某A氏の独白帳(仮)

独断と偏見で意見具申。空想特撮シリーズを始めとした特撮作品の鑑賞記録など。ネタバレ含。

映画「さらばモスクワ愚連隊」(1968年 東宝)

 

ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。

堀川弘通監督、映画「さらばモスクワ愚連隊」の感想です。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20170611015117j:image

 

五木寛之氏の同題小説を田村孟氏が脚色を務めた青春映画。

 

且つてプロのジャズピアニストとして活躍していた北見英二(加山雄三氏)は、今や音楽プロモーターとして海外のジャズ演奏家を日本へ招く呼び屋に転身していた。

演奏者の一人が薬物所持の疑いで逮捕された一件で状況は悪化し、遂に北見率いる呼び屋は終焉を迎える。

或る夜、北見はジャズピアノを弾くアメリカの青年・ジェームスと知り合い親しくなるが、ジェームスは兵士としてベトナムへ飛び立ってしまった。

ジェームスが最後の晩に奏でた「ストレンジ・フルーツ」に感動した北見は、旧友で日ソ文化交流協会の理事長を務める森島(塚本信夫氏)から依頼されたジャズバンドをソ連へ送る計画を引き受け、モスクワへと飛んだ。

だが、プロジェクトを進行する段階で出会った音楽を知悉しているソ連政府の官僚が放つ「ジャズは娯楽であって、芸術では無い」差別的な発言に北見は猛反論。

ソ連の世話係でも有る日本大使館の白瀬(伊藤孝雄氏)は、北見のファンだと打ち明けクラリネットを奏でた。

モスクワの街で出会ったトランペットを吹く非行少年ミーシャと、ジャズに熱狂する若者達との友情も芽生えつつある頃、日ソジャズ計画の重要人物である政治家の訃報が入り北見は帰国せざるを得なくなり………

 

本作は、ジャズを通して外交に奮闘する青年を描きつつ、最終的にはジャズへの熱意を捨てきれず苦悩する青年と制御された社会で青春を送る不良少年の友情物語に落ち着く。

バー"赤い鳥"に出入りするクソビッチ御嬢様のエルザ(森田敏子氏)は、貧富の差を強調する表現が目立つ。

存在自体、そうと言えばそうだが優秀だと判断した者にだけ与えた様なキスが冷淡に思えたのは何故だろうか…。

そしてミーシャの最期は唐突で不条理で未だに飲み込めずに居る。

いきなり執拗に絡み始めた闇屋が不自然極まりない

言葉の無い音楽、互いの生き様をぶつけ合い溶け込んだジャズで育んだ情熱が、結果殺害に至った経緯が到底理解出来ないよぼかあ。

錯乱したクライマックスは全く収拾が尽かんもんで、抑々闇屋を刺し殺した一件とジャズを繋ぎ合わせる事自体誤りなのかも知れない、という御得意の自己解決に終わった。

と成ると、北見がジャズを通して何を伝えたかったのか、訴えがイマイチ朧気。熱狂ぶりは怖いぐらいに痛感しましたケド…

 

あと、序盤で渋難な状況を共にした人物が後半全く登場しなかったのは残念だった。

北見のジャズ精神を再起したジェームスはベトナムへ行ったから仕方無いにしろ、特に長年北見に片思いしていたユウ子(野際陽子氏)と北見を慕って居たサックス奏者で有る磯崎(黒沢年男氏)ストーリー性が余りにも希薄だ。

両者には一層、北見を追ってモスクワまで来ちゃった(てへぺろ)ぐらいはして頂きたかったのが正直な所。

それにしても、外国人に囲まれて全く違和感も無く佇み、流暢に英語やロシア語を嗜む加山雄三氏のアンニュイな雰囲気は彼の素質から来ているものだろう。

ミーシャへ渡そうとしていた楽譜を持つ手に力が抜け、涙を流す御顔は儚い美しさが漂っている。男性が涙を流している姿を見て美しいと感じる事って早々無いよね。

涙と言えば、北見が所属していたブルーデュークのメンバーとして江原達怡様が回想で秘めやかに涙されてて控え目に言って抱きしめさせろ

 

ソ連政府の官僚奏でるショパンと怒れる北見が演奏したジャズの静かな対決にも注目したい。ピアノ演奏は加山雄三氏の自前と言うから驚いた。

最後までジャズを娯楽だと見劣りながらも、確実に感銘を受けていたであろう官僚のオッサンだったが、残念ながら音楽を(特にジャズなんかは)よー解らん自分は( ゚д゚)ポカーンw

 

本作の鑑賞動機は何を隠そう、西條康彦様の御出演。

北見の呼び屋従業員なのか、会場側の従業員なのか不明なままだったが、麻薬取締官(鈴木和夫氏が演じてた様だが、西條様しか見て無くて気付かなかっ)が押し込んで来た事態を報告しようと控室に居る北見の元へ急行するスタッフの役である。

遠目のアングルで、残念ながら御尊顔はハッキリと確認出来なかったが正装に身を包んだ西條様は麗しい華奢な御体を存分に働かせ、早急な台詞の読み上げで緊迫した状況を構築していた。

西條様が魅せる"ワンシーンの主役"はどの作品でも欠かせない役柄だと改めてつくづく思う。