某A氏の独白帳(仮)

独断と偏見で意見具申。空想特撮シリーズを始めとした特撮作品の鑑賞記録など。

映画「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」(1969年 東映)

 

石井輝男監督、映画「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」の感想です。

 

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― この物語は、灰色の部屋の中から始まる。
理由も解らずして精神病院で監禁されている医学生である人見広介(吉田輝雄氏)は、幻覚と現実の境で脳裏に刻まれた子守唄と共に浮かび上がる崖と荒波の光景に悩まされていた。

病院を脱走した広介は、子守唄を歌う曲馬団の初代(由美てる子氏)の出会い、過去の記憶を取り戻しかけるが、初代は何者かに殺害された。

過去の謎を解明すべく北陸に向かう列車の途中で、自分と瓜二つで富豪の菰田源三郎なる男が病没したとの新聞記事を目撃した広介は、源三郎に成り済ますのだが………

 

江戸川乱歩原作「パノラマ島奇談」他、諸作品を石井監督と掛札昌裕氏が脚色した怪奇ミステリー。

陸の孤島を舞台に、猟奇的な世界観に耽美とロマン、狂気、エロティズム、愛憎を交えた幻のカルト作品である。

日本初DVD発売にあたって映論で再審査した所、PG12のレーティングと成ったそうで当時は成人指定。結構オッパイ出てきた。(歓喜)

 

言うまでも無く、広介の父・丈五郎を演じる土方巽氏の惨憺たるパフォーマンスが物凄い。

土方氏の怪演は「怪談昇り竜」で重々承知の上だったが、奇形人間の枠を取り除いたとしても、十分不気味で異様である。ただこの人、無口な方が魅力的だな。

まァそれは土方氏に限らず、見世物小屋に迷い込んだと錯覚する様な、孤島に住む奇形人間も想像を絶するビジュアルで…もはや奇形人間なのかただのキチガイなのか曖昧な境界線の人種がアングラ的な世界に一層危険性を加味している。

基本的に「何を見せられているんだろう」といった感想しか出来ない、理解不能な奇形人間()しかおらん

狂宴の中、全力でヘドバンする全裸の女とか、全身金ぴかの女とか、山羊と人間の結合双生みたいな奴とか、マジで白塗りしただけの奴とか

でも何故だか、皮肉にも奇形人間として生きる者達は正常な人間に対する憎悪を持ちながらも、なんだか楽しそうで何よりでしたね。

 

見事だったのは、悪夢の象徴でもある秀子と障害者の人工的なシャム双生児

醜い存在が隣に居るからこそ、映える美しい存在の哀しい運命を感じさせる美醜の対比が白眉だ。

中でも印象深いのは、分離シーン。美しい女性の美しく白い太腿に滴る美しい鮮血が耽美の極みではないか。

 

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後に、突如現れる明智小五郎大木実氏)によって、弱り切った妻と説得された丈五郎が共に謝罪して改心したりと急展開を迎える訳だが、語らずにはいられないのが人間花火と言う名の、リア充爆発(物理)

広介と秀子の禁断愛を甘美に描いていたにも関わらず、最期が余りにも笑っ…いやなんでもないです。終いには「おかーさーん」ってお前ら…(失笑)

 

健常者に対する嫉妬から生まれた過激な企みに思われた丈五郎の野望は、全て不貞の妻に対する狂愛の裏返しである事から、根本的には暗闇の中で孤独と認められない苦痛の訴えだったのかも知れない。

本作で登場する健常者も障害者も線引きが曖昧と言うか、どっちが正常でどっちが異常だか、最後まで明白にしない描写に惑わされた。

 

余談、坊主役の大泉滉氏のコミカルな演技に注目したい。悲鳴の後に口元隠すの反則でしょ~(萌えた)

 

 

 

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 [DVD]

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