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某A氏の雑記帳(仮)

独断と偏見で意見具申。主にゴジラ、空想特撮シリーズ等、特撮作品の鑑賞記録。他、色々と。

映画「血と砂」(1965年 東宝)

 

岡本喜八監督、映画「血と砂」の感想です。

 

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戦争と音楽を主題に、ユーモア溢れるタッチで描かれた戦争アクション映画

 

舞台は、昭和二十年の北支戦線。

八路軍に強奪されたヤキバ砦を奪還すべく佐久間大尉(仲代達矢氏)から出動命令が下った小杉曹長(三船敏郎氏)は、鉄砲を握った事も無い13人の少年軍楽隊と炊事ばかりしてきた犬山一等兵(佐藤允様)、戦争をしたく無い志賀一等兵(天本英世氏)、葬儀屋である持田一等兵(伊藤雄之助氏)を率いて戦争最前線へ出動するのだが……

 

仲代達矢氏童貞ってマジかよ(語弊)

俳優の魅力が不断に発揮された個性溢れる登場人物が非常に良かった。

御目当ての佐藤允様は「独立愚連隊」から5年くらい経った作品で流石に老けたなってのが第一印象だったけど出刃包丁を振り回す破天荒っぷりは過去作に劣らず、血管がブチギレそうな程に怒鳴り散らす迫力に痺れる。

存在感が絶大な三船敏郎氏は、ヤキバ攻撃隊を指揮しながらも敵前逃亡の罪で銃殺された弟である小原見習士官の追究に務める正義感に満ちた役柄を好演。

名言が度々放たれておりましたが、特に印象に残っているのは

「御春さんを抱く時には、謹んで、敬礼してから抱け」(違うでしょ)

13人の少年兵の特徴は(ソガ隊員で御馴染みの阿知波信介様を除いて)イマイチな様な気もするが「小太鼓」や「クラリネット」と言った楽器名で呼称されていたのは秀逸。

これは少年兵達の、楽器や音楽に対する敬意と愛を理解している小杉曹長の案だったのかな?と勝手に妄想。

目の前に倒れ込んだ瀕死の敵軍を見逃した事によって戦死してしまった原田(大沢健三郎氏)は「殺すか殺されるか」戦争の酷の象徴だったように思う。

下等と扱われる慰安婦をヒロインとし、御春(団令子氏)を"御国の為に働いている女"として立派に、そして好印象に描いた点が素晴らしい。突然始まった御春さんソングはワロタがな

 

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てかあんだけ頑固に炊事場を御春の宿にするの嫌がってたのになんでノリノリで承諾しちまったんだ犬山さんよお!

 

小杉曹長が戦死した後、御春の口から自ら銃殺した小原見習士官が小杉曹長の弟だと知った犬山一等兵は、決戦の時に敵軍に勇敢にも突撃するのだが「てめえらは飯抜きだあ!」と死んでいく姿は申し訳ないけど間抜けだ。

小原見習士官が所属していた守備隊の真実が明かされる重大なシーンがこんな軽率に扱われるのも凄い。

 

佐久間大尉が指揮する援軍を待たず、皮肉にも終戦の日に全員戦死と言う悲劇的な終末だが不思議と悲観に浸れないのだ。

"ああ、戦争って愚かだな。虚しいな。"という感情は、「みんな死んじまったよ。どうして死んじまったんかな。」と言う御春の疑問的な台詞が綺麗に纏めている。

こうした重圧なテーマを軽快に描く独特な雰囲気は、岡本喜八監督特有のものだろう。

露骨では無いが、特に後半は反戦思想のメッセージが密やかに描かれている。

不穏当であろう決戦に流れたジャズテイストの「聖者の行進」は度々本作で使用されているが、弔いとして演奏された少年達の哀しい目が印象深い。

 

 

 

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