これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

映画「フランケンシュタイン」(1931年)

 

メリー・W・シェリーの執筆した小説を基に製作された、ジェイムズ・ホエール監督、映画「フランケンシュタイン」の感想です。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20171009154345p:plain

 

フランケンシュタイン男爵家の嫡男、若き科学者ヘンリー・フランケンシュタインは、美しき婚約者エリザベスとの結婚を目前に控え裕福な暮らしを放ってまで、助手の傴僂男・フリッツと共に山奥の研究所に籠って、狂気的な生命創造の研究に没頭していた。

不安を抑え切れないエリザベスと共通の友人ヴィクター、ヘンリーは、恩師であるウォルドマン博士を連れて、ヘンリーとフリッツが籠る研究所に辿り着いたのは、嵐の夜。

ヘンリーは3人が露見する中、墓地から盗み出した死体を結合し、嵐の雷光を利用した高圧電流で死者の蘇生実験は成功したと思われたが………

 

言わずと知れたホラー映画、不朽の名作「フランケンシュタイン」。

冒頭、恐怖の世界へと誘う卓絶な前説で"生と死の物語"と有る様に、墓場や葬式、愛情や結婚といった生と死に関する事柄を織り交ぜながら、生命の終始が見事に構成されている。

人間のエゴによって不幸にも生命が宿った怪物は、又も人間の都合によって身勝手に始末されてしまう悲哀を訴える中で、やはり印象に残るは湖で出会った少女とのシーン。

対比する立場にありながらも隣り合わせにある美醜を強調した場面だと思う。

怪物は人間では無い不明瞭な生命体で、名前も与えられない非情な扱いを受ける最中、純粋無垢な少女の心に触れて芽生えた愛情が美しい。

握った手が温かかったでしょう、花の香りが甘かったでしょう、目に入るもの全てが優しくて、自然な心の動きでこぼれたであろう少年の様な怪物の笑顔に痺れてしまった。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20171009181713p:plain

 

花を水に浮かべるのに便乗していきなり少女投げたのは笑ったが、怪物には少女が花と同じぐらい可愛らしく映ったのだろうし、きっと浮かんだら綺麗だと考えたのだろう。

単純に思えた怪物の心情だが、次の瞬間少女が溺れて悲鳴を上げる中、罪悪感が芽生えたのか、動揺を見せる場面が憎い。

忌むべきは怪物の誕生では無く、禁忌を侵してろくに愛情も与えず育児放棄したフランケンシュタイン博士の浅はかで身勝手なエゴこそが、悲劇の序開。

怪物に欠損していたのは、紛れも無い愛情だったのだろう。

 

隔離された冷寒な研究室や細部まで凝った実験装置の美術セットを始めとする入念に作り込まれた世界観も然る事ながら、特筆すべきは怪物の存在。

怪物役を務めたボリス・カーロフ氏の名状し難い驚異的な怪演、これに尽きる。

前代未聞の生命体の複雑で繊細な動作、冷淡な怪物の表情の奥で垣間見える深い哀愁…感慨無量だ。

 

 

 

フランケンシュタイン [DVD]

フランケンシュタイン [DVD]