これでもくらえ

なにもかもウルトラQのせいだ

美研/ホーム紙芝居『ウルトラQ』「恐怖の怪獣館」

 

2020年。ケムール人の居る世界に辿り着いた現実ではあるが、君はケムール人が既に全滅しているのを知っているか?2020年の地に足を踏み入れてしまった今、ケムール人が主役と云っても過言では無いこの名(迷)作を人類は語り継がねばならない。てな訳で、『ウルトラQ』放映終了後に発売された美研のホーム紙芝居「恐怖の怪獣館」に関して。

 

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その内復刻するだろう(他力本願)と気長に待機するつもりでしたが、一平君が登場するのを知って慌てて昨年入手しました。美研のホーム紙芝居は、童話を題材にした「世界名作童話」とアニメやドラマを取り上げた「コミックシリーズ」の2種に分別されており、『ウルトラQ』は「コミックシリーズ」の「No.20」です。わざわざ「ホーム」と表記しているのは、街頭紙芝居の上演と区別する為だったのか。街頭紙芝居が映画だとすれば、ホーム紙芝居はDVD、みたいな。(違うか) 付属のフォノシートのアナウンスに従って紙芝居を捲って愉しむスタイル。正式な発売日は商品に記録無い為、不明ですがラインナップの作品から推察するに1970年前半に発売されたのでしょう。本放映から約5年後経過してますから、特撮ドラマを観ずして紙芝居を手にした人の方が多数を占めそうですが、果たしてどうだったのか当時の反響が気になります。それにしても市場でなかなか見掛けない。フォノシート的にも紙的にも希少な類です。以下、粗筋の引用。しげる君はお父さんの一の谷博士一行5人とキャンプに出かけた。夕飯の準備をするため、しげる君は薪拾いに出かけるが、途中で行方不明になる。一行は森の中をさがしたが姿がどこにも見えない。博士はふと足もとに白い液体が流れていることに気がつき、ケムール人の出現とわかる。一の谷博士は五年前ケムール星を探検した際、ケムール人を全滅させたことがある。ケムール人はその復しゅうのため、一行を古い洋館にさそいこむ。そこは四次元の世界で、想像に絶する怪獣どもが住んでいる。博士ら一行の運命は危険にさらされた。」登場人物はオリジナルの主要人物(淳ちゃん、一平君、由利ちゃん、一の谷博士)に加えて、一の谷博士の息子(!)「しげる君」が本作の主役的立ち位置に登場。正し声優はテアトルエコーの声優陣が声を当てています。オリジナルと比べてイメージを崩す声質ではありませんが、しげる君の声が低過ぎな気がする。シナリオはホーム紙芝居の為に作られたオリジナルドラマです。A、B面で約十分程。企画制作欄に記された「東京アートミュージック」作でしょうか。冒頭で流れる挿入曲が如何にも不気味で効果的でしたが、流用では無くて本作で初めて耳にしたものなので企画制作社の音源ですかね。作画は、伊藤展安氏。紙芝居は全16枚組、怪獣三昧で賑やかな表紙も同氏。炎を吐き出すタランチュラが強烈です。臨場感溢れる劇画タッチの趣深い画です。物語は、オリジナルの石坂浩二氏に代わって矢田耕司氏のナレーションによって進行します。粗筋の通り、キャンプ場に来た5人は夕食の準備に取り掛かるべく、一平君としげる君は森へ薪を拾いに出向き、その間に由利ちゃんは御米の準備、淳ちゃんは一人でおかずを釣りに行く。一平君としげる君が薪を集めている木の影から、一の谷博士に対して復讐心を抱いているケムール人が密かに出現。何故ケムール人が一の谷博士に復讐をしなければならないのか?なんと、一の谷博士は五年前にケムール星を探検していたのだ。目的や手段が一切語られていないが、驚愕の展開である。五年前と云うと、丁度『ウルトラQ』本放送と繋がる時期。そしてそれだけではない。ケムール人を全滅させたのだった。恐らくキャンプ場に出現した個体は、ケムール人の最後の生き残りなのかも知れない。間も無く、薪を取り終えた一平君が先にキャンプ場へと戻って一人になったしげる君(フラグ)は、ケムール人の白い液体によって消滅。しげる君を探す4人の前に現れた洋館に入って見ると、中は怪獣が住む四次元世界だった。「四次元の世界」と云うのは、一の谷博士談ですが、怪獣無法地帯の様です。第一戦、マンモスフラワー対ラルゲユース。マンモスフラワーに捕まって血を吸われるラルゲユースが不利な状況に。勝敗不明。 第二戦、ゴロー対トドラ。長い牙を武器にゴローに立ち向かうトドラ。対してゴローは、連続パンチで勝負。乱闘の末、ゴローのパンチがトドラの眉間に直撃。苦悶する中、最後の力を振り絞ったトドラの牙がゴローの喉に刺さって、相打ちで倒れた。第三戦、モングラー対人間×4人。今迄怪獣同士の死闘を眺めているだけだった4人をモングラーが襲撃します。何故かゴジラの鳴き声ですが、実相寺監督の「現代の主役 ウルトラQのおやじ」に登場したモングラーもゴジラの鳴き声が流用されていました。オリジナルに増して強そうにみえたものです。「地下に棲息する動物だから、光に弱い」と云う一の谷博士の見解により、太陽光線を由利ちゃんの鏡で反射させてモングラーの目を攻撃。悶え苦しむモングラーを後に、洞穴に逃げ込むとタランチュラに遭遇。第四戦、タランチュラ対人間×4人。SEが究極にカオスで、ガラモンの鳴き声(電子音)やらキーラらしき鳴き声が聞こえる。尚、前に交戦したモングラーは洞穴の入口で負傷して居座っている様子。タランチュラの吐いた糸によって一平君と由利ちゃんは完全に身動きが取れなくなってしまう。一の谷博士も足を取られてあわや全滅…と思いきや、無事な淳ちゃんがナイフを投げつけ、3人を救出。(オリジナルとリンク) 第五戦、ゴメス対リトラ。ゴメスの登場に後ずさる4人が突き当たった大きな白い壁がリトラの卵だった意外性と胸高鳴る展開により、放映第一話「ゴメスを倒せ!」の死闘が再び。激闘の末に、リトラはシトロネラ酸(もう毒「シトロネラサン」表記)を吐き、負傷したゴメスは怪力でリトラ羽根を捥ぎ取り(!)相打ちで倒れた。次々に怪獣が出現して4人を脅かすのはケムール人の仕業であると察した一の谷博士の前に、遂にケムール人が出現。第六戦、ケムール人対人間×4人。ケムール人の脳波を狂わす「Xチャンネル光線」(正し光波ではない)が、カメラのフラッシュからも少し出る(何でだよ)一の谷博士の考案により、フラッシュを焚きまくる由利ちゃん。ケムール人は呆気無く、首を掻きむしりながら(!?)倒れてしまう。収録音源がどう聞いてもメフィラス星人にしか聞こえないよ。 晴れてラスボスを退治出来た4人は、気が付くと怪獣無法地帯から解放されて森に戻っていた。そこへ、行方不明だったしげる君がカネゴンに手を引かれて現れた。「パパ、カネゴン助けてくれたんだ。」(※念の為に繰り返すが、パパとは一の谷博士の事である) カネゴンに御礼する4人。無言を突き通すカネゴン脅威的な急展開を迎える終盤だが、ケムール人の復讐劇と云うシリアルなテーマに反して実に平和的なエンディングだった。長閑なキャンプ場の雰囲気から一転、怪獣館に入ってから痛快なテンポで次々に出現する怪獣同士の激戦は、オリジナルを彷彿とさせる戦いと本作の為に用意されたシナリオが融合されており、怪獣の魅力を前面に押し出した怪獣主体の物語である。骨子は上述の通り、ケムール人を滅ぼした一の谷博士に対するケムール人の復讐です。オリジナルでは見せなかったケムール人の超能力が凄い。「人間が液体で消える」設定は受け継いでいながら、怪獣無法地帯空間に繋がる洋館を用意する幻覚系能力は本作ならでは。それにしては、尺の都合なのかあっさりカメラのフラッシュ(厳密には少し出てる「Xチャンネル光線」(爆))にやられる呆気無いケムール人には失望。衝撃だったのは、喋るケムール人。「恨み重なる一の谷博士め!今こそ五年前のケムール星での復讐をしてやる!」って。クレジットに記載が無くて詳細は不明ですが、出演者が二役務められたのでしょう。カネゴンが友好怪獣的なポジションに居るのもまた独特でユニーク。あれかな、良い事をして御金を入手する戦略かな?(←穢れてる大人の嫌な見解) 一番好きなのは、ゴロー対トドラですね。伊藤氏の劇画によりゴローがまるでキングコング宛らの迫力です。それにしても一の谷博士が強過ぎたな。何だよ、ケムール星を探検してケムール人を全滅させたって。しかも子持ち。神田博士もドン引きだよ。 結論:一の谷博士は強かった。以上。解散!

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200112235018j:image↑ 「恐怖の怪獣館」登場怪獣、宇宙人御一行。画:伊藤展安氏。人面モングラーと間違えてシトロネラ酸吐いちゃってるゴメスが好き。今夜緑色のケムール人が君の夢に出て来て追っかけちゃうぞ。

 

f:id:zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz:20200112234032j:plain↑ 何故かずっと由利ちゃんの傍に居てやたらイチャつく一の谷博士。しげる君のママってもしや…。(ゾワッ) 何度見ても吃驚する緑色のケムール人。何故緑色?病気か?今夜君の夢に以下略