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某A氏の雑記帳(仮)

独断と偏見で意見具申。主にゴジラ、空想特撮シリーズ等、特撮作品の鑑賞記録。他、色々と。

映画「慕情の人」(1961年 東宝)

 

ラピュタ阿佐ヶ谷にて鑑賞。

丸山誠治監督、映画「慕情の人」の感想です。

 

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本作は、井上靖氏の「揺れる耳飾り」を岡田達門氏・田波靖男氏が脚色したメロドラマである。

夫を亡くし、都心のビル地下街にある運動具店を経営している耿子(原節子氏)と夫の友人であった石野(三橋達也氏)は、運動具店の支配人。2人は、御互い惹かれ合う仲にあったのだが、そこへ秘かに石野に恋心を抱く義妹・靡沙子(白川由美氏)の虚言が耿子と石野の仲を引き裂き始め………

 

靡沙子のクズ女っぷり最高過ぎた

女優は興味が余り無いので滅多に感化されないだが(怒られろ)ここまで見事に性根の腐った女を好演なさった白川由美氏は秀抜だ。

ただの"悪女"では無く、表情に何処か寂しさが有る。そして何より幼さからか、憎めない愛嬌を感じる描写が印象深い。

原作では靡沙子の年齢設定がどうなのか存じておらず不明だが、当時25歳程だった白川由美氏に三橋達也氏演じる石野が「子供」と言い放つシーンは流石に違和感…(爆)

これでもかって程に我儘で虚言癖の激しいメンヘラ女だったが、石野への恋心からか?幼い少女が女性へと変貌していく緻密な描写に注目したい。

先ず目に留まるは衣装だ。パンツルックでツインテール、正に少女を象徴するような活発なスタイルだったが、徐々に艶やかな色の真っ赤なワンピースや美しいアクセサリー、ヘアスタイルまでも時間の経過と共に、徐々に色気、大人な雰囲気を漂わせる様になっていた。同一人物かと目を疑う程、徐々に美しくなっていく靡沙子に魅了されたのは言うまでも無い…。

 

女性を美しく魅せる点で言えば、耿子の着物姿。成熟美という言葉そのものだった。

ただ自宅で何気無しに外を見つめている後ろ姿でさえ、美しさに満ち溢れていた。

中でも、耿子の誕生日に石野に誘われ、外出の"準備をしている時間"の場面には痺れた。いつもと違う、美しい特別な着物に身を包む耿子の嬉し気な表情が脳裏に焼き付いている。

男の事は良く分からんのだが、あくまで自分は外出の際、特に愉しみにしている用事の身支度ほど胸を弾ませる時間は無い、と思っているからだ。

耿子も自分の誕生日、慕情を抱く石野の誘いという事も有り胸を高鳴らせながら身支度をしていただろう。何気の無いシーンなのだが、特筆すべき描写だ。

 

何と言っても本作で一番可哀想なのは、靡沙子では無く靡沙子に求婚するも耿子の美しさに惚れ込んでしまった罪深き加納(滝田裕介氏)でしょう。わいが加納なら鬱だ死のうだろうが、絶望的な立ち位置にいながらもなんだかんだポジティブでのうのうと生きており実に"御坊っちゃん"といった風貌で、気にしていないのが救い。

"石野への好意は耿子と張り合う為に生まれた浅はかな感情だった"と衝撃的な告白を加納に行う点、なんだかんだお前ら(靡沙子と加納)御似合いなんじゃねえの?付き合っちまえよ!なんですわ(投げやり

 

何を隠そう、本作は耿子と石野が務める運動具店の店員として御出演なされている西條康彦様を拝むべく鑑賞した次第である。

役柄は、耿子に天気予報を見る様促され平謝りする、若き店員、未熟な店員といった所。漆黒のスラックスに純白のシャツがチャーミングな店員。

耿子と石野と親し気な様子や少々投げやりな態度から、若くして古参な雰囲気も漂っており実に魅力的でありました。

 

最後に、不覚にも感心した靡沙子の台詞を紹介したい。

「結婚とは就職」

良い就職をすれば、後先幸せだし、悪い就職をすれば、後先苦労する。

正しくだ。女性、且つ様々な夫婦を観察したであろう靡沙子こその台詞だと思う。

靡沙子の発言は興味深い台詞が多く、小生意気な様で殆どが至言であった。

 

余談:

オープニングとエンディングの背景はレース。実の所、OPでは全然気づかなかった…

女性らしさの象徴とも言えるレースを抜擢するというセンスに感服!