某A氏の独白帳(仮)

独断と偏見で意見具申。空想特撮シリーズを始めとした特撮作品の鑑賞記録など。ネタバレ含。

映画「ゴジラ対ヘドラ」(1971年 東宝)

 

監督・坂野義光(本編)、中野昭慶(特撮)

ゴジラヘドラ」の感想です。

 

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前作で垣間見えた隠喩「公害」を題材とした、ゴジラシリーズの第11作目。

様々なカメラ技術の多用やアニメーションを取り入れた独特な演出が光る怪作である。

 

歌詞も斬新だが、曲調も脳裏に焼き付くテーマソング「かえせ!太陽を」が凄い。

謎の振付をしながら無表情で歌う美女(麻里圭子氏)に汚染された海の強烈な映像に気を取られ、全くテロップに意識がいかないのだ。

浮かんだマネキンとか人かと思ったよ。やめてよ。

その強大なメッセージ性を植え付けた曲は、地下ディスコ・ゴーゴークラブ(なんじゃそりゃ)とヘドロ上陸のクロスカッティングの際に使用されている。

 

青年・毛内行夫(柴本俊夫氏)は"ヘドラを育てたのは人間"と語り、若者を集め公害反対を訴えるまでは良いが、富士の裾野で呑気にギターを弾きキャンプファイヤーっておい!w よく100人も集まったな…

突然ショートカットになった富士宮ミキ(麻里圭子氏)との恋愛表現も無いに等しい。

終いにはいい所を見せるわけでもなく、ヘドラの硫酸ヘドロを浴びて呆気無く死亡\(^o^)/

此れまでのシリーズの流れ的に考えても主役だろうと見え透いていただけにショッキングである。

本作で登場する若者は、口程にも無い哀れな弱者に過ぎない。印象的なのは、幻覚症状とも捉えられるディスコの虚ろな目をした青年だ。すげえサイケデリックドラック、ダメゼッタイ。

 

死亡してしまった青年にしても、ドラマパートが温く、主役が曖昧である。

あくまで人間の公害によって生まれたヘドラが主役だと解釈すれば納得できる。

強いて言うのであれば、ヘドラ撲滅に貢献した海洋生物学者の矢野徹(山内明氏)。まあ殆ど布団に入ってましたがな…

それか、お世辞にも上手いとは言えない演技の息子であるヘドラの命名者・研少年(川瀬裕之氏)だと思う。ゴジラのテレパシー感じるとかすげえよ

 

とにかくヘドラは強かった。

人間なんぞ全く歯に立たない驚異的な殺人力を持つヘドラは、皮肉にも人間の公害によって生み出された怪獣。

こんなにもゴジラが小さく見えた事が今までにあっただろうか?殺陣の緊張感を保ちながら核の申し子であるゴジラの攻撃に屈する事も無く、むしろゴジラの片腕と片目を溶かしヘドロ漬けといったハードなヘドラの攻撃が展開される。

そして何とも、インパクトのあるビジュアル。ドスの効いた絶妙な混色の体に映える真っ赤に血走る目といった造形美が眩しい。不気味に光ったボディも尻尾も堪らん。

特筆すべきは、感情が高ぶる際にチラ見せする赤い脳髄である。

 

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こういった緻密な感情表現は、排ガスを吸い込んだり、息の根を止めた際に描写された瞼にも秘められていたように思う。

そして、止まる事を知らない常識を超える脅威が怪獣の存在のみで語られている。形態変化といった発想力が秀逸。

 

独自の世界観に深入りしてしまった終始であったが、中でも自衛隊がトラブル続きで失笑な最終決戦は衝撃の連続に度肝を抜かれ過ぎて唖然(爆)

ヘドラを倒し終えたゴジラに対してハッとする自衛隊とかクソ情けねえ

コミカルな音楽と共に飛んだのは良いとして(良くない)ヘドラの体内を抉り漁るゴジラこわいよママ―

 

不穏な空気が全体を包む本作を鑑賞した衝撃はゴジラシリーズの第1作目に似ている。

登場怪獣のヘドラに対しても、原因として人間の存在がある点で兄弟の様にも思えた。だからこそ、ゴジラと互角に戦えたのではないのだろうか。

ラスト、再び流れる汚染された海やヘドラによって念押しで強い警告を訴えている。

ゴジラ」の根本的な精神を受け継いでいる一作として評価したい。

 

 

 

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