某A氏の独白帳(仮)

独断と偏見で意見具申。空想特撮シリーズを始めとした極一部の特撮、旧邦画の鑑賞記録など。

映画「青い野獣」(1960年 東宝)

 

堀川弘通監督、映画「青い野獣」の感想です。

 

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本作は、白坂依志夫氏の脚本を堀川弘通氏が監督を務めたサスペンス映画。

 

出版社「婦人春秋」で労働組合副委員長を務める黒木康彦(仲代達矢氏)は、持ち前の美貌と話術で出世の為ならば手段を選ばぬ野心家で、己の利益になる人を利用し不要になったら罵倒を交えて捨てる。この手のキャラクターは大好物である。

表向きでは賃上げを求めて井本(鈴木和夫氏)等の従業員と共に、賃上げをめぐって小川社長(田崎潤氏)と激論を交わしているが、裏では小川社長の会社側へ組合の情報を売り、将来の重要な地位を約束されていた。

そこで、且つて学生時代に左翼運動に身を投じ共に愛し合っていた鳴海良重(淡路恵子氏)とバーで再会し、再び関係を持つ。

裏切りを繰り返し独自に着々と出世した黒木は、遂に財界の実力者江藤(千田是也氏)の娘である文子(司葉子氏)に近づき、学生時代に男遊びしていたネタで脅迫。ホテルへ連れ込むのだが、なんだよ「お好みキッチン サド」って

更には、エプロン姿の仲代達矢氏が笑顔でレッツクッキングですからね。あそこはホテルだったのか、個室レストランだったのか、一体なんだったのだろうか…未だに謎である(爆)

そんなお好みキッチンサドの一連で(語弊)文子は黒木のトリコとなり、婚約する方向に。事態は黒木の思うが儘に進展していく。

一方、組合が分裂した「婦人春秋」の争議は悪化。最悪の段階に陥っていた。

文子との婚約が決まった黒木は良重と最後の情事を愉しんでいた最中、合田が現れ(どうやって入ったんだおめえ)良重と夫婦の関係である事が告白され、黒木は絶句しながらも合田に罵倒を浴びせ威勢を弱めない。

遂に、黒木と文子との婚約発表が明日に迫った頃、黒木の前に姿を現した井本に対して「皆が皆、裏切って生きてるのが現代じゃないか!」と嘲笑い……

 

実はオチを事前に聞いてしまっていてラストの衝撃は薄まってしまいましたが(笑)出世の為に裏切りを繰り返し自業自得の死亡オチは時代が変わろうが色褪せない不思議。

美しい学生時代から愛し合っていたと思われた黒木と文子の関係が最後まで腑に落ちず曖昧に完結しているのがまた良し。

愛に絶望したであろう黒木だからこそ、最後に井本に吐いた台詞は強烈に印象に残ったのだと思う。

曖昧と言えば、黒木の過去である。

学生時代に小川社長夫人と関係を結んだのが最初だと思えるが、社会に対して歪んだ感情を抱いたタイミングがイマイチ掴めなかった。深入りは禁物ですな。(自己解決)

 

本作は、黒木と高校、大学、アパートも同じで来年に就職を控えた大学生の西役で西條康彦様が御出演なされております。

社会の重苦しい空気に包まれる中、講義も試験もチャッチャッチャ〜♪わけわかめな曲を口ずさみ馬鹿騒ぎする大学生の能天気な役柄だと思いきや、次第に毒の効いた役柄へと変貌。

実力で就職するも入社の検査で就職が駄目になった友人の自殺を淡々と語る雰囲気も恐怖を感じたのだが、特筆すべきは、未来予想を語った後声を出して高笑いする西條様である。

こんな西條様見たことないぞ!

終いには、入社試験場を前にあれだけ慕っていた黒木を馬鹿呼ばわりする始末である。あんだけに慕っておいて!!

何を隠そう学ラン姿(学帽付き)も御披露なさっており、多様な表情を見せる魅惑的な西條様を拝めるという点では、貴重な一作でした。