某A氏の独白帳(仮)

独断と偏見で意見具申。空想特撮シリーズを始めとした特撮作品の鑑賞記録など。ネタバレ含。

映画「大日本スリ集団」(1969年 東宝)

 

ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。

福田純監督、映画「大日本スリ集団」の感想です。

 

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藤本義一氏の「ちりめんじゃこ」原作を自身が脚色した人情喜劇。

 

関西で活躍するスリ集団の御頭である平平平平(三木のり平氏)と、平平の組織を追うスリ捜査課の刑事・船越富蔵(小林桂樹氏)は過去に生死を共にした戦友である。

現行犯以外、犯罪を立証し難い類の犯罪で有る事を盾に巧妙な腕でスリを常習する平平には、子分のフランス(平田昭彦氏)やガキチ(砂塚秀夫氏)共にスリを勤しむ日々を送り、船越はスリを現行犯すべく務めていた。

だが、平平には暴力団と関係を持つ息子の平一郎(寺田農氏)と若い後妻の紙江(高橋紀子氏)が気掛かりで、船越は一人娘の昭子(酒井和歌子氏)が抱く暗い影に悩まされている。

或る日、船越は平平へ昭子の鞄に入っている謎の茶封筒をスリして欲しいと頼まれ………

 

序盤でコミカルに展開された戦場描写で笑いを誘われたのも束の間、三木のり平氏の好演も効いてユーモア溢れる小林桂樹氏との痛快なやり取りは何処か緊迫感も漂っていた。

刑事と犯罪者、天敵同士で有りながら戦友という立場から不即不離の距離で垣間見える二人の絆は職業の大きな振幅を感じさせない。それは、両者同様に悩みを抱えていた点から来ていたのかも知れない。

最後にスリを見逃した船越の心情は、戦場に駆り出された経験の無い者が安易に語る事の出来ぬ「戦友」だからこその対応だったのだろう。

「戦場にながれる歌」では捕虜生活で罵声を浴びせていた小林桂樹氏が、本作では戦友をノーブルに演じている(爆)

 

独特なカメラワーク、切り替えとしてフランスの交通事故シーンと平一郎が暴力団脱退の際に強いられた指詰めシーンは実にインパクトが有る。

特筆すべきは、フランスの事故死体だ。平田昭彦様が御耽美。

パチ屋で船越にスリを目撃され、2人で怒涛の逃走劇を繰り広げる場面なのだが余りの全力疾走に笑っ…車に跳ねられてしまい血を流すフランスの片手には手錠が光る演出は憎い。

これは根本的に、平平が妻と息子に棄てられて老人ホームで拾われる描写と同様で犯罪を犯した者の末路が露骨に表現された秀逸な場面だ。

いくら芸術だと言ったって、そこに誇りを持っていたとしても所詮、犯罪は犯罪なのだ。

一方で、家族に苦悩する父として船越と平平交互に描きながら成長していく(平平は崩壊かw)人間模様も又魅力な一作だった。

 

平平の若妻役の高橋紀子氏の色気には不覚にもヤラレタ。

何処かで見た事が有る御顔だなと思ったらウルトラQ「南海の怒り」でゲスト出演されとりましたね。

 

余談、序に発散しとくと関西弁とウインクで全国民の心臓を毟り取った(語弊)平田昭彦様の罪は深いぞ.....

 

 

 

大日本スリ集団[VHS]