某A氏の独白帳(仮)

独断と偏見で意見具申。空想特撮シリーズを始めとした特撮作品の鑑賞記録など。ネタバレ含。

映画「怪談昇り竜」(1970年 日活)

 

石井輝男監督、映画「怪談昇り竜」の感想です。

 

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スタンダードな極道ストーリーに怪談を交え、異質な娯楽性に富んだ任侠映画。

猫の祟りを主題にしたホラー添加の他に、奇形人間、見世物小屋、エロティズムといったアングラ要素を盛り込んだ怪作である。

 

物語の始め、関東立花一家二代目の立花明美(梶芽衣子氏)が渡世の義理を果たすべく剛田組・組長に刀を振りかざした瞬間、組長の妹で有る藍子(ホキ徳田氏)が間に入った際に誤って藍子の目が裂けて鮮血が飛び散った。

直ぐ様に藍子が可愛がっている黒猫が藍子の目から噴き出る血を舐め、明美と目が合うと黒猫は明美の目を目掛けて飛び掛かり……それから明美は黒猫の呪いに支配される。

三年後、突然子分が猫の形相で奇行に走ったと思えば、背中に竜の彫物を入れてる子分が惨殺の後に刺青の生皮を剥がした状態で発見された。

そして、次々に起こる残虐殺害を明美は黒猫の祟りだと信じ込むのだが……

 

見世物小屋のシーンが強烈過ぎた。

白塗りでほぼ全裸のネーちゃんが異様なポーズで待ち構える入口から十分に嫌な気配はしてたけど、内部はもっと酷かった。

子供の泣き声を入れ込む演出も大変に嫌悪を煽る上に、人肉食っぽい御爺ちゃんが非常に不気味でトラウマ。下駄煮てどうすんだよ。

何よりギラギラな空間で奇妙な音楽で踊り散らかす丑松(土方巽氏)は、如何にも近寄り難きオカルト風情の奇形人間。

あくまで仮定の話だが、丑松が刺青の一枚皮を剥がしたのは藍子がショーの際に明美の子分の彫物を褒めていたからなのだろうか。

丑松が藍子を愛撫する妖美なシーンも魅力に満ちているが、生皮を捧げて喜んでもらおうと素直に伝える丑松の一途な姿にグッと来た。

盲目女と奇形人間の関係描写は希薄ながら、見た目の醜悪と対比する様に美しい心が入念に描かれていただけあって非常に印象深い。

 

語らずにいられないのは、背中に彫られた昇り竜の刺青。

OPで披露された対立花組とラストの対土橋組逆襲の際に、超違和感を発揮しながら横一列に整列して初めて完成される竜の勇ましい画に拍手。

語らずとも昇り竜の刺青によって、親方と子分の絆を十分に感じ受けた。

明美の刺青が竜の頭であるが故に成り立つ藍子の決め手で、同じ様に竜の目に深い傷を付けてささやかに展開された和解が絶妙。巻き込まれたにゃんこカワイソウ…

女性同士の一騎打ちは、空を始めとした禍々しい舞台が張り詰めた空気を一層息苦しく魅せている様に思う。

 

そして、正義のヒーロー顔負けの登場を果たした風来坊の谷正一(佐藤允氏)は、完全に明美と恋愛するかと思ったんですがねー。

実際にフィルター(+音楽)付きでそんな感じの描写あったけど、なんだったんだあれは?

ビンタされて尋常じゃ無い量の血を吐いても、水責めされても真のブレない正義感に満ちた役柄でありました。

 

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(´-`).。oO(意外と脇毛薄いんだな~)

 

 

 

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