絶対。

あと御恥かしながら、この度初見だったバルタン星人との因果性を感じるMEO星の戦士・メバは、非常に感銘を受けた。

成田亨氏のシャープで繊細な筆致が眩しい先鋭的なデザインに至上の色彩、正しくMEO星のヒーローといった代名詞が適切な存在感を放っている。

御自身も"名怪獣になっていたでしょう"と御気に入りの「南海の怒り」登場予定だった怪魚・アップ画の名状い難い妙妙たる風情に息を呑むなどして……

注目点は尽きませんが、本誌を手にして思ったのは、成田亨氏の偉業を通して、怪獣造形の高山良策氏を始めとした特撮美術スタッフの貢献が如何に傑出した力量であったか改めて痛感した次第である。

 

続いて、『メカニック編』では主に「マイティジャック」を始めとした空想特撮シリーズのメカニック、隊員服、建造物やロゴマークのデザインやイラスト、設計図面などを掲載。

デザインを務めたもののNGとなったMJ専用車両のハイオクタ―は、陸海空に適用する万能カーを可視化したかの造形に心が躍る。

先端部位はドリルだろうか?隅々メカの醍醐味を充満させた卓抜なデザインである。

やはり、巻頭を飾ったビデオカセットのカバーイラストの数々が壮観。

水飛沫を挙げて勇ましく飛び立つMJ号を始めとするメカ、Qの戦闘機が青空や夕日との自然と科学のコントランスで美しくスタイリッシュな迫力で描かれている。

ウルトラ警備隊は然程変わりない印象だが、MJ隊員服は本放送の印象とだいぶ異なり、胸の番号ロゴと色彩が本放送よりも上品な黄色(オレンジに近い)だと云う点に落ち着く。

巻末の「私は人間は進歩するものだと思っていません」と云う書き出しに惹き込まれてしまった「メカニズムデザインについて」の解説文では、成田亨氏の貴重な生い立ち、戦争の実体験から得たメカ感覚が、感慨深い。

最後のページにある、未発表だったQの潜水艦はページを捲る手を留めて紙に穴が開いてしまう程長々夢中に眺めてしまった。内部構造の空想が止まらないシャープ過ぎるボディに例のない"Qらしさの欠損"を感じるデザインに魅了されたのだ。

後々、索引で画集の表紙画がこのだと知った時の衝撃ときたら…!

正面画と対比すると、左右の翼は収納型?Qの象徴とも言える、黒縦縞にロマンを感じる……

 

 

 

成田亨画集 [復刻版] BOX

成田亨画集 [復刻版] BOX